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サイクルロードレース コラム 2026年9月3日

ブレナンが盤石スプリント ポガチャル以来の快挙とは!?|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026 レースレポート:第11ステージ

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ブエルタ・ア・エスパーニャ

ブレナンが今大会区間3勝目

中盤戦が進行中のブエルタ・ア・エスパーニャ2026。第11ステージは平坦にカテゴライズされた151.3kmのコースが用いられ、スプリントでのステージ優勝争いをマシュー・ブレナン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)が制した。これで今大会3勝目、グランツール初出場でのハットトリックは、2019年大会のタデイ・ポガチャルUAEチームエミレーツ・XRG)以来の快挙だ。

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「僕の周りは偉大なチャンピオンばかり。グランツールやビッグクラシックで勝ったことのある選手たちがそろっているんだ。彼らが毎日僕のために全力を尽くしてくれて心から感謝しているよ。僕としても、何とかして勝たなくちゃと思っている」(ブレナン)

中盤に横風分断もレースの流れは大きく変わらず

開幕前に「スプリンターにチャンスがないのでは?」と言われた今大会。始まってみれば、登坂にも対応できるタイプのスプリンターや、彼らを擁するチームがレースをコントロールして、フィニッシュ勝負へと持ち込んでいる。

第11ステージは数少ない「平坦」設定の1日。151.3kmのコースは、後半の3級山岳がポイント。平均勾配は4.2%だが、登坂距離が9.5kmある。ここを乗り切れば、あとはフィニッシュまでは下り基調。海から吹く強い風もコース攻略には重要な要素になる。前記した今大会の傾向から見て、この日もスプリント狙いのチームが展開をまとめるものと予想された。

2500年以上の歴史を持つカタルヘナの街を出発したプロトン。体調不良が報じられていたマッズ・ピーダスンリドル・トレック)が出走を取りやめて、166人がフィニッシュ地・ロルカを目指す。

6.4kmのパレード走行を経てリアルスタートが切られると、3選手がスタートアタック。その後1人が合流して、4選手による逃げを集団は容認する。

とはいっても、4人のリードは1分30秒程度で、集団が彼らを常に射程圏内にとどめている格好。チーム ヴィスマ・リースアバイクやコフィディスがコントロールを本格化させると、自然と先頭グループとのタイム差は縮まっていった。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

先頭グループは横風のペースアップで吸収

フィニッシュまで100kmを切ったあたりから、集団ではバーレーン・ヴィクトリアスやチューダー プロサイクリングチーム、XDS・アスタナ チームが前方に位置して意識的にペースを上げていく。海から吹く横風を使って集団の分断を図っている。随所で中切れが発生して、合計30人ほどが後方に取り残された。この間に先行していた4人は集団に飲み込まれている。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

ヴィスマとコフィディスがメイン集団をコントロール

数チームによる分断作戦は20kmほどで終わり、やがて後続ライダーたちが集団復帰。序盤からの逃げに入っていたイーサン・ヘイター(スーダル・クイックステップ)が再び飛び出して、ローレンス・ワーバス(チューダー プロサイクリングチーム)と新たな先頭パックを形成。111.9km地点に設けられた中間スプリントポイントでは、先頭2人の通過後に集団がやってきて、ポイント賞首位のワウト・ファンアールト(チーム ヴィスマ・リースアバイク)が先着。全体3位として15点を加算させている。

ポガチャルに並ぶハットトリック

先頭2人のリードは残り37kmで終わり、そこからはフィニッシュに向かって一団で進んでいく。アクセントになっていた3級山岳では、ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チームが意識的にスピードを上げるが、ヴィスマ勢がすかさずチェック。その流れのままワウトが頂上を一番通過。直後には数人がアタックを試みたが、ここもヴィスマやピナレロ、ウノエックス・モビリティなどが対処。スプリントに向けて集団をまとめていった。

最終局面へ向けては、ヴィスマが主導権を握りつつ、エキポ ケルンファルマやネットカンパニー・イネオスなども隊列を前へと上げていく。フィニッシュ手前3kmからはウノエックスが先頭に立った。

残り1kmを示すフラムルージュを通過してもなおウノエックスが牽引を続けたが、その後ろで態勢を整えていたヴィスマが再び上がってきた。クリストフ・ラポルトが引き上げ役を担うと、残り400mの鋭角コーナーを前にワウトが先頭へ。その後ろにはブレナンが控えている。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

最終盤のペースアップでもしっかり隊列を組んでいたヴィスマ

「自分たちのイメージ通りに最終盤を走ることができた。それだけの力が僕たちにはあったし、“これはいける!”という手ごたえも十分だった」(ブレナン)

鋭角コーナーでワウトが少し膨らんだが、持ち前のテクニックとパワーで体勢を整えると、フィニッシュ前150mまでリードアウト。あとはブレナンが締めるだけだ。番手につけた選手たちのプレッシャーなどどこ吹く風。完全な勝ちパターンで、ステージ優勝まで持ち込んだ。

「みんながひとつのステージのためにかなりの準備をしているんだ。そんな彼らが僕のサポートをしてくれる。素晴らしい環境に身を置いている以上、僕なら何ができるのか、どんな可能性があるのかを自然と考えられるようになっていくんだ。今大会の3勝はすべてその成果だと思っているよ」(ブレナン)

華麗にハットトリックを決めてみせたが、グランツール初出場での3勝は7年前のポガチャル以来である。それぞれに勝ったコースの特性は異なっているが、いまや最強ライダーとなった男に並んだことになる。

「僕が一番びっくりしているよ。プロになったときはキャリアで1勝できれば良いと思っていたんだ。それが、2年走っているうちにワールドクラスの選手たちが僕のサポートをしてくれるまでになったのだからね。これは本当に特別なこと。みんなからの信頼を得られたことが何よりもうれしいよ」(ブレナン)

第12ステージは中盤戦のヤマ場

タフなレース展開にも集団は大きく崩れることはなく、96人がトップと同タイムフィニッシュ。個人総合上位陣の順位には変動がなく、エンリク・マスモビスター チーム)が引き続きマイヨ・ロホを着用する。

レースリーダーのマスにとって「嫌な思い出しかない」というのが、第12ステージで上るカラル・アルト。166.6kmに5つのカテゴリー山岳が詰まっているが、本当の勝負はフィニッシュまでの44kmに集約される。1級山岳アルト・ベレフィケ(登坂距離13.1km、平均勾配7.2%、最高15%)のつづら折りをこなすと、最後にそびえるカラル・アルトで勝負が決する。登坂距離16.9kmで、最大勾配18%。断続的に10%超の急坂が現れ、選手たちの脚を削っていく。頂上に設定されるフィニッシュ地点は、標高2153mだ。

「2017年に上ったときは体調が悪く、いま思い出しても嫌な気分になる。今度は楽しめると良いね。走り終えたときにリーダージャージを守れていれば最高だよ」(マス)

大会第2週最初のヤマ場がやってくる。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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