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サッカー&フットサル コラム 2026年6月26日

背負い続けてきたナンバー10の矜持。柏レイソルU-18・加茂結斗が整えつつある“あっちのグラウンド”に行くための準備と覚悟 【NEXT TEENS FILE.】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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柏レイソルU-18・加茂結斗

ピッチに立つ22人の中で、誰よりも輝くパフォーマンスを発揮するのはもう当たり前。そのうえで、どの試合でも自分がチームを勝利に導けなければ、10番を背負っている意味はない。個人の成長が、そのままグループの成長に繋がると信じて、ひたすらベクトルを自身に向けていく。

「もちろん個人の成長も大事ですけど、今はチームの成長が凄く大切だなと思っていて、まずはチームが勝つことで、自分の成長に繋がるし、自信にもなるはずなので、この仲間とやれる試合ももう限られている中で、しっかり自分たちが掲げている目標を達成できるように、日々の練習に取り組んでいくだけですね」

昨シーズンから背番号10を託されている、柏レイソルU-18を牽引する確かな才能。加茂結斗は新たに与えられた役割にもポジティブに向き合いながら、常に他を圧倒するプレーを披露し続け、自らの望んだ未来を力強く手繰り寄せる。

「ボランチだと360度の視野で守備をしないといけないですし、他のポジションよりタスクも増えるので、かなりやりがいを感じています。凄くやっていて楽しいですし、やれるポジションの幅を増やすのも大事だと思うので、いろいろなことを経験して、自分の糧にしたいですね」

昨シーズンまで基本的には1トップ下やサイドハーフといった、攻撃的なポジションに入ることの多かった加茂は、今季から志田達郎監督が新指揮官に就任すると、ボランチで出場する試合が増加。中盤のど真ん中でゲームの舵取りを任されている。

プレミアリーグEAST第10節。技術の高い選手が居並ぶ東京ヴェルディユースを向こうに回しても、ボランチを務める10番のテクニックはまったく見劣りせず、ゲームを巧みにコントロール。加えて横に並ぶ米田光とともに、攻守のバランスも丁寧に整えていく。

新ポジションが板に付くにつれて、少しずつその面白さもわかり始めている。「徐々にやらなきゃいけないことや、優先するべきものもわかってきた中で、自分はボールにさわってゲームをコントロールするのが好きなので、そういうタスクをこなせることは凄く監督にも感謝していますし、『このチームは自分が中心なんだよ』ということを、いろいろな人にわかってもらえたらいいなと思いながら、凄く楽しくやっています」

一方で、攻撃に特徴を持つ自分がボランチを担うからには、チームにもたらすべきプラスアルファにもきっちり目を向けている。「やっぱり今の時代は得点の獲れるボランチの価値が高いと思いますし、このポジションに慣れてきたからこそ、次にやることがまたわかったので、そこに重点を置きながら、結果にこだわってやっていきたいです」。掲げるのは結果を出せるボランチ。越えるべきハードルは、いつだって現状より高い場所に置いてきた。

試合は2-1で東京Vユース相手に逆転勝利。ただ、90分間フル出場を果たし、1点目の“アシストのアシスト”には関わったものの、数字という意味での結果は出せなかった。「今日も得点もアシストもできていないので、もう少しゴール前に入っていくことも意識しつつ、もっと結果を伸ばしていきたいですね」。チームの収穫と、個人の収穫を過不足なく結び付けるため、貪欲なチャレンジを続けていく。

 

たとえば鹿島アントラーズの吉田湊海。たとえばジェフユナイテッド千葉の姫野誠。年代別代表でもともにプレーした仲間たちが、次々とプロ契約を締結し、Jリーグの舞台に立ち始めている。もちろん意識はするし、刺激も受けているけれど、以前より他人が気にならなくなった自分も感じている。

「同年代のライバルとか、一緒に代表でやってきた選手がプロ契約していくのは、凄く刺激になりますし、感心もしています。でも、自分には自分のペースがあると言ったら、少し言い訳みたいになっちゃうかもしれないですけど、今の自分はあまり人と比べないでやっていこうということを“心の芯”に置いているので、『オレもやるよ』『オレもそこまで行くよ』ということは、いつも自分に言い聞かせています」

自分に対する自信が、揺らぐことは絶対にない。これから自分が何をすべきか、何をすれば成長できるかという道筋が、はっきりと見えてきているから、焦らないし、急がない。ちゃんとステップを踏めば、必ずアイツらに追い付き、追い越せる。だから、大事なのは今。目の前の課題を1つずつクリアして、着実に力を纏っていく。

トップチームの練習に参加していることも、明確な基準を知ることに繋がっている。とりわけ自分のスタイルに近いタイプの“2人”からは、小さくない学びを得ているようだ。「中川敦瑛くんと小泉佳穂くんは、自分とそこまで体格差もないのに、Jのレベルであれだけのプレーができるのは凄いですし、一緒に練習してみると『ちょっと違うな』と感じる2人なので、そこに食らい付いていきながら、いいものを吸収していこうということは意識しています」

準備はできている。あとは時が来たら、自分のすべてをぶつけるだけ。きっとその日は遠くないと信じ、日常を磨き続けるだけだ。

「自分のレベルが上がっていることは、自分でもわかっていますけど、『今までの自分とは違う』ということを表現するのは、やっぱり“あっち”のグラウンドでやることなので、まずは“こっち”で一生懸命やって、結果を残すだけですね」

「その中で、いざ“あっち”に呼ばれた時にしっかりできるような準備という意味では、今は凄く良いポジションにいるというか、自信も上がってきましたし、『やれるよ。準備できてるよ』と言えるだけの覚悟も持っているので、いつ“あっち”に呼ばれても問題なくプレーできると思います」

個人の成長が、そのままグループの成長に繋がると信じて、ひたすらベクトルを自身に向けていく。そのうえで、突き抜ける。人工芝が敷き詰められた、“こっち”のグラウンドでも。もちろん天然芝の緑も鮮やかな、“あっち”のグラウンドでも。レイソルが丁寧に育んできた、背番号10の根拠ある自信家。加茂結斗、覚醒間近。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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