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2023“SF鈴鹿決戦”チャンピオン候補2|野尻智紀 ~3連覇という大偉業への挑戦「僕も“日本一速い男”と呼ばれたい」~
モータースポーツコラム by 吉田 知弘直接2台が前後に位置してのバトルではなかったが、まるで目の前にライバルがいるかのようにラップタイムを削り合っていった2人。最終ラップもお互いが残っているオーバーテイクシステムを全て使い切っての攻防戦を繰り広げた末、先にチェッカーフラッグを受けたのが、野尻だった。
パルクフェルメではガッツポーズをみせていたが、優勝した嬉しさを爆発させているというよりは、自身がコツコツと積み重ねてきた努力が結果につながったに対して、自信を深めていた表情をしていた。
翌2021年はコロナ禍で奮闘する医療従事者への感謝のメッセージが大きく描かれたカラーリングで参戦した。開幕戦から絶好調で、シーズン3勝をマーク。7戦全てを6位以内でフィニッシュする活躍を披露し、最終戦を待たずに初のシリーズチャンピオンに輝いた。
コロナ禍でチームと会える時間も限られるなど、スーパーフォーミュラを戦う上でも制限があったシーズンだが、野尻は徹底的にマシンのセッティングや過去のレース展開を徹底的に分析。疑問があれば、すぐに一瀬俊浩エンジニアに連絡して、速さと強さを見出すための方法を探り続けた。その努力が実ったシーズンだったと言える。
カーナンバー1をつけて臨んだ2022シーズンは、それがさらに進化を遂げていく。全10戦のうち6戦でポールポジションを獲得。決勝レースでも表彰台を逃したのは第4戦オートポリスと第8戦もてぎ(いずれも4位)だけという、超安定的な結果を残し、こちらもシーズン最終戦を待たずにチャンピオンを決めた。
ここまで1人のドライバーがライバルを圧倒するシーズンは、スーパーフォーミュラの歴史を見ても珍しい。その分、「どうぜ、また野尻がトップなんでしょ……」という声があったのも事実。2連覇を目標に地道にやるべきことをこなしていた野尻とっては、そういった声がストレスに感じることもあったという。
それでも“自分の任務を遂行する”ことを徹底。国内トップフォーミュラでは松田次生(2007年&2008年)以来となる2年連続チャンピオンという快挙を成し遂げた。
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