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サッカー&フットサル コラム 2026年5月8日

わずか1年で県リーグから年代別代表まで駆け上がった努力の人。流通経済大柏高校・内田煌生がプレミアの舞台で輝きを放つ価値 高円宮杯プレミアリーグEAST流通経済大柏高校×帝京長岡高校マッチレビュー

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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流通経済大柏高校・内田煌生

昨シーズンがスタートした時の立ち位置を考えれば、自分でも想像を遙かに超えるようなところまでたどり着いたけれど、まだまだ成長する余地は十分すぎるほどに残されている。中盤のど真ん中にしっかりと根を張り、危険な場所へは誰よりも速く駆け付け、100パーセントのエネルギーを出し尽くして、チームを必ず勝利に導いてやる。

「自分の上の代の選手でも、流経はCチームから一気に選手権でメンバーに入る人も多かったですし、そういう高校だと思っているので、自分も『そういうところからのスタートでもここまで来られるんだ』ということを見せられているんじゃないかなと思います」

県リーグを主戦場に置いていたボランチから、プレミアリーグの首位チームを支えるボランチへ。流通経済大柏高校が誇る献身的な仕事人。内田煌生はハイレベルな環境で自身の価値を高めながら、さらなるステップアップへの階段を、軽やかに、颯爽と、駆け上がる。

「アイツはいとわないし、嫌な顔もしないじゃないですか。最後も相手の10番まであれだけ激しく行って、僕も『アレも行けるか!』と思いましたよ。『ここはオレが行かなきゃ』っていうところの思い切りがいいんですよ。本当に効いています」

同じ高体連の強豪校・帝京長岡高校をホームに迎えた一戦。流通経済大柏高校が敷くダイヤモンド型の中盤の一番底、いわゆるアンカーを託された内田を、チームを率いる榎本雅大監督はそう称賛する。

決して派手なプレーを繰り出すわけではないが、いつだっていてほしいところに、その人はいる。「去年で言ったら(島谷)義進のポジションで、少し意識もしていますけど、自分はまたちょっと違うタイプの選手ですし、中盤の前の3枚は攻撃的な選手なので、そこを支えることを意識しながら、守備では自分が3人を引っ張ることを考えています」

昨年のチームで同じポジションを任されていたのは、キャプテンを務めていた島谷義進(水戸ホーリーホック)。だが、内田本人も語っている通り、そもそもタイプも違うだけに、「去年は同じポジションだったので、義進に話を聞くことも多かったですけど、自分は自分らしくできればと思います」と言い切るあたりにも、明確な自身のプレービジョンが滲む。

チームは後半に入って先制すると、帝京長岡が選手交代とシステム変更を施したことで、流通経済大柏の右サイドを使われることが多くなったが、すぐに状況を把握し、水漏れへの対処を的確に施す。「相手の左サイドの人数が多かったので、少しこっちの左サイド(加島宏樹)を絞らせて、自分はあそこを捕まえに行こうと。もう出ると決めたら奪いに行って、ちょっと剥がされるところもあったんですけど、しっかり行けたのは良かったかなと思います」

試合は1-0できっちり勝ち切って、連勝を達成。「中2日でのキツさもあったんですけど、自分の中では90分走り切れたことが一番の収穫ですし、もうちょっと攻撃でチャンスを作れたら良かったですけど、チームのためにやることはできたかなと思います」と胸を張った内田の効果的なパフォーマンスが、勝利の一翼を担ったことに疑いの余地はない。

「サッカーをやってきた中で一番伸びた1年だと思います」と内田が振り返るのは昨シーズンのこと。前期はCチームが参戦している千葉県1部リーグでプレーしていたが、夏休みに2年生だけで臨んだ広島遠征で好パフォーマンスを披露。「『ちょっと良くなってきてるね』みたいな感じで抜擢したら、そこで僕らの信頼が揺るぎないものになったんです」とは榎本監督。後期はプリンスリーグ関東2部を戦うBチームへと昇格することになる。

さらなる転機になったのは、「急に監督から電話が掛かってきて、行くということになったので驚きました(笑)」と本人も言及する『育成年代応援プロジェクト JFA アディダス DREAM ROAD』のアルゼンチン留学。昨年の秋に2週間にわたって、名門のリーベル・プレートで研鑽を積む機会に恵まれる。

「初めての海外だったんですけど、やれないことはなかったですね。言語も違いますし、求められることもいつもと全然違ったので、その難しさはあったんですけど、初めて海外の選手と一緒にプレーさせてもらって、なかなかできない経験をさせてもらえたことは良かったと思います」

これだけで内田の2025年は終わらない。年末の12月には、エジプト遠征に挑むU-16日本代表のメンバーに初選出。シーズンスタートは流通経済大柏のCチームに在籍していたボランチは、世代トップレベルの選手たちが居並ぶ環境下で、今までに味わったことのないような刺激を受けることに成功する。

「2年生の最初は県リーグから始まって、広島遠征でスタメンで出させてもらって、そこからプリンスでチャンスを掴んで、『DREAM ROAD』だったり、日本代表の遠征にも呼んでもらって、自分の中でも驚くぐらいステップアップさせてもらった1年だと思っているので、それを生かして今年も頑張っていきたいです」

内田が自身で紡いだ言葉を反芻するだけでも、怒涛の1年間の様子が手に取るようにわかる。今いる場所でひたすら努力を重ね、着実にステップアップを続けてきたことで、今季は全国屈指の強豪校の不動のレギュラーに君臨。この人の地道にたどってきた道が、チームの後輩たちに与えるポジティブな影響は測り知れない。

ここまでの流通経済大柏はプレミアの首位を快走しているが、過去2シーズンも前半戦は好調をキープしていたものの、夏以降はなかなか勝点を伸ばせず、それぞれ4位と5位でフィニッシュ。同様に高校選手権でも、ここ2年は国立競技場まで勝ち上がりながら、日本一には届かなかった。ゆえに、内田も自分たちの代でその栄冠を勝ち獲る意欲を隠さない。

「自分は身長もスピードもあるわけではないので、小中も含めてこれまではなかなか評価されづらいスタイルではあったんですけど、コツコツとやってきたことが、ここまで来ている理由なんじゃないかなと思います」

「自分はプレミア、インターハイ、選手権、これを獲るために流経に来たので、まずはそのチームの目標にフォーカスしながら、進路のことはいろいろ考えていますけど、チームのためにやることが評価されると思っているので、自分のプレーに集中できたらなと思います」

周囲も、あるいは自分も驚くようなスピードで、その立ち位置を劇的に押し上げてきた、流通経済大柏をピッチの中央で支えるスペシャルな黒子役。内田煌生がたゆまぬ努力で磨き上げてきた才能の光は、まだまだ、もっともっと、眩いほどに煌めく可能性をはっきりと秘めている。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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