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【Cycle*2022 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース:レビュー】史上最強のメルクスと並ぶ22歳で戴冠!もはや伝説級のレムコ・エヴェネプール「涙が流れる理由はたくさんある」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかこの秋を最後に自転車を降りるフィリップ・ジルベール以来となる、10年ぶりのアルカンシェルを、母国ベルギーにもたらした。またベルギーが生んだ史上最強の自転車選手エディ・メルクスと同じ、22歳での初優勝であり、1989年にツール総合3勝グレッグ・レモンが達成して以来となる、グランツール&世界選手権同一年制覇だった。しかも1つのシーズンでモニュメントとグランツール、さらに世界選手権を勝ち取ったのは……アルフレド・ビンダ、メルクス、そしてベルナール・イノーに次ぐ史上4人目の快挙!
「信じられないよね。今年のようなシーズンは、すぐには繰り返せないだろうから、今は自分が成し遂げたことをできる限り満喫したい。クレイジーな1日だったし、クレイジーなシーズンだったよ。そして今年のレースはこれで終わり!」(エヴェネプール)
レムコがルツェンコと共に遠くへ走り去ってしまった直後、すべての選手が負けを理解した。約2分半後ろを走っていたメイン集団にも、いつしか情報は伝わった。もはや遠慮する必要のなくなったファンアールトは、自らが攻撃に転じたことさえあった。すかさず動いたのはアラフィリップだった。2連覇中のチャンピオンは、さらには集団制御を試みた。「前にロマンが残っていたから」でもあり、なにより上りで遅れがちなラポルトが、集団から千切れぬよう助けるためだった。
「ジュリアンの動きを見て、もう無駄だからやめろ、と言いたかった。もはや僕自身は『終わりだ』と思っていた。でも選手たちは諦めていなかった。あれほどのタイム差があったにも関わらず、最後の最後までチームとして結束して動いた」(ヴォクレール)
もちろん、前を走っているのが果たして何人なのか、どんな状況なのか……無線のない中、集団内の選手たちは一切知らなかった。残り17.1kmの最終周回に入った時点で、2番手を走っているルツェンコとは、いまだ1分50秒もの差があった。追走する4人に対しても1分25秒の遅れ。その次の集団にいたバルデ自身は、「後ろから仲間たちが追いついてくれることを願い」つつ、グループ内の最後尾で足を止めていた。
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