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【Cycle*2022 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース:レビュー】史上最強のメルクスと並ぶ22歳で戴冠!もはや伝説級のレムコ・エヴェネプール「涙が流れる理由はたくさんある」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか残念ながら、10年前にU23世界チャンピオンの座を射止めたカザフの星も、長くは抵抗できなかった。必死にエヴェネプールとの共闘を続けていたが、11回目のプレザント登坂で、とどめを刺された。
「脚が急に動かなくなった。6時間ものレースの終わりで、もはや空っぽだった。もしかしたら、その前に、少し力を使いすぎたのかもしれない。。でも……レムコの前には、いずれにせよ、なにもできることはなかった」(ルツェンコ)
スタートからすでに240kmもの距離を走っていた。レース長ければ長いほど、終盤にライバルたちの爆発力は衰えて行き、どんどん僕にとって有利になるーー。そうスタート前に笑っていたエヴェネプールは、ダンシングスタイルでさらにスピードを上げた。ほんの2週間前にブエルタ・ア・エスパーニャを制し、1週間前には世界選個人タイムトライアルで3位銅メダルを手にし、いまだエネルギーに満ち溢れる22歳が、残り26km、得意の独走態勢に持ち込んだ。
「ひとりで行きたかったんだ。今日のような周回コースでは、時間を無駄にしている暇などなかったから」(エヴェネプール)
4年前にはジュニア世界選を20kmの独走で圧倒した。3年前は初めてのクラシックを9kmの一人旅で勝ち取った。今年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュは15.5kmで、サンセバスティアンは44.5km。ブエルタでも自ら攻撃した区間は、決して誰にも先行を許さなかった。ひとたびエヴェネプールが加速を切れば、それは常にすべての終わりを意味した。孤独を恐れない神童は、この日も、脇目も振らずにフィニッシュまでひとり先頭で駆け抜けた。
前日まで虹が架かっていた空からは、初春の陽光が降り注いでいた。まさに太陽王の戴冠。自転車を本格的に始めてわずか5年半で、エヴェネプールは世界チャンピオンになった。
「未来がどうなるかなんて分からなかった。ただひたすら努力し続けてきただけ。自分自身を信じ、今日のような日がいつか来ると信じて……」(エヴェネプール)
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