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【Cycle*2022 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース:レビュー】史上最強のメルクスと並ぶ22歳で戴冠!もはや伝説級のレムコ・エヴェネプール「涙が流れる理由はたくさんある」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「フランスが動いた瞬間から、何も考えずに、ひたすら全力で走った。で、ある時点でタイム差を確認して、よし、行ける、と考えた。それでも攻撃的な走りを続けたかった。だって、これは、同時に守備的な走りでもあったから。背後にはワウトがいた。スプリントにもつれ込んだ場合に備えて、彼は体力を温存できるはずだったから」(エヴェネプール)
後方では、またしても乗り遅れたスペインやドイツが、がむしゃらにに引いていた。前にパスカル・エーンコーンが走っていたけれど、オランダも追走に協力した。3人が前にいるフランスさえも、しばらく先でミスに気がつくと、後方で隊列を走らせた。遠ざかっていくチャンスを手元にどうにか引き戻そうと、10回目のプレザント登坂では、ポガチャルも加速を切った。全長1.1kmの短い上りだけで、メイン集団は一気に40秒も縮めた。
ただし、あらゆる謀反の動きに、軽々とファンアールトも追随した。「後ろのワウト」の存在が、間違いなく追走編隊の邪魔をした。ライバルチームはすぐに睨み合いを再開し、再びタイム差は広がっていく。
「レムコの飛び出しは、他のチームにとって危険な状況だった。ベルギーにとっては最高の展開以外のなにものでもなく、おかげで僕は、集団内に楽々と留まっているだけでよかった」(ファンアールト)
ライバルたちに出来ることは、もはや、それほど残っていなかった。エーンコーンとアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)が、レムコを引き剥がそうと、勇敢な突進を試みた。すでに1回目の攻撃でも前にいたバルデは、「できるだけレムコの後輪に張り付くこと」を選ぶしかなかった。疑心暗鬼のライバルたちは、ひたすら睨み合い、互いの動きを潰しあった。
こんなレムコ包囲網を切り裂くように、エヴェネプールが強烈な加速をお見舞いした。残り2周回に入る手前の、一瞬の隙を突いた。ただルツェンコだけが、エヴェネプールの背後に飛び乗れた。
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