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サイクル ロードレース コラム 2023年7月28日

【Cycle*2023 クラシカ・サンセバスティアン:プレビュー】ツール開幕の熱狂から約1カ月で迎えるバスクの山岳大戦 世界選手権やブエルタ前の脚慣らしに大物そろう

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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クラシカ・サンセバスティアン

クラシカ・サンセバスティアン 昨年はレムコ・エヴェネプールが独走勝利

“若き独走王”レムコ・エヴェネプールスーダル・クイックステップ)がフィニッシュまでの約45kmをひとりで駆け抜けて1年。約1カ月前にはツール・ド・フランスの開幕地として世界からの注目を集めたバスクで、再びトップライダーが競演する。例年、ツール閉幕直後の土曜日に開催されているのが、クラシカ・サンセバスティアンである。

前回のレムコはここでの驚異の独走から、のちのブエルタ・ア・エスパーニャロード世界選手権での優勝につなげた。約1カ月レースから離れ、シーズン後半への再調整がうまくいったことがサン・セバスティアン独走勝利の要因だったという。

今年はこのレースのおおよそ1週間後にロード世界選手権が控えているので、マイヨ・アルカンシエルを賭けた戦いを見据えた選手たちが多数乗り込む。いつものように、ツールからの流れで臨む選手や、ブエルタを視野に入れる選手たちだけではなく、参戦の目的は選手によってさまざまである。

“仮想世界選”とするにはサン・セバスティアンの上りはタフなものばかりだけど、脚を試すには十分。今年のコースは全長230.3km、序盤からカテゴリー山岳が控えていて、獲得標高は4000mを超える。

レース後半に注目すべき上りがまとまっていて、ツールでも走った(逆側から上った)2級山岳ハイスキベル(登坂距離7.9km、平均勾配5.6%)、前回レムコが仕掛けた1級山岳エライツ(3.8km、10.6%)を立て続けに上る。サン・セバスティアンを一度通過して、前回は採用されなかったメンディソロツ(4.1km、7.3%)、そしてフィニッシュ前約8kmで頂上に達する最大勾配20%の2級山岳ムルギル・トントラ(2.1km、10.1%)とクリアして、サン・セバスティアンへと戻ってくる。この4つの上りが勝負のうえではポイントになることは必至。戦力を整えているチームがペースを上げて、集団の人数を絞り込んでいくことだろう。

クラシカ・サンセバスティアン

クラシカ・サンセバスティアン

今回も目玉となるのはレムコの動向だ。ジロ・デ・イタリアは新型コロナウイルス感染によって離脱を余儀なくされたが、その後のツール・ド・スイス、ベルギー選手権と好調を維持。ツール期間中は調整に充て、このレースから戦線に戻ってくる。ここからロード世界選、ブエルタと向かっていくが、まずはサン・セバスティアンで連覇を決めたうえで、より大きな目標へと進んでいきたい。なお、このレースでいったんアルカンシエルのレムコは見納めとなる。

スーダル・クイックステップは、ジュリアン・アラフィリップもメンバー入り。こちらもフランス代表のエースとして世界選を走る見込みだから、ツール後の調子を図る機会として走りをチェックしておきたい。

前々回の覇者ニールソン・パウレスEFエデュケーション・イージーポスト)は、今春にブレイクしたベン・ヒーリーとの共闘で覇権奪回を目指す。ツールのチャンピオンチーム、ユンボ・ヴィスマは前回3位のティシュ・ベノートが再びリーダーを務める。UAEチームエミレーツは、ブエルタで総合エースを務める見込みのフアン・アユソを中心とした布陣。ツールでは高峰ピュイ・ド・ドームを制したマイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック)も優勝争いに加わりたい。チーム力なら、ツール山岳賞のジュリオ・チッコーネや若手有望株のマティアス・スケルモースがメンバー入り予定のリドル・トレックもおもしろい。

そして、われらが新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)の2年連続参戦が決定。シーズン後半戦の第一歩として、ビルバオやミケル・ランダらとスタートラインに並ぶ。このレースを終えると、他の選手たちと同様にロード世界選へ。きっと日本のファンに元気な姿を見せてくれるはずだ。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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