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サッカー&フットサル コラム 2026年5月5日

代表落選も向けるべきは自分へのベクトル。昌平高校・立野京弥はさらなる成長へと繋がるオフロードを歩み続ける 高円宮杯プレミアリーグEAST 横浜FCユース×昌平高校マッチレビュー

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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昌平高校・立野京弥

昌平高校・立野京弥

「本当に悔しい気持ちはあるんですけど、自分の力不足は認めているので」

4月20日。FIFA U-17ワールドカップの予選に当たる『AFC U17アジアカップ2026』に臨むU-17日本代表メンバーの23人が発表されたが、昌平高校の9番を背負うストライカー、立野京弥の名前はリストの中に含まれていなかった。

昨年もU-16日本代表が実施した3度の海外遠征に招集され、今年2月の『Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー』にも参加したものの、今回フォワードとして選出されたのは鹿島アントラーズユースの高木瑛人と、横浜FCユースの齋藤翔の2人のみ、ということになった。

自身の中では“落選”に至った理由を、こう考えているという。「自分は代表の試合でもミスが全然減らなかったなって。あの2人は本当にミスが少ないですし、ボールも完璧におさめられるので、それに比べると自分はミスが多いんです。代表でも得点という結果は残しているんですけど、評価されるのは結果だけじゃないことはわかったので、自分の力不足が大きかったと思います」

「今回選ばれた2人のフォワードも本当に良い選手で、『そういう評価なのかな』ということも認めなくてはいけないところもあるので、それを今後にどう生かせるかは自分次第かなと思います」。もちろん悔しくないはずはないが、この経験をより進化するためのきっかけとするべく、改めて前を向き直す。

4月29日。プレミアリーグEAST第5節。横浜FCユースと対峙するアウェイゲーム。「入りから流れが悪くて、それがミスにつながって、一気に3失点を食らってしまったのは結構痛かったと思います」と立野が口にしたように、昌平は4分、16分、30分と立て続けに失点を喫し、あっという間に3点のビハインドを負ってしまう。

27分。左から飯島碧大がクロス。相手DFのクリアのこぼれ球に、立野はすぐさま反応してダイレクトでフィニッシュ。これはGKにキャッチされたが、イレギュラーなボールを瞬時にシュートまで持ち込んだシーンに、非凡な才が垣間見える。

38分。ここも左サイドに張り出した松本太佑がクロスを上げると、ニアに潜った立野は回転しながらフリック。待っていた島田大雅のボレーがゴールネットへ突き刺さる。「チームの流れが悪い中でも、自分発信でゴールを目指していこうと思いましたし、島田くんと声を掛け合って1点決められたのは大きかったです」。2トップで追撃開始の1点を奪い切る。

51分。「昌平は中央から行きたいチームなので、綺麗に崩したいというイメージはあったんですけど、自分はあまりそういうプレーは得意ではないので、ボランチの選手から中央にクイックで出てくるようなボールを意識していました」という立野に、ボランチの屋宜葵から浮かせた縦パスが入ってくる。

相手のセンターバックの前へ強引に身体をねじ込み、伸ばした左足でトラップしたボールを、倒れ込みながらすかさず右足でプッシュ。ゴールネットが揺れる。「ちょっとボールが手前に落ちてしまって、ゴチャゴチャとなったんですけど、泥臭く決められたので良かったです」。ストライカーらしい執念の一発。3-2。昌平が1点差に迫る。

86分。再び2点差を付けられ、突入した最終盤。左サイドを松本と長谷川昂星が崩している間に、相手の両センターバックの間に潜った9番は、松本のクロスに合わせてダイビングヘッド。だが、ボールはGKの正面を突く。その後、昌平は1点を返したものの、ファイナルスコアは4-3。勝点を手にするまでは至らなかった。

立野は勝敗の責任を自分に向ける。「こういう試合でこそ、自分がゴールを決めないといけないですし、クロスの質は良かったので、自分が決めないといけなかったなと。どんな試合でも自分が2点、3点を決めないと代表には呼ばれないと思うので」。そう絞り出した悔しげな表情に、エースとしての矜持が滲んだ。

2年生ながら、既にJクラブの練習にも参加。プロのレベル感を肌で味わう中で、さらなる成長への“種”を持ち帰ってきたという。「プロの選手は全然レベルが違いましたけど、こういう環境でやれれば自分の武器は磨けるなと思いましたし、通用した部分を伸ばして、通用しなかった部分は改善しなくてはいけないなと」

「ゴールはJの相手でも決めることができたので、それは自信に繋がりましたけど、フィジカルで前に入られてしまうことも多かったので、プレミアではもっとそういうところの改善を意識したいですし、この世代でやられていては、プロでは通用しないとわかったので、もっと成長していきたいです」

チームを率いる芦田徹監督は、1年生だった昨季からレギュラーを任せている立野に対して、こんなことを語っている。「(U17アジアカップのメンバーに)選ばれなくても取り組みは全然変わっていないです。僕は彼に『選ばれた選手たちにがんばってやってもらえば、世界で戦う舞台が待っているわけで、次はオマエだぞ』ということを話しましたけど、そんな話は彼に必要なかったと思います。常に自分に矢印を向けてやっていますよ」

「今日のゲームでもまだまだ課題はあって、代表に選ばれなかった理由は絶対あると思うんですけど、本当によくやっていると思いますし、人のケガを願ってはいけないですけど、追加招集の準備はしておくべきで、そうなった時には僕も自信を持って送り出せると思っています」

183センチのサイズを生かした空中戦の強さに、ボールを収められるフィジカルと、ゴールへの確かな嗅覚。持ち合わせているスペックの高さはもちろんだが、加えて周囲が期待したくなるストライカーとしてのスケール感も語り落とせない。まだまだここからが本当の勝負。立野は穏やかな口調で、2026年の抱負をこう明かしてくれた。

「自分も評価してもらっていた代表ですし、一緒にやってきたチームメイトもいるので、アジアカップは応援したいなと思っていますし、今年は本当に大事な年だと自分でも捉えていて、去年の自分はあまり結果を出すことができなかったので、今年はプレミア、インハイ、選手権と、1年間通して結果にこだわっていきたいですし、自分の良さをしっかり出して、また代表に選ばれたいと思っています」

秘めているポテンシャルの高さを考えれば、圧倒的な飛躍を遂げるタイミングはこれからいくらでも訪れるはず。昌平の最前線にそびえ立つ、9番を付けた“緑のライトハウス”。立野京弥はさらなる成長へと繋がる荒れたオフロードを、一歩ずつ、一歩ずつ、力強く歩み続ける。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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