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オーストラリア代表のFLマイケル・フーパー主将は激戦をこう振り返った。
「両チームとも意欲が高く、最後まで全力を尽くしました」
ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会で、プールD(1次リーグD組)屈指のビッグマッチ「オーストラリア代表×ウェールズ代表」が、9月29日(日)、東京スタジアムで行われた。
ローマン・ポライト レフリーの笛で始まった試合は、まず今年の欧州6か国対抗戦を制したウェールズ代表“レッドドラゴン”が、最高の出だしを見せる。
まず主将のLOアラン・ウィン・ジョーンズが先発5番として出場し、チーム歴代最多となるテストマッチ通算130試合出場を果たした。
すると開始直後、SOダン・ビガーがW杯史上最速という開始35秒でのドロップゴール(DG)を成功させ、いきなり3点を先取する。
1999年大会以来3度目の載冠をめざすオーストラリア代表“ワラビーズ”だが、レッドドラゴンの勢いは止まらない。
前半10分にSOビガーのクロスキックをCTBハドリー・パークスが捕球し、この日最初のトライ(ゴール成功)。“W杯に強い”と言われるオーストラリアだが、序盤から10点を追いかける展開に。
しかしゴールドジャージーも前半19分に輝いた。
ラックでPK(ペナルティキック)を獲得して敵陣に入ると、アドバンテージ状態のクロスキックをW杯4大会出場の35歳、WTBアシュリークーパーが掴んでインゴールへ。
ウェールズと同パターンでトライ(ゴール失敗)を返し、ビハインドを5点(5-10)とした。
ウェールズはSOビガーが頭部打撲の影響によりベンチへ下がったが、「途中出場の選手たちが勢いを与えてくれた」(ウェールズ・ガットランドHC)。
途中出場からエナジーを発揮した一人が、ビガーに代わって投入されたリース・パッチェル。50m級を含む2本のPG(ペナルティゴール)を前半32、36分に決めてみせた。16-8
前半37分にはSHガレス・デイビスが、オーストラリアのSHウィル・ゲニアのパスアウトをインターセプト。狙い通りの独走トライを決め、コンバージョン成功で前半を23-8で折り返す。
残り40分間で15点差を逆転しなければならなくなったオーストラリア。しかし南半球の伝統国が地力を見せる。
「さすがオーストラリアで、後半はすべてを出して追い上げ、うちの底力を試してきた」(ウェールズ・LOジョーンズ主将)
途中入替が効果てきめんだった。後半早々にSOフォーリーに代わり、ユーティリティ性の高いマット・トゥームアを司令塔として投入。
すると直後の後半5分、トゥームアは大型FWのミスマッチを的確に突いてラインブレイク。連続攻撃からFBデイン・ハイレットペティがトライを挙げた。
オーストラリアは後半21分、3度にわたるラインアウトモール。さらに徹底したラックサイド攻撃を重ね、最後はFLフーパー主将がゴール下にトライ。
後半27分にはPGも加えて、ついに1点差(25-26)に迫った。
「(後半だけのスコアは)17対6だったが、前半の失点が多過ぎた」(オーストラリア・FLフーパー主将)
ウェールズは終盤にスクラムでPKを奪われたものの、トモス・ウィリアムスがジャンプ一発、タッチキックを空中でエリア内に戻すビッグプレー。ピンチを脱出した。
直後に会場の照明が一部消えるアクシデントはあったが試合続行。
オーストラリアは逆転勝利を目指したが、最後はウェールズのFBリーアム・ウィリアムズがラックでファイトしてターンオーバー。
ボールを蹴り出し、W杯で32年ぶりにワラビーズ勝利の笛を聞いた。1987年の第1回大会の3位決定戦で、22-21で勝利して以来だった
オーストラリアは1勝1敗となったが、7点差以内のボーナスポイント「1」は獲得。FLフーパー主将は「回復がカギ。次戦まで6日あるから、今日の試合をしっかり復習する」と再起を誓った。
開幕2連勝のウェールズは勝ち点9となり、プールDの首位に立った。
誉れ高き英愛4か国連合軍、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズの指揮官も務めた名将、ウォーレン・ガットランドHCは「この勝ちはものすごく大きい」と選手を讃えた。
「これで2戦2勝だ。次の相手フィジーはウルグアイに負けて傷ついているが、フィジーに対しても、しっかり自分たちの仕事をしないといけない」
2勝目を目指すオーストラリアは10月5日、1敗1敗のウルグアイ代表と対戦予定。
2連勝のウェールズは10月9日、2敗のフィジー代表と激突。舞台はどちらも大分スポーツ公園総合競技場だ。
【ハイライト】オーストラリア vs. ウェールズ ラグビーワールドカップ2019 プールD
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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