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サイクル ロードレース コラム 2023年10月11日

【ジャパンカップサイクルロードレースを走るスーパースター:ジュリアン・アラフィリップ】2度の世界王座、衝撃のマイヨ・ジョーヌマジック。フランス国民の夢を背負う「本能の走り」の体現者

サイクルNEWS by 福光 俊介
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強さと優しさを表す美しいエピソード

レース後に優しい表情でカメラに目を向けるアラフィリップ

レース後に優しい表情でカメラに目を向けるアラフィリップ

彼のパーソナルな部分にも触れてみたい。

1992年6月11日にフランス中部の街・サン=タマン=モンロンで生まれ(現在31歳)、幼少期はミュージシャンである父親の影響で音楽の世界に傾倒していく。そのレベルは“耳コピ”ができるほどで、地元の夏の風物詩であった音楽祭では即興でステージに立つことがお決まりだった。

誰もが父の跡と継ぐと期待し、それに応えようと3年ほど音楽学校に通ったけど、“本能”頼りの音楽センスはソルフェージュには適さなかった。やがて指導者にも教えを放棄され、何度か転校を強いられた。プロライダーとなってから当時について聞かれた彼は「音楽学校で学べることはなかった」と振り返っている。

ただ、“本能”は別の局面で生かされた。いとこの影響で始めた自転車が彼の潜在能力を引き出した。当初は感覚だけでも勝てていたが、あらゆる経験を通じて「自転車脳」や「勝負勘」が養われていった。プロデビュー前には、年代別の世界選手権で早々に独走に打って出て逃げ切りを図るも、あえなく撃沈……なんてこともあった。そんな失敗も糧にして、強さとたくましさを身につけていく。ここぞという場面で見せる猛烈なスピードアップや、接戦を制する勝負強さは、若き日々に築き上げられたものである。

大いなる力には、大いなる責任が伴う。ありとあらゆる場面で用いられるフレーズだが、それを体現するのも彼の強さであり、優しさである。

前述した、大活躍の2019年ツール・ド・フランスでのこと。ある日のステージを終え、取材対応を行っていたアラフィリップの耳に、「誰か上着を貸してくれないか」との声が聞こえてきた。レース後に突然振り出した雨の中に、半袖シャツ1枚で震えている子供の姿が見えた。おろおろとする周囲をよそに、ごくごく自然に着るものを差し出したのが彼だった。貸した上着は、表彰台で受け取ったばかりのマイヨ・ジョーヌ。偉大なチャンピオンであるだけでなく、美しい人間性も兼ね備えていることを示すエピソードである。

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