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サッカー フットサル コラム 2023年7月4日

スペインを襲う近隣国との移籍市場の格差、必然的な流出が起こり続ける

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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ラモン・ロドリゲス・ベルデホ ”モンチ” スポーツディレクター

ラモン・ロドリゲス・ベルデホ ”モンチ” スポーツディレクターはアストン・ビラへ

スペインにまた我慢の夏がやって来た。

UEFAランキング2位と、同1位のプレミアリーグにグラウンド上では何とか戦えている。CLでは優勝したマンチェスター・シティに退けられるまでレアル・マドリーが準決勝まで勝ち上がったし、ELでは優勝候補筆頭のマンチェスター・ユナイテッドを破ってセビージャが優勝した。

だが、お金の話になると手も足も出ず、移籍市場というのはその差が最も残酷な形で表れる場である。

昨季の夏と冬の市場でプレミアリーグ勢は、ラ・リーガ勢の5.5倍の補強費を使った。だが、それよりも驚くべきはプレミア勢の20億ユーロという巨額の赤字で、ラ・リーガ勢の赤字4700万ユーロの実に44倍となっている(数字はすべて移籍情報サイト『トランスファーマルクト』より)。選手の売買の収支でこれだけ赤字を出しても平気なところに、プレミアの断トツのビッグビジネスぶりがうかがえる。

対照的に、ラ・リーガ勢は安く買って育てて高く売ることで、何とか収支を黒字にしようとしているし、レアル・マドリーとバルセロナでさえも大幅な赤字になるのは避ける。選手の売買自体がビジネスの柱になっており、収支悪化させるわけにはいかないのだ。

この夏、“世界一のスポーツディレクター”と呼ばれるモンチが、セビージャを離れてアストン・ビラへ移った。黒字が至上命令であったセビージャからほぼ無尽蔵にお金を使えるアストン・ビラへ。別世界への旅である。

ちなみに、モンチを呼んだ監督ウナイ・エメリはW杯直前にビジャレアルから引き抜かれている。ことほど左様に、新シーズンもラ・リーガからプレミアへの必然的な流出が起こり続ける、ということだろう。

さらに、ラ・リーガにとっては新たな競争相手が現れた。それがサウジアラビアリーグ勢──特に国営企業がバックに付いているアル・イテハド、アル・アハリ、アル・ナスル、アル・ヒラル──である。

彼らが無尽蔵の財力を持っていることは、レアル・マドリーがベンゼマを引き留められなかったこと、バルセロナが狙っていたブロゾビッチをかっさらわれたこと、クリスティアーノ・ロナウドを擁していること、逃げられたもののメッシに提示した巨額オファー、今夏カンテ、クリバリ、ルベン・ネベスを獲得して台風の目になっていることでわかる。

ラ・リーガには、プレミアで戦力外になりかけていたベテランを安価で獲得するというルートがあったのだが、ここでサウジアラビア勢と競合する。コンペティションとしての魅力なのか? 黄金のセカンドキャリア+夢のリタイヤなのか? お金に流れる者も相当数いるだろう。

いつもの夏であり異色の夏、ラ・リーガ勢に何が起こるのか? 注目して、ここでもレポートしたいと思う。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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