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先週開幕したザ・ラグビーチャンピオンシップ。ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンの4カ国が南半球No.1を賭けて戦う。その注目選手を紹介するコラム。今回はアルゼンチン「ロス・プーマス」だ。
◆アルゼンチン代表の精神的支柱
アグスティン・クレーヴィ(Agustin Creevy)
所属:ジャガーズ
ポジション:HO(フッカー)
身長/体重:181cm/110kg
生年月日:1985年3月15日
キャップ数:74
アルゼンチン代表をプレーと体で引っ張る闘将だ。HO(フッカー)ながらハンドリングスキルに優れ、オフロードパスが得意なことから、モンペリエ在籍時にはニュージーランド代表CTBソニー ビル・ウィリアムズを彷彿させるということで「ソニー ビル・クレーヴィ」と呼ばれていたほど。
もともとバックローだったが、2009年にフッカーに転向した。ビアリッツ、クレルモン、モンペリエ、ウォーススターとヨーロッパでプレーしていたが、ビアリッツ在籍時に肩を故障してしまった。
そのため当時のアルゼンチン代表監督サンティアゴ・フェランに転向を勧められ、契約を解除してアルゼンチンに戻り、1年目からスーパーラグビーのジャガーズで戦っている。
アルゼンチン代表としては、2005年4月23日の日本代表戦で初キャップを獲得した。その後も常に代表でも戦い続けて、2011年と2015年のワールドカップに出場した。2014年のザ・ラグビーチャンピオンシップから代表のキャプテンに指名され、昨年まで代表だけでなく、ジャガーズのキャプテンも務めていた。
まだまだプレイヤーとしても、精神的支柱としてもアルゼンチン代表には欠かせない選手だ。2019年ワールドカップに出場すれば、フェリペ・コンテポーミの持つアルゼンチン代表最多キャップ87を塗り替える可能性も十分だろう。
アイルランドにルーツを持つ選手。好きな食べ物はフライドポテトとイタリア料理。憧れの選手は4月に引退した元アルゼンチン代表SOファン・マルチン・エルナンデス。
◆スキルの高い攻撃的な司令塔
ニコラス・サンチェス(Nicolas Sanchez)
所属:ジャガーズ
ポジション:SO(スタンドオフ)
身長/体重:177cm/83kg
生年月日:1988年10月26日
キャップ数:65
ラン、パス、キックとどれも上手くスキルフルな選手。小柄だが精確なプレースキックで、チームの得点源として活躍する司令塔だ。アルゼンチンの育成システムの中で成長し、U19、U20アルゼンチン代表を経て、2010年5月21日のウルグアイ戦で初キャップを獲得。翌年のワールドカップメンバーに選ばれ、1試合に出場した。
その後は代表の主力として活躍し、2014年のザ・ラグビーチャンピオンシップでは54点で得点王となった。さらに2度目のワールドカップとなった2015年大会では97得点を挙げ、アルゼンチン代表としては、1999年のゴンサロ・ケサダ以来の大会得点王となり、チームのベスト4に貢献した。
2011年からフランスでプレーし、ボルドー、トゥーロンとフランスのトップ14で4季プレー。その後、2016年には母国のジャガーズでスーパーラグビーに初挑戦。3シーズンで41試合に出場し、392点を挙げた。来季は再びフランスのスタッド・フランセでプレーする。
プレースキックに注目されがちだが、攻撃的な司令塔としてラン、パス、キックでトライを演出するのに長けた選手。SOサンチェスが上手く相手のスペースを突けばアルゼンチン代表のリズムとなろう。2015年に結婚した夫人との間に昨年2月に男の子が誕生。大の犬好きで大型犬を数頭飼っている。
◆アルゼンチン代表の新たなリーダー
パブロ・マテラ(Pablo Matera)
所属:ジャガーズ
ポジション:FL(フランカー)
身長/体重:193cm/110kg
生年月日:1993年7月18日
キャップ数:49
今年からジャガーズの新キャプテンに任命されたのがFL(フランカー)パブロ・マテーラ。ボールキャリアや接点で常に身体を張ったプレーでチームに貢献し、今年はジャガーズを初のプレーオフ(ベスト8)進出へと導き、自らもシーズンの「ベスト15」に選出された。
2013年に20歳でアルゼンチン代表初キャップを獲得すると、そのシーズンはイングランドのレスター・タイガースに移籍。また、代表としても2015年のワールドカップに出場を果たした。2016年からアルゼンチンを本拠地とする、スーパーラグビーチームのジャガーズに加入するために帰国した。
それまでキャプテン経験はなかったものの、今年からジャガーズのスキッパーに任命されて素晴らしいシーズンを送っていたが、リーグ戦のシャークス戦での反則により出場停止となり、残念ながらプレーオフ準々決勝のライオンズ戦に出場は叶わなかった。
まだ25歳、アルゼンチン代表では今後も新たなリーダーの1人としてチームを牽引する一人となろう。
ラグビーを本格的に始めたのは16歳の時だったが、すぐに頭角を現し、アルゼンチン代表に入り、イングランドからのオファーを受けたという逸材。尊敬する選手はニュージーランド代表キャプテンNO8キアラン・リードだという。
◆アルゼンチン育成システムの傑作
エミリアーノ・ボフェリ(Emiliano Boffelli)
所属:ジャガーズ
ポジション:FB(フルバック)/WTB(ウィング)
身長/体重:191cm/91skg
生年月日:1995年1月16日
キャップ数:14
23歳のWTBエミリアーノ・ボフェリが、今年のスーパーラグビーで大いにブレイクした。豪快なランだけでなく、191cmの身長を活かしてハイボールにもめっぽう強く、タックル力もあり、長距離のプレースキックも得意な新鋭で、アルゼンチンの育成システムで育った逸材だ。
なかでも決定力が魅力だ。2017年、トップチームデビューを果たし、スーパーラグビーでは6試合で3トライ、さらにアルゼンチン代表では初キャップとなったイングランド代表戦でいきなりトライを挙げて、ワールドラグビーのブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)の候補選手にもなった。
今年のスーパーラグビーではシーズン当初からレギュラーとして活躍し、チームのプレーオフ進出に貢献し、FB(フルバック)バウティスタ・デルギとともにチーム最多タイとなる10トライを記録。ジャガーズは契約を2021年まで延長したほど。
もちろん、アルゼンチン代表でもすっかり定位置を確保。ザ・ラグビーチャンピオンシップを経て、さらに2019年ワールドカップではどんなパフォーマンスを見せるのか楽しみでならない。
6人兄弟の末っ子で、4歳の時に3人の兄たち同様に、父親の影響でラグビーを始めた。プライベートではシャイな性格であり、甥や姪と遊ぶのが大好きだという。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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