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国立競技場
J1リーグ第30節。東京・国立競技場で首位を走るヴィッセル神戸と4位につける鹿島アントラーズが激突。神戸が3対1で完勝して、リーグ初優勝に向けて大きく一歩前進した。
神戸にとっては、「難敵」鹿島との戦いは優勝に向けての大きな試金石となる試合だった。鹿島は守備が充実し、前線には鈴木優磨が存在感を発揮しているチームで、かなりの勢いを持って首位争いに肉薄した時期もあった。
しかも、天皇杯全日本選手権や日本代表の活動があったため、第30節は3週間ぶりの試合。試合間隔が開きすぎるのは、「連戦」と同じくらい難しいこと、だ。とくに、神戸のように好調を維持しているチームにとっては、試合勘を失ってしまう危険もある。
だが、そんな心配はまったくの杞憂だったようだ。神戸は、前半のうちに2ゴールを決め、前半、鹿島には1本のシュートも撃たせなかったのである。
神戸は大迫勇也が絶妙のポストプレーを見せる。かなりアバウトなボールでも、大迫はヘディングでつないだり、足元に収めたりして、うまくさばいて味方を使うことができる。
だが、神戸の攻撃の起点は大迫だけではない。酒井高徳や武藤嘉紀のような元日本代表を使ったサイド攻撃も効果的だし、また、扇原貴宏をアンカーに置いた中盤も強力。佐々木大樹の成長もあって、攻撃の多彩さは増している。
そして、今シーズンの神戸躍進の原因となった、高い位置からの守備もますます磨きがかかっている。
ボールを失うとすぐに切り替えて前線から守備に入る。そのネガティブ・トランジションが鹿島の攻撃を分断した。神戸の選手たちがパスコースを塞いだうえで、前線の選手がプレッシャーをかけるので、鹿島の選手たちはボールを下げるしかなくなってしまった。それが、前半、鹿島のシュート・ゼロという結果につながったのだ。
これは、神戸の守備の良さのせいでもあったが、同時に鹿島の自滅のようでもあった。鹿島の選手は、相手にプレッシャーをかけられると、あまりにもあっさりとバックパスに逃げてしまった。イーブンの可能性であっても、前線にロングボールを入れて、もっと果敢にチャレンジしてほしかった。
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