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ピックアップ コラム 2019年3月25日

代表組ズラリ並べた日本勢の活躍が最大のみどころ・グランプリフフホト大会

柔×コラム by 古田 英毅
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ベイカー茉秋

ベイカー茉秋選手

2018年IJFワールドツアー第9戦、グランプリ・フフホト大会は25日から27日まで中国・フフホトで開催される。この試合の様子はJSPORTSで生中継される。

内モンゴル自治区の省都であるこの都市でIJF大会が行われるのは昨年に続き2度目。 大陸選手権に合わせたブレイクを経て1か月半ぶりのツアー大会となるこのイベントには、本来「狭間」の時期であるこのシーズンとしてはやや意外なほどに強豪の粒が揃った。

日本をはじめこのブレイク期間に世界選手権の代表が決まった国が多いこと、 9月の世界選手権を踏まえてツアーの日程をにらむと「余裕を持って」戦える調整大会は実は決して多くないこと、そして、2020年東京五輪参加資格へのポイント蓄積が始まる節目の大会であること。こういった事情がこの充実陣容を後押ししたものと考えられる。

各階級1テーマずつ面白いトピックを抱えている密度の高い大会なのだが、みどころを総論的に括ると、やはり豪華陣容を送り込んだ日本代表の戦いぶりということになる。 世界選手権とアジア大会の代表をズラリと並べたその戦力は他国を圧するものがある。

そして世界選手権代表の橋本壮市とアジア大会代表のベイカー茉秋、日本が誇る世界チャンピオン2人が登場する73kg級と90kg級がそのままこの大会男子の最注目階級。

73kg級はワールドランキング1位を快走する橋本に加え、リオ五輪期に日本勢最大の難敵と規定されていたアン・チャンリン(韓国)が参戦。 アンは昨年明らかに不調だったがそれでも世界選手権で銅メダルを獲得、今期は出場したツアー2大会でいずれも表彰台に上がって復調気配だ。

前回の橋本との対戦(2017年GSパリ決勝)では延長戦の末に、橋本がアンの足を蹴って無理やり上げさせる「セルフ内股透」とでもいうべきスペシャル技を繰り出して勝利している。 「昭和の強豪」を彷彿とさせる小内刈と背負投によるクラシカルで力強い攻めが武器のアン、巧みな組み手に次々異次元級のオリジナル技を盛るモダンなスタイルの橋本、今回も熱戦に期待だ。

この73kg級ではもう1人、22歳の新鋭ツェンドチル・ツォグトバータル(モンゴル)を注目選手として挙げておきたい。 2016年春に突如頭角を現すや、ガンバット・ボルドバータルにダシュダバー・アマーツブシンらずらり居並ぶ世界選手権のメダリストを蹴散らしてみごと60kg級でリオ五輪代表の座を射止めた、あの選手だ。 昨年階級を2つ上げて73kg級に参戦すると、今年はグランドスラムパリ3位、グランドスラムエカテリンブルグに優勝。

その勢いを駆って4月16日のモンゴル選手権では階級の第一人者ガンバ―タル・オドバヤルを裏投「技有」で破って見事優勝を遂げている。 世界選手権ではメダル争いに絡んでくること確実、ここでしっかりウォッチしておきたい。

ガク・ドンハン(韓国)、フセン・ハルモルザエフ(ロシア)ら実力者がエントリーしている90kg級は、 なんといってもベイカー茉秋とネマニャ・マイドフ(セルビア)の世界チャンピオン対決に期待したい。 マイドフはベイカー不在の2017年世界選手権を、ほぼまったくの無名からいきなり制したシンデレラボーイ。 以降は長期欠場しなかなか力を証明出来なかったが、4月の欧州選手権では持ち前の勝負強さを発揮して2位に食い込んでいる。

一方のベイカーは負傷からの復帰戦となる2月のグランドスラム・デュッセルドルフでは2位入賞、決勝ではおそらく今季90kg級最大の発見であるミハエル・イゴルニコフ(ロシア)に屈したものの変わらぬ強さをアピールした。 ベイカーが真のチャンピオンの強さを見せつけるのか、「フロック優勝」の評を払拭し切れないマイドフが意地を見せるか。これも見逃せない戦い。

阿部詩選手

阿部詩選手

女子は前述「1階級、1テーマ」と評させて頂いた通り、海外選手の人材薄い63kg級を除く6階級すべてで主役級の鍔迫り合いが見られ、非常に面白い。 その中で敢えて最注目階級を挙げれば、昨年来国際大会全勝中、初めての世界選手権代表の座を得たホープ・阿部詩が登場する52kg級ということになるだろう。

今大会には阿部が未対戦のエリカ・ミランダ(ブラジル)が参戦。極端に少数の強者とそれ以外がはっきり分かれる構図のこの階級にあって、阿部がこの強豪に「どう勝つか」は非常に興味深い。本番における阿部戴冠の可能性を探る興味深い一戦になるだろう。

選抜体重別、皇后盃と4月に2つの最高峰タイトルを得た素根輝がキム・ミンジョン(韓国)とマリアスエレン・アルセマン(ブラジル)に挑む78kg超級、 現役世界王者新井千鶴とワールドマスターズ制覇以来絶好調のマリア・ポーテラ(ブラジル)がシードを張る70kg級と期待の階級は枚挙に暇なし。 放送に乗る決勝ラウンドは、継ぎ目なく全試合が注目カードという忙しい2日間となりそうだ。

※5月22日のエントリー情報をもとに作成しています

古田 英毅

「eJudo」編集長。国内の主要大会はほぼ全てを直接取材、レポートを執筆する。自身も柔道六段でインターハイ出場歴あり。2019年東京世界選手権から、全日本柔道連盟の場内解説者も務める。J SPORTSワールドツアー中継ではデータマンを担当。

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