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思えば、昨シーズンもフリー走行で調子が悪かったのを立て直して、何度も流れを変えるポールポジションを獲得してきた野尻。今回も予選での鮮やかなトップタイム奪取で、一気に雰囲気が変わった。
そして、日曜日の決勝レースでは勝利への強い想いが走りとなって表れる。2番グリッドの太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が大きく出遅れたことで、1コーナーの争いは野尻とローソンの一騎打ちとなった。アウト側から並びかけようとするチームメイトに対し、野尻は通常よりアウト側のラインを通ってけん制する姿勢を見せた。
「(第3戦の)鈴鹿ではリアムに無理やりシケインでインに入られて……ちょっとホワイトラインをカットしながら入っていったんじゃないかと言うところがありましたが『今回はギリギリのスペースでいく!』と決めていました」
「リアムとしては、もう少しスペースを残してもいいんじゃないかと思うところもあったと思うのですが、僕としては(スペースは)ギリギリだったかなと思います。でも、ギリギリのところまで行く姿勢を見せることが、(チャンピオンがかかった)次の鈴鹿につながるのかなと思います」
チェッカー後喜びを爆発させた野尻
レース後の記者会見で、当時の状況を振り返った野尻。その表情からは“必ず這い上がってチャンピオンを獲得する”という強い意志がこちらにも伝わってきた。
その後、赤旗からの再開以降も終始力強いペースでトップを守った野尻。4月の第2戦以来となる今季2勝目を飾り、ランキング首位の宮田に対して10ポイント差、2番手のローソンには2ポイント差に迫った。10月末の最終鈴鹿大会は2レース制ということもあり、自力での逆転チャンピオンが可能な範囲につけた。
7月の第6戦富士で宮田に25ポイント差をつけられた時から、わずか1レースで状況を一変させた野尻。一見、厳しい状況になっているのかと思われたが、本人のなかでは“必ずやり返す”と、闘志を燃やしていたインターバル期間だったという。
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