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サッカー&フットサル コラム 2026年4月30日

「10番でキャプテン」にのしかかり始めていた確かなプレッシャー。サンフレッチェ広島ユース・野口蓮斗がようやく味わった「4試合目の初勝利」 【NEXT TEENS FILE.】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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サンフレッチェ広島ユース・野口蓮斗

開幕から3試合で勝利を挙げられないばかりか、得点も奪えない時間を強いられたのだ。今シーズンからチームを束ねる役割を任せられたキャプテンの心中は、察して余りある。ただ、考えていたのはとにかくやり続けること。必ず結果は付いてくると信じて、自分たちのスタイルを貫き続ける。

「内容は悪くなかったので、ここまではやり続けることが一番大事だったかなと思っています。勝った瞬間はメッチャ嬉しかったですね。結構キャプテンとしてもキツかったというか……。でも、その分嬉しさは凄かったです」

今シーズンは背番号10とキャプテンという2つの大役を託されている、サンフレッチェ広島ユースのコントロールタワー。アウェイの地でようやく味わった「4試合目の初勝利」に、野口蓮斗の表情にも安堵と歓喜の笑顔が弾けた。

「チームとしてやっていることは悪くなかったかもしれないですけど、結果が付いてこないのは一番モヤモヤするというか、そういう難しいチーム状況だったなと思います」。野口は開幕からの3試合を振り返って、そんな言葉を口にする。

オープニングマッチの神村学園高等部戦は、際どいシュートが4度もゴールポストやクロスバーに弾かれ、0-1で悔しい黒星スタート。続く第2節の米子北高校戦にも0-2で敗れると、第3節のアビスパ福岡U-18戦はスコアレスドロー。もどかしい日々を突き付けられる。

「個人的にも内容は悪くないと思っていましたけど、点が入らないというところがここ3試合は難しかったなと思いますね」とはキャプテンの弁。初ゴールと初勝利を目指して、第4節で乗り込んだのはヤマハスタジアム。広島ユース同様に、ここまでまだ白星のなかったジュビロ磐田U-18との決戦に、アウェイで挑むことになる。

試合が始まると、徐々にゲームリズムを掴んだのはホームチーム。広島ユースは何度かフィニッシュまで持ち込まれるも、1年生GKの林和広が繰り出した好セーブもあって、失点は許さない。

すると、先にスコアを動かしたのは広島ユース。22分。太田大翔のシンプルなフィードから、ストライカーの信重亮二朗が相手ディフェンダーに屈強なフィジカルで競り勝ち、そのままゴールを陥れる。とうとう生まれた、チームにとっての今季リーグ戦初ゴール。こちらも今季初めてとなる“リード”を奪う。

「沢田さんも『あの先制点が希望になった』みたいなことを言っていましたし、前半の最後にコーナーのピンチがあった時も、そこでちゃんと守れたのは得点のおかげだったみたいに言っていたので、自分も『それはそうだな』と思いました」(野口)

希望の1点でアドバンテージを得た広島ユースは、後半に入ると61分にロングスローの流れから菊山璃皇が2点目をゲット。さらに点差を広げると、“10番のキャプテン”にも絶好の決定機が訪れる。

69分。右サイドから河上颯希が蹴り込んだCKを、相手ディフェンダーがクリアしたボールは、野口の目の前に転がってくる。ややペナルティエリアの外だったが、躊躇なく右足を振り抜いた軌道は、左スミのゴールネットへ鮮やかに吸い込まれていく。

「良いところに行ったのはたまたまでしたけど、足を振ることに意味があると思うので、そこは良かったかなと。先週の試合でああいう場面が2回ぐらいあって、今週は河上颯希とこぼれ球を練習してきたので、練習通りに行って良かったなと思います」。3-0。今まで奪えなかったのが嘘のように、広島ユースが着々と得点を積み重ねる。

それでも、ホームチームにも意地がある。76分に1点を返されると、最終盤の90+3分にも失点。3-2。たちまち点差は1点に。しびれるアディショナルタイム。「今日はもうとにかく勝たないとダメだと思っていたので、気合が入っていましたし、そういうメンタルが一番大事だと思っていたので、守備も頑張りました」と話す10番も、懸命に身体を張り続ける。

聞こえてきたタイムアップのホイッスル。とうとう手繰り寄せた、2026年シーズンの初勝利。野口の中には、今まであまり味わったことのないような、特別な感情が押し寄せていたという。

「最初はそこまで感じていなかったですけど、3試合勝てなかった中で、ある程度のプレッシャーは感じていましたし、今日の試合を迎える前も『チームを勝たせられるかな……』という多少の不安はありました。やっと今日勝てて良かったなと思いますし、やっぱり『勝つって最高だな』と思いました」。キャプテンの重圧を感じながら、みんなで掴んだ勝点3は、想像以上にメチャメチャ最高だった

だが、シーズンはまだまだ続いていく。昨季からチームの主力を張り、U-17ワールドカップでは世界レベルの猛者たちと肌を合わせてきた俊英にとって、常に求められるのは圧倒的なパフォーマンス。勝負のアカデミーラストイヤーへの覚悟なんて、もうとっくに整っている。

「今年は自分のパフォーマンスがチームの勝利に関わってくると思うので、もっと守備も攻撃も両方で信頼される選手になりたいなと思いますし、去年もプレミアでは1点しか獲れていないので、やっぱり数字にはもっとこだわる必要があると思います」

「今年の1年は、これからのサッカー人生を変える1年になるというか、そういうものが懸かっている年だと思うので、明確な結果もそうですし、キャプテンシーを発揮することも含めて、『全部自分がやってやる』くらいの気持ちでやっていきたいです」

飄々としたスタンスの中にも、静かに滾らせる情熱のマグマは、シビアな局面に陥った時ほど、ピッチ上にはっきりと現れる。広島ユースに揺るがぬ太い軸を通す、2026年の『10番のキャプテン』。野口蓮斗はチームを力強く牽引しながら、自身の戦うべきハイレベルなステージも、真剣に、全力で、引き寄せる。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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