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サッカー&フットサル コラム 2026年5月12日

「鹿島の2番」を託された守備のスペシャリスト。鹿島アントラーズユース・林勘太が足を踏み入れるのは圧倒的成長へのネクストフェーズ 高円宮杯プレミアリーグEAST 鹿島アントラーズユース×横浜FCユース

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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鹿島アントラーズユース・林勘太

コンスタントにプレミアリーグの舞台に立つことで、十分に通用する自分の武器も、もっと伸ばしていくべき自分の課題も、はっきりと見えてきた。ここから先は地道に培ってきた力を、過不足なくチームの勝利に繋げるフェーズ。主役を張るぐらいの気持ちで、オレがチームを引っ張っていってやる。

「このチームには(吉田)湊海とかアントニ(元砂晏翔仁ウデンバ)とか代表組とか、凄く上手い選手がいる中で、自分もそれを超えたいなと思いますし、チームの中心的な選手になっていきたいと思います。でも、大貫(琉偉)に比べたら、もっともっとやっていかないといけないなって。まだまだですね」

クラブのレジェンドたちが背負ってきた、『鹿島の2番』を託されている3年生ディフェンダー。林勘太が今年の鹿島アントラーズユースの中で放っている存在感が、日に日に増していることは間違いない。

「今日の僕はセンターバックに入ったんですけど、ヴェルディ戦、昌平戦と失点が続いていたので、キーパーの新垣(祥大)選手を中心に、ゼロで行こうというのは話していました」。

林は今節を前に、みんなで共有していた意識をそう話す。プレミアリーグEAST第7節。横浜FCユースをホームで迎え撃つ一戦。鹿島ユースの選手たちは、まず無失点でゲームを進めることを念頭に置きつつ、キックオフの笛を聞く。

チームはスクランブルに近いメンバー構成を強いられていた。U17アジアカップに臨んでいるU-17日本代表には、実に5人の選手が招集されており、この日は絶対的エースの吉田湊海も、トップチームの公式戦でベンチに入ったことで欠場。加えて前日にはBチームがプリンスリーグを戦っていたため、控えの選手も6人という状況だった。

右サイドバックが本職の林も、元砂晏翔仁ウデンバと倉橋幸暉という本来のレギュラーがともに代表活動で不在のため、5節からは2年生の熊澤結人とセンターバックでコンビを組むことに。東京ヴェルディユース戦には2-3で敗れ、前節の昌平高校戦は3-1で勝利を収めたものの、1失点を喫したこともあって、よりクリーンシートにこだわっていたというわけだ。

試合は6分に石渡智也のゴールで、ホームチームが首尾よく先制。以降も林が「今日はやるべきことをチームで共有しながら、奪うところだったり、チャレンジアンドカバーはよくできていたと思います」と話したように、高い集中力で相手のチャンスの芽を確実に摘み取り、付け入る隙を与えない。

この日も背番号2のプレーで際立ったのは、思い切ったサイドチェンジ。適切なタイミングで、正確な軌道のボールを、逆サイドへと何本も、何本も、送り届けていく。もともとキックの質には自信があるとのこと。とりわけ第4節の流通経済大柏高校戦では、林のサイドチェンジを起点にゴールも生まれている。

「あの流経戦のシーンは、その前に左足でサイドを変えた時に『結構効くな』と思ったので、蹴りました。あれで岩土(そら)選手と滝澤(周生)選手の連携で得点パターンになったので、そこからは凄く意識していました。あの試合のキックは結構良かったです(笑)」

もちろん球際の強さと、カバーリングの速さも標準装備。170センチと決して大柄ではないが、「自分はあまり背が高くないので、相手に前を向かせないところは徹底していますし、スピードに自信があるので、逆のセンターバックのカバーリングも意識してやっています」とは本人の弁。3年生GKの新垣祥大、熊澤と組むトライアングルは、時間を追うごとに集中力も高まっていく。

結果は2-0で快勝。「林にはチーム事情で、今シーズンはセンターバックとサイドバックをやってもらっているんですけど、今日もセンターバックとしてキックの良さは出ていたと思いますし、去年からしっかりやってきた取り組みの成果が、今ちょっとずつ結果として出てきているんじゃないかと思います」とは中野洋司監督。試合後にはチームメイトと白星を喜ぶ“2番のセンターバック”にも、大きな笑顔の花が咲いた。

 

2年生だった昨シーズンの林は、基本的にBチームが参戦しているプリンスリーグ関東2部が主戦場。プレミアでは2試合に途中出場したものの、「Bチームではスタメンで出ていても、Aチームではサブという感じで悔しかったですし、プレミアに出たい気持ちはありました」と率直な心情を振り返っている。

自分と同じ右サイドバックでレギュラーを掴んでいた先輩には、小さくない影響を受けている。「去年で言うと朝比奈(叶和)選手が僕と同じ2番を付けていて、代表組がいない時はセンターバックをやったり、チームの中心になっていたので、今年は自分がそれを超えたいなと思っています」

「朝比奈選手はピッチ外でも仲良くしてくれていたんですけど、サッカーになると凄い選手ですし、お手本のような存在かなと思います」。昨季のプレミア制覇を主力として支え、今年から進学した國學院大学でも、既に関東大学リーグの試合にも出場している朝比奈叶羽の背中は、林もしっかりと脳裏に刻んでいる。

自身でも話していたように、今年の林は朝比奈から背番号2を受け継いでいる。中野監督はその理由について、「チームのスタッフとも話をして、アントラーズの2番と言えば、名良橋(晃)さんだったり、内田篤人さんといったサイドバックが付けていた番号なので、期待を込めて、ですね」と言及。本人も「アントラーズの2番を付けていたのは凄い選手ばかりなので、責任が生まれますし、その責任を跳ね返すぐらいの活躍をしたいなと思います」とこの番号を背負う覚悟を、明確に口にする。

プレミアの水にも徐々に慣れてきた。チームの中で果たすべき役割も、試合を追うごとに整理されている。だからこそ、さらに突き抜けるため、さらにチームへ貢献するため、個人の結果にもフォーカスしていく。

「去年は代表組が抜けた時に、3年生を中心に勝てたからこそ、結果として優勝できたと思うので、今年も3年生中心に勝ち続けることができれば、また優勝というのも見えてくると思います」

「個人的にはやっぱり常に試合に出続けて、勝利に貢献したい想いはありますし、結果も出したいですね。まだあまり点に絡めていないので、セットプレーでも上がっていきたいですし、オーバーラップもどんどん繰り返して、アシストもしていきたいと思います」

ジュニアユースから袖を通してきた、このユニフォームで戦うアカデミーラストイヤー。この仲間たちと、今度は自分が勝敗を担う存在として、タイトルの歓喜を味わってやる。鹿島ユースを力強く支える、背番号2のハードワーカー。林勘太は積み上げてきた努力を信じて、必ず次のステージへと繋がっていく成長への一本道を、ひたすらまっすぐに突き進む。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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