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IJFワールドツアー、欧州シリーズ二大大会の一であるグランドスラム・デュッセルドルフ大会がいよいよ今週末(2月22日~24日)に迫った。この大会の模様はJ SPORTSで生中継される。
先週末、1次エントリーリストを見て目を疑った。エントリー数なんと724人!昨年のグランドスラム5大会の平均参加者が371人(最高はデュッセルドルフ大会の446人)、グランプリ等を加えたワールドツアー全体(世界選手権を除くシニア大会)の平均が363人だからこの異様さ、わかってもらえると思う。1次エントリーから実際の参加者は目減りするのが通例だが、大会直前のきょう(2/19)の時点でもいまだ683人がエントリーを継続中。昨年のIJF全イベントのうち600人を超えたのはバクー世界選手権(参加755名)だけだから、ちょっとこれは飛び抜けている。
もともと「パリではなくデュッセルへ」という選手の流れはここ数年の大きなトレンドではあるのだが、先週行われたパリ大会も史上稀に見る参加者があり(570名)、これだけでは説明し難い。五輪前年となり具体的に出場ポイントを獲りに行かねばならない強豪たちの事情、今が五輪を狙わせるラストチャンスとばかりにジュニアあがりの有望新人も組み入れて大量派遣を為すことになっている強豪国の大戦略はもちろんだが、カギはどうやら参加国数にあり。パリは昨年から16か国増、デュッセルドルフは実に32か国増えてともに97か国が参加しているのだ(昨年のツアー平均参加国は55、世界選手権の参加国は124)。子細に見ていくとアフリカ、中東、パンナム地域の国がかなり増えている。IJFの普及策が実り、これまでは世界選手権にしか顔を見せなかった「登録しているだけの国」もツアーに積極的に選手を派遣することになったということだろう。強豪国の大量派遣に参加国数の増加、2009年に始まったワールドツアーシステム10年間の成熟この巨大大会に極まれり。これが2019年グランドスラム・デュッセルドルフ大会のバックグラウンドだ。
すっかり前置きが長くなってしまったが、注目選手と注目階級について。パリ大会の際に書かせて頂いた通り、強国・日本がこの欧州シリーズを世界選手権代表第3次選考と位置付けて一線級の大量派遣を行っており、どうしても大会の重心は日本勢ということになる。
日本代表候補の出場する13階級すべてが注目に値するが、敢えてと言われれば。男子注目選手としては66kg級の丸山城志郎を挙げさせて頂く。丸山はご存じの通り11月のグランドスラム大阪で世界選手権2連覇中の阿部一二三を投げて優勝、続くワールドマスターズでも圧勝V。成績はもちろんのこと、なによりその勝ちぶりの良さ、これぞ日本柔道という技の切れ味で業界の話題をさらっている。海外の選手間でも丸山は「特別」との感想が度々聞こえてくることとなっており、ようやくその力にふさわしい評価を得つつあるというところか。ライバルの阿部はパリ大会で初戦敗退に終わっており、今大会は追撃者から本命へと代表争いにおける立場を塗り替える大チャンス。今大会の66kg級はマルグヴェラシヴィリ(ジョージア)、プルヤエフ(ロシア)、ダバドルジ(モンゴル)と強豪の数は揃っているが、丸山が順当に力を発揮すれば問題なく頂点に届くかと思われる。
男子は重量3階級に強豪が大量参戦しており、特に90kg級は針の振り切れた豪華さ。現役世界王者シェラザディシヴィリ(スペイン)、同銀メダルのシウバ=モラレス(キューバ)、ガク・ドンハン(韓国)、イゴルニコフ(ロシア)ら頂点レベルの選手が目白押し。エントリー66人という巨大トーナメントを制すのは誰か。日本からはツアーデビューの大阪大会で3位に入賞した若武者・村尾三四郎が挑戦する。
女子の注目選手としてはまず52kg級のもと絶対王者・ケルメンディ(コソボ)を挙げたい。2017年世界選手権決勝で志々目愛に敗れて以降は首の負傷を癒すため休養していたが、1年2か月を経て戦線復帰。11月のグランプリ・タシケント大会、1月のテルアビブ大会と2大会続けて優勝を飾っている。8月の日本武道館でファン待望の阿部詩戦が待ち受ける中、その仕上がりいかほどのものか。面子からして優勝は大前提、注目は内容だ。パリとは選手を入れ替えてそれでもスーパーハイレベルの57kg級、逆にパリで表彰台に上がった海外勢がそのままエントリーしている63kg級、いますぐ世界選手権が出来るレベルの78kg級と面白い階級ばかりだが、ここは注目階級として78kg超級を紹介したい。朝比奈沙羅にオルティス(キューバ)と揃った役者に、なんとユー・ソン(中国)が加わった。ユーは2017年世界選手権決勝で朝比奈を破って優勝したあと休養、実質引退状態だったが先週のヨーロッパオープン・オーバーヴァルトで衝撃の復帰。あっさり優勝を飾っている。不在の間に世界王者となった朝比奈は国内のライバル素根輝に3敗を喫しているが、海外勢への強さを売りに国内一番手に君臨中。自身を含めて世界王者経験者が3名と役者が揃った今大会はそのアドバンテージを示す大チャンスである。
※2/19時点のエントリー情報をもとに作成しています
古田 英毅
「eJudo」編集長。国内の主要大会はほぼ全てを直接取材、レポートを執筆する。自身も柔道六段でインターハイ出場歴あり。2019年東京世界選手権から、全日本柔道連盟の場内解説者も務める。J SPORTSワールドツアー中継ではデータマンを担当。
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