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6月のテストマッチ期間を迎えた「スーパーラグビー(SR)2018」は、第16節が中断前の最後の試合となる。
オーストラリアに遠征中で2勝10敗のヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ(日本)は、6月3日(日)、敵地キャンベラのGIOスタジアムで4勝8敗のブランビーズ(オーストラリア)と相まみえた。
テストマッチへ向かう日本代表選手の大多数は、遠征前にサンウルブズから一時離脱。先週はPR稲垣啓太ら5名もチームを離れた。
コーチ陣もジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)に続き、13-40で敗れた前節レベルズ戦でHC代行だったトニー・ブラウンコーチも離れ、今週はスコット・ハンセン DFコーチが指揮を執った。
メンバー構成が応急的となるなか、ここへきてトライゲッターのWTBホセア・サウマキ、CTBマイケル・リトル、週間ベスト15に4度選出のLOグラント・ハッティングが怪我などで戦列を離れることに。
試練を迎えた狼軍団は、ここでトップリーグ所属の3人、PRアレックス・ウォントン(リコー)、FL/NO8フェツアニ・ラウタイミ(トヨタ自動車)、WTB石井魁(NTTコム)を追加招集。
そして開幕前から期待されていたWTB/FBゲラード・ファンデンヒーファーがケガを乗り越え、追加招集の3人と共にこの日途中出場からSRデビューを飾った。
サンウルブズの先発メンバーはFLヴィリー・ブリッツ共同主将をはじめ、日本代表ではHO坂手淳史、SH内田啓介、WTBシオネ・テアウパ、そして2014年にブランビーズに在籍したCTB立川理道がスターター入り。
対するブランビーズは、今季開幕戦で敗戦(25-32)を喫した相手。
5年連続プレーオフの強豪だが、今季は4勝8敗と苦戦中。しかしプレーオフ進出の可能性は残るとあって、現在の戦力を全投下してきた。
オーストラリア代表のマイケル・チェイカHCは、代表主力のFLデイヴィッド・ポーコック、PRスコット・シオ、PRアラン・アラアラトアを休ませるよう求めていたが、ブランビーズ側はこれを拒否して先発へ。
さらに豪州代表選出のSHジョー・パウエル、CTBテヴィタ・クリンドラニ、FBトム・バンクスも先発。代表の大多数を離脱させたサンウルブズと、代表を残したブランビーズという対照的な構図でキックオフを迎えた。
試合はこの日、切れ味するどい攻守を披露したCTBジェイソン・エメリーが「前半はタックルする場面が多い試合」と語ったように、前半のサンウルブズは反則でたびたび後退。
ブランビーズがさほどキックを使わず連続攻撃を仕掛けたこともあり、相手アタックを受け続けた。
サンウルブズは前半7分、ハイタックルの反則から自陣ゴール前に後退後、ラインアウトモールからプレッシャーを受けてしまい、FLポーコックが先制トライ。同12分にはFLラクラン・マキャフェリーにトライラインを越えられた(0-12)。
ここでサンウルブズも反撃。前半24分にキック成功率93.7パーセントのSOヘイデン・パーカーがPG(ペナルティーゴール)成功で3点奪取。
しかしその2分後には、スクラムからFBトム・バンクスにインゴール右隅を奪われ、3-19と大きなリードを許す。
ただハンセン DFコーチが指揮官代行とあってか、狼軍団の出足鋭いDFは敵陣などで効果的だった。
前半35分にはそのDFが奏功し、鋭く上がったCTB立川が相手キックをチャージ。こぼれ球をCTBエメリーが嗅覚鋭くキャッチして独走し、チーム初トライ(ゴール成功)を決めてみせる。
前半終了間際、サンウルブズは自陣ゴール前スクラムの大ピンチとなったが、ここでスーパープレーが飛び出す。
スクラムからの相手アタックで、オフロードパスを受けた相手WTBが突進からグラウンディング成功――と見えたが、ここでNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコが右足一本でトライセーブ。9点差(10-19)のまま前半を折り返すことができた。
すると後半序盤には絶好調のSOパーカーが魅せた。
この日は手堅いディフェンスも披露していた稀代のキッカーは、後半開始早々にキックカンターからラインブレイク。PRヘンカス・ファン・ヴィックのSR初トライの足場を築いた。
早々のトライで2点差(17-19)まで追い上げたサンウルブズだったが、この日のブランビーズは獲られても獲り返した。
ブランビーズは失トライ直後の後半5分、WTBアンディー・ミュアヘッドが左隅でスコア。その後次第に運動量が落ち始めたサンウルブズから2トライを奪った。
サンウルブズも後半27分に反転攻勢。スクラムでコラプシングを奪って敵陣へ入ると、迎えた30分には連続攻撃からFLエドワード・カークがトライ。
しかし4分後にWTBヘンリー・スペイトにあっさり独走トライ(ゴール)を許し、24-41に。背中を捉えて追い越すことができない。
ただCTB立川が「準備してきたことをプレーで出せれば、スコアに繋げることができた」と振り返るなど、攻撃に手応えも覚えていた。
後半終了間際には右隅でボールを受けた途中出場の石井魁が、プレー後にシンビン(10分間の一時退場)判定となる危険なタックルを受けながらもグラウンディング成功。
石井がSRデビュー戦でSR初トライを決め、さらに角度のないゴールキックもSOパーカーが決めて、この日のプレースキック成功率も100%(5分の5)。
最後は反撃で終えたものの、最終スコアは31-41で今季11敗目。ブランビーズは5勝8敗として約1ヶ月の休止期間を安堵で迎えた。
サンウルブズの指揮官を代行したハンセンDFコーチは「試合の結果は残念なものとなりました。いくつかの部分を修正しながら、我々はもっと試合自体をしっかりとしたかたちにするべきでした」と敗戦を振り返った。
オーストラリア遠征を敗戦で終えることになったサンウルブズだが、日本代表選手が大量に離脱し、WTBサウマキら主力の外国出身選手も欠いていた。
そんな中でもCTBエメリーが「この(豪州)ツアーでは、多くの日本代表選手がいない中、チームは自信をつけることができました」と語るなど、収穫も手にした遠征だったようだ。
サンウルブズの次戦は約1ヶ月後の6月30日(土)だ。準ホームのシンガポールにブルズ(南アフリカ)を迎えて、テストマッチ後の再開初戦へ挑んでいく。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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