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東南アジアのインドネシアにて、U-17日本代表の「世界」での戦いが始まっている。森山佳郎監督に率いられたチームは11日、U-17ポーランド代表とシ・ジャラク・ハルパト・スタジアムで対戦。激戦の末、1-0の勝利を飾った。
日本がグループステージの3試合を戦うインドネシアのバンドンは首都ジャカルタから通常の特急列車で2時間半ほど、車なら3時間余りの場所にある。最近になってジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道も開通し、こちらは45分で両都市を結ぶと言う。筆者も乗りたかったのだが、随分と人気らしくチケットは売り切れており、あえなく特急列車2時間半の旅となった。
バンドンは植民地時代に大きく発展した都市で、独立戦争の激戦地としても知られるが、世界史を履修した日本人であれば、「1955年に行われた第1回アジア・アフリカ会議の開催都市」でピンと来るかもしれない。現在も少なくない数の日本人が在住しており、12日には現地の日本人学校と代表チームの交流会も開催されている。彼らの存在は、このグループステージを通じて代表チームを支えてくれる強力な“サポーター”だ。
バンドンは標高700m前後のちょっとした高地にあり、気温は総じてジャカルタよりも若干低い。雨季に入った現在、日中の最高気温は30度を少し上回る程度。湿度は高めなので過ごしやすくはないし、アスリートパフォーマンスという点では高地であることも多少の影響はありそうだが、日本人にとって特段やりにくいと感じるような気候ではないだろう。おそらく初戦で当たったポーランドの選手ほどの影響は受けていない。
FIFA U-17 ワールドカップ
もっとも、コロナ禍で国際経験も不足し、徹底的に消毒された環境で過ごしてきた選手たちにとって簡単な環境ではないようだ。団長として帯同している反町康治技術委員長が「生野菜は食べさせていないし、水は口をゆすぐものについても気を遣っている。ただそれでも、どうしてもお腹を壊す選手は出てきてしまう」と言うように、腹痛を訴える選手や、もっと進んで胃腸炎から発熱して寝込む選手まで出てしまった。
【ハイライト動画】日本 vs. ポーランド|FIFA U-17 ワールドカップ インドネシア 2023 グループD
ポーランドとの初戦では、バンドン入りしてから胃腸炎で発熱してしまったMF佐藤龍之介(FC東京U-18)が病み上がりのために先発を回避。「元気な選手を使っていくだけ」という森山佳郎監督の方針に沿った先発オーダーとなった。
総じて選手たちのモチベーションは高く、胃腸炎で離脱していた佐藤からも「世界大会楽しいっす」という言葉が漏れる。それも、対戦相手が名の知れた強豪揃いだからだろう。次の相手はA代表が世界を制した記憶も新しいU-17アルゼンチン代表。南米を代表する伝統国である。
その初戦は「だいぶナーバスになっている選手が多かった」(森山監督)という緊張感もあって思うようなプレーができず。試合後の選手からは口々に「反省」の二文字が漏れてきたが、3度目のU-17ワールドカップとなる森山監督は試合内容も選手たちのコンディションも「まあ、こういうもんでしょう」と笑って受け止めつつ、選手たちの気持ちのベクトルを「次」へと向けさせている。
「(アルゼンチンは)日本で見たことがないくらいの球際の強さ、プレスの圧力がある。序盤に色々苦しむのは目に見えているけど、逆に前半に相手を走らせることができれば、逆に日本は後半から良くなっていけると思っている」(森山監督)
世界的なトレンドである立ち上がりからハードなプレスをかけてくる相手に対してどう立ち向かうかは、大会を通して日本のテーマになっていく部分。もちろん、アルゼンチンの真骨頂はプレッシャーの強さだけではない。
「全員ボールを持てて、体幹の強さがある。1対1で簡単に負けたり、ワンツーについていけないようだと完全に相手のゲームになってしまう」(森山監督)
10番を背負って伝統のタスクを背負うMFクラウディオ・エチェベリ(リーベルプレート)、ドリブルでの仕掛けが魅力のFWサンティアゴ・ロペス(インディペンディエンテ)など、すでにプロのトップチームでのプレー経験を持つ選手もおり、個々の技量に加え、日本人選手が総じて苦手とする駆け引きを得意とする選手も多い。前半早々から相手ペースに呑まれるようだと、勝機は薄くなるだろう。
引き分けでもグループステージ突破は見えてくるシチュエーションだが、森山監督は「まず『(勝点)3』を狙う」と明言。その上で、試合状況を見極めての采配をふるっていく考えだ。
南米の伝統国と日本の若き精鋭がぶつかる注目のグループステージ第2戦は、日本時間14日21時から開幕する。
J SPORTS 放送情報
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FIFA U-17 ワールドカップ インドネシア 2023 グループD 日本 vs. アルゼンチン
放送時間:午後 8時 45分~生中継
写真:J SPORTS取材班
川端暁彦
フリーランスの物書き。主にサッカーの育成年代の取材を継続的に行っており、各種媒体に寄稿している。
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