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サッカー フットサル コラム 2020年7月15日

対戦相手はけっして「敵」ではない。大事にしたい、観客の拍手に包まれたスタジアムの空気

後藤健生コラム by 後藤 健生
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観客“数”が違うのはもちろんだが、スタジアムに戻ってきた観客はいつものように「密集」を作ることなく、間隔を開けて座っていて、そして声を出すことすら禁じられているのである。

日本のプロ野球独特のトランペットや太鼓などを使った応援がなくなり、一部の野球関係者はそれを「大リーグのような雰囲気」とも評している。

Jリーグでも、サポーターの歌声やチャントは消滅し、ただ拍手と若干の歓声やため息だけが場を支配していた。

しかし、そこで僕が感じたのは何もネガティブな感情ばかりではなかった。とても、友好的で平和的な雰囲気だったのだ。

なにしろ、ブーイングができないのである。

できるのは「拍手」だけであり、拍手は“喝采”や“同感”を表すことはできても、“敵意”を表すためには使えない。

ところで、拍手という習慣は明治時代になって日本に取り入れられた西洋生まれの新しい文化だ。江戸時代までの日本では、手をたたくという行為には“喝采”の意味はなかった。手をたたくのは神社でお祈りをする時、あるいは料理屋や宿屋で従業員を呼ぶ時に行う行為だった。

もちろん、今では日本でも拍手は“喝采”を表す行為として完全に定着している。だが、数千年にわたって“喝采”を表現するために拍手を用いてきた西洋人に比べると、日本人の拍手はまだまだモノトーンであるように感じる(「西洋人」と一括りにすべきではないことは重々承知している。同じ西洋人でも、フランス人の拍手とスペイン人の拍手ではかなり違う)。

ヨーロッパではたとえば黙祷の際にも拍手を行うし、最近は医療従事者を称えるための拍手といったものもあるようだ。彼らは、そうした場面々々に応じて、同じ拍手にもニュアンスを込めることができる。

いずれにしても、拍手を使って相手を誹謗中傷することはできないから、拍手は歓声の代わりにはなってもブーイングの代わりにはならないのだ。

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