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そんなチームを率いたトルシエは、日本戦で勝点1を狙ってきた。もし、予選敗退となればチームの活動自体がなくなってしまうのだ。監督を続けるためにはこの予選を突破するしかない。そして、勝点6では突破は難しい。
そこで、トルシエは日本チームを分析して守備の組織を構築してきた。
日本チームも、今年に入って立ち上げられたばかりのチームだ。海外遠征などの活動を繰り返してきてはいるが、もちろんメンバーも固定されていないし、まだ完成度はそれほど高くない。さらに、大会直前にはチームの中心と目されていた松岡大起(サガン鳥栖)がチーム事情で離脱してしまった。
中1日で3連戦となる大会だけに、日本は1戦目と2戦目でメンバーを入れ替えて戦った。影山雅永監督によれば、最終決戦となるベトナム戦では初戦のメンバーと2選目のメンバーをミックスして戦う予定だったらしいが、2戦目で負傷交代が続いたため選手を休ませることができず、ベトナム戦ではGKを含めて8人が第1戦と同じメンバーだった。
そんな中で右サイドだけは2戦目のコンビネーションが再び起用された。日本はグアム戦でもモンゴル戦でも右サイドからの攻撃が活発だった。初戦ではサイドハーフに武田英寿(青森山田高)、サイドバックに三原秀真(愛媛FC U18)の組み合わせ、2戦目では石浦大雅(東京ヴェルディユース)と中村拓海(FC東京)の組み合わせだったが、影山監督は右サイドを2戦目のコンビに託したのだった。
だが、日本の生命線であるサイド攻撃は右サイドのコンビネーションも左からの鮎川峻(サンフレッチェ広島ユース)のドリブルもほとんど機能しなかった。あるいは、DFラインの裏を狙うロングボールも出し手と受け手の意思が合わずに、パスミスが目立つ状態となってしまった。
一つの原因は、コンビネーションがまだ確立できていないこと。たとえば、右サイドを託された石浦と中村はU18立ち上げ以来ずっと招集されている選手ではない。
そして、日本チームの狙いが機能しなかった最大の原因はベトナムの組織的な守備だった。つまり、フィリップ・トルシエの戦術にはまってしまったということだ。
ベトナムはもちろんフラットスリー。2戦目までを見ているとフラットスリーもまだ不安定だったし、両サイドのコーナー付近にはいくらでもスペースがあった。そこを利用できれば、サイドからの攻略は難しいことではないように見えた。
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