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女子52kg級:阿部詩(日本体育大学)
今年5度目の「グランドスラム」、IJFワールドツアー・カザン大会が5日(水)からロシアで開催される。この模様はJ SPORTSで生中継される。
7月24日に開幕する東京五輪柔道競技の前に組まれているワールドツアーは、このカザン大会と6月(6日~13日)のブダペスト世界選手権のみ。日程、そして参加に伴って設定される事後約2週間の隔離期間を考えれば、このカザン大会が実質的には五輪本番前の、まさに最後の実戦機会だ。
この場に日本から挑戦する五輪代表は女子48kg級の渡名喜風南(パーク24)と52kg級の阿部詩(日本体育大3年)、そして70kg級の新井千鶴(三井住友海上)の世界王者3名。エントリーリスト全体を見渡して、ここまで分厚い派遣を行っている強豪国は他にない。この日本五輪代表3名の戦いぶりが今大会最大のトピックと言って良いだろう。
2018年、2019年と世界選手権を連覇している阿部詩は、コロナ禍による約1年間のブランクを経て3月初旬のグランドスラム・タシケントで国際大会に復帰。しっかり優勝はしたのだが、本人曰くその評価は「思うようなものではなかった」「力を出し切れなかった」という厳しいもの。ゆえに、敢えて五輪前に再度の実戦を設定したとのことだ。確かに、いずれも格下を相手にしたこの大会は初戦でまず無名のモンゴル選手にほぼ時間いっぱいを使っての「指導3」勝ち、以後の2戦はいずれも一本勝ちも得意の高い軌道の投技は不発で、まとめを期した決勝は相手の棄権で不戦のまま優勝決定。我々が抱く「触れなば投げん」の秒殺量産者・阿部のイメージとは少々異なる試合ぶりであった。阿部はこの因をまず試合勘不足、そして相手の徹底研究によって自分の形で技に入れなくなっていることと分析している。試合勘の部分は本人も語る通りこの大会でクリアになっており、注目すべきは後者。増地克之代表監督も「袖釣込腰以外で投げられるかどうか」をポイントとして挙げるなど、これまでと違う組み手、違う入り方、違う持ち技での攻撃が求められる局面だ。
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