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ピーダスンとシモンズのリドル勢がワン・ツー! 大逃げ容認で祖母が日本人のトレーエンにマイヨ・ジョーヌ|ツール・ド・フランス2026 レースレポート:第4ステージ
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介マッズ・ピーダスンが圧倒的脚力を見せ区間勝利
南仏らしいギラギラとした太陽がプロトンを照らした。日中の気温が35℃を超え、高温警報が発令される中でのレース。ツール・ド・フランス2026第4ステージは、暑さとの戦いになった。レースは一時40人近い逃げが形成され、大人数がそのままステージ優勝争いへ。最後はマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)が10人によるスプリントを制して、ツール通算3勝目。随所で好援護を見せたクイン・シモンズが続き、リドル勢ワン・ツーフィニッシュの達成だ。
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「間違いなくチームワークの傑作だ。チーム一丸となって勝つために努力をしたんだ。僕だけではなく、みんなでつかんだステージ優勝だよ」(ピーダスン)
最大34人がレースをリード
前日の第3ステージでピレネーへと立ち寄ったプロトンは、引き続き南仏を進む。第4ステージは、城塞が世界遺産に登録される歴史都市カルカッソンヌから、フォアまでの181.9km。途中4カ所のカテゴリー山岳が控えていて、これらをすべて上り終えるとフィニッシュまでは約35km。終盤にかけては下りと平坦で構成される。レイアウト的には逃げ向きとの見方が強い。
その見立て通りにレースは進んだ。リアルスタート直後の激しい出入りを経て、10km地点を過ぎる頃にピーダスンやビニヤム・ギルマイ(NSNサイクリングチーム)らが乗ったグループが先行を開始。しばし集団との差は数十秒のままだったが、その間に次々と逃げを狙う選手たちが前線合流。20km地点を通過するときには34人にまで膨らみ、メイン集団とは1分近く差がついた。
集団のコントロールは、リーダーチームのUAEチームエミレーツ・XRGが担う。34人を先に行かせようと、意識的にペースを調整。大人数のリードは広がっていき、少しずつ別のレースといった趣きになっていく。先頭グループの総合最上位は、トップから5分6秒差の24位につけるトースタイン・トレーエン(ウノエックス・モビリティ)。
93.4km地点に設置された中間スプリントポイントは、逃げに乗ったスプリンター陣が競った。ギルマイが1位通過すると、ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・プレミアテック)、ピーダスンと続く。ギルマイとフィリプセンはこの日のミッションを果たしたとして、メイン集団へと帰っていく。かたや、ピーダスンは先頭に残り続けた。
先頭グループはリドル・トレック勢が積極的に牽引
フィニッシュまで80kmを残したところで、ヤン・トラトニク(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)とマティアス・ヴァチェク(リドル・トレック)が抜け出す。これで逃げメンバーが活性化して、メイン集団とのタイム差もさらに拡大。トレーエンがバーチャルリーダーとなり、逃げメンバーによるステージ優勝争いのムードが漂うようになってきた。
このステージ最後のカテゴリー山岳である、2級モンセギュールでトラトニクとヴァチェクが引き戻され、いくぶんのシャッフルを経ながら先頭は10人まで絞られる。マルコ・フリーゴ(NSNサイクリングチーム)らのアタックで一度は5人ずつに分断された精鋭グループだけど、頂上通過後に再びひとつに。そのまま、ステージ優勝争いへと転化していく。
ピーダスンが圧倒的なスプリント
フィニッシュまで30kmを切ったところで、先頭10人とメイン集団とのタイム差は10分を超えた。逃げ切りはもとより、トレーエンへマイヨ・ジョーヌが移動する可能性も膨らんできた。リドル・トレックが3人を残し、主導権を確保。パブロ・カストリーリョとラウル・ガルシアのモビスター チーム勢が散発的にアタックするが、すべてヴァチェクが封じていく。ねらいは、ピーダスンでのスプリント勝利だ。
「クイン(シモンズ)とマティアス(ヴァチェク)が素晴らしいペースメイクをしてくれた。彼らのおかげで上りでのタイムロスを最小限に抑えることができ、フィニッシュに向かっても良いペースで僕を導いてくれたんだ。彼らの働きはまるで機械のようだったよ」(ピーダスン)
ヴァチェクの牽きのまま、残り1kmを示すフラムルージュを通過。最終コーナーを前にケヴィン・ヴォークラン(ネットカンパニー・イネオス)が先頭を押さえたが、コーナー通過と同時に再びピーダスンが前へ。フィニッシュまでの300mを急いだ。
スプリンターとも伍するスピードの持ち主である。一瞬で他選手を引き離したピーダスンは、そのままフィニッシュへ。2度ほど振り返って確認すると、シモンズも続いている。リドル・トレック勢のワン・ツーフィニッシュが決まった。
ひどく暑い日で選手たちは常に体を冷やし続けていた
「ツールに向けて、1年かけて準備してきたんだ。みんなも同じだと思うけど、勝ちたいという強い意志を持ってやってきたんだ。僕としては、このツールに向けて何をすべきかは理解できていた。取り組んできた甲斐があったよ。ステージ優勝ができて本当に良かった」(ピーダスン)
暑さとの戦いでもあった。幸い、逃げている間はグループの真後ろにチームカーが随行しているし、必要に応じて真横まで上がることもできる。メイン集団に待機するより、状況は良かったという。
「できる限りの方法で体を冷やしながら走った。チームカーからボトルや氷を受け取り、沿道に立ったスタッフからはアイスキャンディをもらったりもできた。暑さ対策という面でも統率がとれていて、最高のチームワークだったと感じているよ」(ピーダスン)
第2ステージからコツコツとポイントを積み重ねてきたが、このステージ優勝でポイント賞でも首位に。第5ステージは、マイヨ・ヴェールを着用して走る。
トレーエンがチームに初めてのマイヨ・ジョーヌをもたらす
バーチャルリーダーとなっていたトレーエンは、ピーダスンと同タイムの8位フィニッシュ。メイン集団の還りを待って……と言いつつも、自身を取り巻く好況に自然と表情がほころぶ。結果、メイン集団は12分59秒差でのフィニッシュ。終盤を急ぐわけでもなく、むしろゆっくりとレースをクローズさせた。前日にマイヨ・ジョーヌを手にしたタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG)は、戦略的にジャージを手放すことを選んだ。
これにより、トレーエンのマイヨ・ジョーヌが決まった。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでも、似たようなシチュエーションでマイヨ・ロホを一時的に手にした。今度はツールで。初のリーダーの座、そしてウノエックス・モビリティにとっても初めてのマイヨ・ジョーヌである。
「走っている間はどうやって体を冷やすかばかり考えていて、ジャージのことはほとんど意識していなかった。どこで状況を理解したかって? 最後の上りで脚が残っていると感じたときかな。今日の暑さに順応できていたから、このままいけばマイヨ・ジョーヌもあるかもしれない……と思ったね」(トレーエン)
チームに最初のマイヨ・ジョーヌをもたらしたトースタイン・トレーエン
昨年は宇都宮ジャパンカップサイクルロードレースにも参戦。祖母が愛媛県松山市出身で、日本とも接点を持つ。レース後のプレスカンファレンスでは、このところの日本とのかかわりやマイヨ・ジョーヌの喜びをどう伝えたいかを問われた。
「日本の人たちとはあまり連絡を取っていないのだけれど……マイヨ・ジョーヌを着られると知って、きっと喜んでくれると思う。祖母も両親も喜んでいるだろうね」(トレーエン)
総合系ライダーたちが休戦を選択したことで、トレーエンからポガチャルとヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)までの総合タイム差が7分53秒に。その他メンバーは8分以上の開きとなっている。さすがにこのままでどこまでも進んでいくとは思えないので、どこかでは動きがあるだろうけれど、それがどのステージになるのかが今後の注目ポイントになってくる。
ひとまず、今大会最初の平坦カテゴリーになる第5ステージでは、よほどのことがなければトレーエンのマイヨ・ジョーヌキープは堅い。イエロー旅は何日間続くだろうか。
文:福光 俊介 from Foix, France
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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