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鹿島に何が起こっていたのだろうか?
分かりやすく説明してくれたのが、試合後の記者会見に出席した岩政大樹監督だった。
攻撃はパスをつないで自分たちでボールを動かしていくやり方と、中盤を省略してでも前線にボールを付ける攻撃がある。鹿島は、前線に長いボールを付ける攻撃(岩政監督は「飛ばす」という言葉を使った)はできていたので、中断期間はパスをつなぐ攻撃(岩政監督は「動かす」と表現した)の準備をしてきた。
だが、本当なら相手の出方や試合の流れによって、その両者を使い分けなければいけなかったのに、前半の鹿島は「動かす」ことに意識が行き過ぎたというのだ。
だから、神戸のプレッシャーに遭うと、「パスをつなげない」と判断してボールを下げてしまう結果となった。
たしかに、こういう現象はサッカーの試合ではよく見かけることだ。
かつて、日本代表も中盤でパスをつなぐこと、ポゼッションはうまいが、「それがゴールに結びつかない」と批判されていた時代があった。
監督が、なにか一つの指示を出すと、選手たちがそれに縛られてしまうということもよく起こる現象だ。監督は、指示を出す時には、そのあたりのいわゆる「さじ加減」が難しいところなのだ。岩政監督は「僕の責任」という言葉を口にしたが、やはり、まだ経験の浅い監督だけにそのあたりの「さじ加減」の難しさを痛感したのだろう(ちなみに、現在絶好調の日本代表は、まさにそのあたりの判断力が素晴らしい。相手の出方や試合の流れに応じて、選手たちが考えて戦い方を変えることができるのだ)。
鹿島がそんな状態だったので、神戸にとって前半の戦いはまさに会心の出来だったはずだ。
しかし、なかなか得点に結びつけられなかった。実際、16分に左サイドからの井出遥也のクロスに佐々木が合わせて先制ゴールを奪った後、かなり一方的な試合だったにも関わらず、2点目はなかなか入らなかった。
「これだけ攻めながら1点だけで終わってしまうと、後半どうなるか分からないぞ」と、スタンドで見ている僕たちは思ったし、おそらく神戸の選手たちもそんなことを感じていたかもしれない。
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