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サイクルロードレース コラム 2026年5月7日

サイクルロードレースの最高峰「グランツール」とは? 3週間で約3500kmを走破する壮大で超人的な長旅

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ジロ・デ・イタリアは今年も5月に開幕

サイクルロードレース2026年シーズン最初のグランツール、ジロ・デ・イタリアの開幕に向けて、あらゆる側面からレース観戦の楽しみ方を探っていくコラム。第2回は、ジロをはじめとする3週間のロングラン「グランツール」について。グランツールとは何かから、楽しみ方、なぜ人々が3週間に及ぶ戦いに熱狂するのか。この機会に掘り下げてみる。

サイクルロードレースの最高峰「グランツール」

サイクルロードレースは大きく分けて、1日で勝負が決まる「ワンデーレース」と複数日にわたってレースが行われる「ステージレース」とが存在する。ワンデーレースは、ミラノ~サンレモやパリ~ニースに代表されるその日限りの一戦だが、ステージレースは2日間で争われるものから長ければ3週間にわたるものまで、その様式は多岐にわたる。

そんなステージレースの最高峰に「グランツール」がある。

グランツールとは、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャ、この3大会の総称で、グランツールと名のつく大会が存在しているわけではない。グランツールの呼び方はフランス語から来ていて、グラン(grand)は大きい、ツール(tour)は回遊や一周といった意味を持つ。ジロ(giro)はイタリア語、ブエルタ(vuelta)はスペイン語で、それぞれツールと同じ意味の単語である。

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この3大会に共通するのが、開催期間と総走行距離にある。競技を統括するUCI(国際自転車競技連合)の規定では、「日程は15日以上23日以内」「競技区間の総走行距離は3500km以内」「期間中2回の休息日を設けること。ただし、1回目の休息日は大会8日目以降に設定すること」とされている。

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各大会は主催者こそ異なれど、この規定に基づいてほぼ共通した大会運営を行っている。レース日数は21日間で、ジロ2026年大会を例にすると総距離は3468kmで休息日は第9ステージ後と第15ステージ後に設定される(このほか、第3ステージ後に移動日が設定されている)。

途中2回の休息日があるとはいえ、21日間…つまりは3週間レースを走り続けねばならず、過酷さは日を追うごとに増していく。ジロ2026であれば、平均ステージ距離は165.1km。とはいえ、日によっては200km超のステージがあったりと、21日間の中でレース距離は長短の変化が施されている。そのあたりは、主催者の腕の見せどころであったりもする。

そんなタフな戦いで強さを発揮するには、平地・山岳・タイムトライアルといった、要求される能力が異なる種目で抜け目なく走り抜くことが絶対条件。とりわけグランツールは、他のステージレースと比べてもハードなので、優勝はもとより、完走するだけでも大きな名誉。出場チームはいずれもベストメンバーを構成して臨むが、チーム内選考を勝ち抜いた時点で一流選手だといえる。

4つの特別賞

グランツールの見どころのひとつに、特別賞がある。

特別賞はおおむね、4種類で構成される。「4賞」とも言われ、各賞でトップの選手はそれぞれのリーダージャージ着用が義務付けられる。

まず、「個人総合時間賞」。大会期間中で所要時間が最も少ない選手に贈られる賞。最高栄誉でもある。ジロの場合は「マリア・ローザ(ピンク)」、ツールなら「マイヨ・ジョーヌ(イエロー)」、ブエルタは「マイヨ・ロホ(レッド)」と、色の異なるジャージが用意される。

ジロの個人総合時間賞はピンク色のジャージ

次に「ポイント賞」。レース途中に設定される中間スプリントポイントとフィニッシュの着順によって付与される得点を、最も多く得た選手に贈られる。ジャージの名称は、ジロが「マリア・チクラミーノ(紫)」、ツールが「マイヨ・ヴェール(緑)」、ブエルタが「マイヨ・ヴェルデ(緑)」。

クライマーの栄誉は「山岳賞」。登坂区間の頂上に置かれるポイントで最も多く得点を得た選手に贈られる。登坂の難易度によって付与される得点に変動があるあたりも特徴。ジャージ名称は、ジロが「マリア・アッズーラ(青)」、ツールが「マイヨ・アポワ(白地に赤水玉)」、ブエルタが「マイヨ・デ・ルナレス(白地に青水玉)」。

25歳以下の選手で最も所要時間の少ない選手に贈られるのが、ヤングライダー賞。近年は個人総合時間賞との2冠に輝く選手も少なくない。こちらは3大会ともカラーはホワイト。ジャージ名称は、ジロが「マリア・ビアンカ」、ツールが「マイヨ・ブラン」、ブエルタが「マイヨ・ブランコ」。

ヤングライダー賞は全グランツール共通で白のジャージ

レースが進むにつれて、これら4つの賞をかけた争いは激化していく。同じレースを走っていながら、別々の賞をかけた駆け引きがなされているのもサイクルロードレースならでは。意識して観始めると、思いのほかレース観戦が慌ただしいものになっていったりする。

特徴の異なる3つのグランツール

最後に、3つのグランツールそれぞれの特徴について。各レースの趣きを知って、楽しみ方を探ってみてほしい。

●ジロ・デ・イタリア
シーズン最初に開催されるグランツール。全体的に山岳比重が高くなる傾向にあり、イタリア北部のアルプスやドロミーティの山々でドラマが生まれることが多い。一方で、完全なフラットコースが設けられたりと、スプリンターにもチャンスのあるステージが設定される。フィニッシュ前のテクニカルなレイアウトも、スプリンターにとって決めどころである。

ジロ・デ・イタリアは山岳ステージが特徴的

●ツール・ド・フランス
ジロが「世界で最も美しいレース」なら、ツールは「世界最大のサイクルロードレース」。その規模はオリンピックやサッカーW杯と並ぶとも言われており、世界三大スポーツイベントに数える向きも。世界190カ国以上で放映され、その注目度は当然フランスにとどまらず、ワールドワイドなサマーイベントとなっている。マイヨ・ジョーヌ争いはアルプスとピレネーの両山脈をいかに攻略するかがポイントに。灼熱の日があったと思いきや、突如として冷雨の中を走ることになったりと、コンディションがめまぐるしく変化するあたりも見逃せない。サイクルロードレースにおける最高の舞台であり、あらゆる脚質の選手が一堂に会し、それぞれの目標や完走に向かって走る様はエモーショナルに尽きる。

●ブエルタ・ア・エスパーニャ
ツールやジロと比較すると歴史的には浅いが、山がちなスペインの地形をフルに生かしたセッティングで独自のニュアンスを醸し出している。ピレネーの山々や、秀峰アングリルが選手たちの脚とメンタルを試す。ツール閉幕から1カ月も経たないうちにスタートが切られるので、好調を維持してスペインに乗り込む選手もいれば、ツールを回避しこのレースに賭けるライダーがいたりと、彼らの戦いぶりが見どころになる。開催時期である8月下旬から9月中旬にかけてのスペインはまだまだ暑く、ギラギラと輝く太陽のもと走るプロトンは壮観だ。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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