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サッカー フットサル コラム 2020年9月9日

~柏レイソルU-18~佐々木雅士の“自然体”がもたらす安心感

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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柏レイソルU-18:佐々木雅士

現代的なゴールキーパーである。誰もが失点を予感するようなシーンで、信じられないビッグセーブを繰り出したかと思えば、左足を自在に操ってとんでもないフィードを決めてみせる。「シュートストップはもちろん得意な所ですけど、自分はビルドアップとかフィードで、攻撃のスタートとなるプレーができるのが強みだと思います」。レイソルが育んできた圧倒的な才能。佐々木雅士の“自然体”がチームにもたらす安心感は計り知れない。

ゴールキーパーを始めたのは小学校1年生から。4年生で入団した柏レイソルのジュニアでも同じポジションを務めていたが、当時から足元の上手さには自信があった。「6年生の時に指をケガしてしまって、2週間くらいセンターバックで練習試合に出たことはあります(笑)」というエピソードが、その実力を裏付ける。

忘れられないのは、昨年ブラジルで開催されたFIFA U-17ワールドカップ。春先に負ったケガを乗り越え、大会メンバー入りを果たしたものの、スタメンリストに佐々木の名前が書き込まれる試合は、最後まで訪れなかった。

「試合には出られないけどチームのために働かなくてはいけないとか、そういう複雑な想いがありましたし、『試合に出ていたら勝利のためだけに走れる部分もあったはずなのに』とか、そういう気持ちの部分での難しさがあって、悔しさが勝ってしまう時もありました」。

その経験は、新たなモチベーションを佐々木に突き付ける。「ワールドカップに行って感じたことは悔しさしかなくて。でも、その想いがあるからこそ、『もう1回世界の舞台に行きたい』と強く思いました」。帰国後のパフォーマンスは圧巻の一言。そのプレーには確かな覚悟が宿っていたように思う。

既にJ1でベンチ入りを果たしている浦和レッズの鈴木彩艶。今年からトップチームに昇格したFC東京の野澤大志ブランドン。FIFA U-17ワールドカップのメンバーに選出されていた2人のライバルは、もうプロの世界に足を踏み入れている。それゆえに、プレミアでは格の違いを見せ付ける必要があるはずだ。だが、気負わず、笑顔で言葉を紡ぐあたりがこの男の大きな魅力でもある。

「レイソルでの思い出はもちろんたくさんあるんですけど、特に最上級生だからとか、最後だからというのは関係なく、自分のできることを毎日やっていきたいですし、それが良い方向になればいいかなとは思います」。

柏レイソルU-18。1番。佐々木雅士。太陽王子の守護神に是非ご注目あれ。

文 土屋雅史(J SPORTS)

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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