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届かなかったファイナルへの残心。それでも川崎フロンターレU-18・由井航太は新しい航海へ漕ぎ出していく 高円宮杯プレミアリーグEAST 川崎フロンターレU-18×尚志高校マッチレビュー
土屋雅史コラム by 土屋 雅史とはいえ、由井がピッチで醸し出す存在感はやはり絶大。長橋監督もセンターバックで起用する理由について、「最初はケガ人などのチーム事情もありましたが、プレーをしながら凄く守備の部分がしっかりしてきたことと、本人とも『いずれボランチに戻っても、この経験は絶対プラスに働くよ』と話しながら、前向きにトレーニングしてくれています」と言及している。要は自分に厳しい男なのだ。
それでも本人が拭えないのは「自分がプロ昇格内定とか3年生だから出ているだけ」という想い。自己評価に思い悩む難しいメンタルの中でも試合に出続けていた日々を、「そこはもう頑張って気持ちを保つしかないと。自分を出してくれているヤスさんの意向も感じていたので、チームを引っ張っていかなきゃいけないなと思っていましたし、それで試合に出られていない林もいるからには変なプレーはできないので、そこは何とか頑張りました」と正直に振り返っている。
優勝の可能性を残して、2位で迎えた最終節。3位の尚志高校と対峙する等々力陸上競技場のピッチには、センターバックとしてスタメンで登場する由井の姿があった。試合は尚志が前半のうちに先制。以降は川崎U-18が押し気味に進め、後半開始早々に追い付いたものの、そこからはなかなか次の1点が奪えない。
「1-1に追い付いて、流れ的には完全にこっちだったと思うので、そこで2点、3点行こうというのはみんな考えていましたけど、なかなか点が獲れない中で自分たち守備陣も慌ててしまって、ああいう失点が起きたのかなと思います」。82分にゴールを挙げたのは尚志。以降もホームチームは懸命に攻めたものの、試合は1-2でタイムアップ。川崎U‐18が目指してきた、1年前のリベンジを期すファイナル進出は、叶わなかった。
「尚志もこの試合に懸ける想いというのが凄く伝わってきて、でも、自分たちも気持ちの面では負けていなかったと思うので、単純に負けたのは実力です」。ホーム最終戦のセレモニーを終えて、取材陣の前に現れた由井はいつも通りの雰囲気で、淡々と、時には笑顔を浮かべて話を重ねていく。
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