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2023“SF鈴鹿決戦”チャンピオン候補3|リアム・ローソン~夢にもう一歩近づくのに必要な“初のビッグタイトル”~
モータースポーツコラム by 吉田 知弘ここまで事前準備ができないとなると、苦しい戦いになるのではないかと思われたが、ここで驚異の対応力が発揮される。フリー走行中止に伴い、ノックアウトではなく45分の計時方式に変更になったことを利用し、ローソンはセッション前半を使って、コースの習熟に専念。幸い、昨年15号車をドライブしていた笹原右京とともにチームが作り上げたセッティングがあり、それを利用して着々とタイムを更新。終わってみれば、野尻、宮田に次ぐ3番手につけた。
午後の決勝レースでも、デビュー戦とは思えない冷静な走りを披露。野尻とのトップ争いに持ち込み、アンダーカットで逆転に成功。その後も、ファステストラップを塗り替えるペースを披露するローソンを見て「これは、凄い……」と、筆者もメディアセンターで声が漏れたほどだった。
こうして、デビューウィンという快挙を達成。第2戦以降も安定した活躍を見せていき、早くもチャンピオン候補として名乗りを上げた。
デビュー戦を勝利で飾ったリアム・ローソン
TEAM MUGENの関係者らに聞いても、セットアップが思うように決まっていなくても、ローソンは乗りこなしてしまう器用さがあるとのこと。過去に参戦していたDTMでもデビューレースでいきなり優勝を飾ったほか、F2もフル参戦の開幕戦で勝利を手にしている。それが彼の才能なのだろう。
また、今季はレッドブルF1のリザーブドライバーも兼務しており、ヨーロッパにいる間は、ほぼレッドブルのファクトリーでシミュレーターに乗って、様々なテストを行なっている。F1でのシミュレータードライブは、単にドライビングスキルを向上させるための練習ではなく、各レースで現地から上がってきたデータをもとにシミュレーターで検証し、フィードバック情報を現場に戻し、次の日にそれが反映される場合もある。そのため、時間がない中で的確なフィードバックが出来ないといけない。
今シーズン前半は、ダニエル・リカルド(途中からアルファタウリのレギュラーに就任)とともに、現場でリザーブとして待機する担当と、ファクトリーでのシミュレーター担当を毎戦交互に担当していたとのこと。短期間でさまざまなことを覚えて、それを自分のパフォーマンス向上に繋げていかないといけない。
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