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サイクル ロードレース コラム 2012年6月22日

ツール・ド・フランス:総合争いはエヴァンスvsウィギンス?

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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アンディとコンタのいない夏。2010年大会のマイヨ・ジョーヌを受け取ったばかりのアンディ・シュレクは、6月クリテリウム・デュ・ドーフィネの落車による仙骨骨折で今季のツール欠場を決めた。アルベルト・コンタドールは、その2010年大会のドーピング疑惑により8月5日まで出場禁止。ここ数年間のツールの主役2人が抜けた穴は、確かに、決して小さくはない。

しかしビッグ2がいない代わりに、逆に群雄割拠で、なにやら面白いツールになりそうだ。特にカデル・エヴァンスとブラッドレー・ウィギンスの激突が、彼らの不在を忘れさせてくれるに違いない。昨秋のコース発表時から「タイムトライアル総距離の長い2012年ツールはこの2人に有利となる」と繰りかえし語られてきたように、プロローグ6.4km、第9ステージ41.5km、第19ステージ53.5km、通算101.4kmの個人タイムトライアルは両者にとって絶好の力の証明の場となる。しかも2人の戦いは、単独走行だけに留まらないはずだ。

ウィギンスは春の早い段階から、ひどくアグレッシブに予行練習を重ね、そのほぼ全てを成功させてきた。奪ったマイヨ・ジョーヌは3つ。まず3月上旬のパリ〜ニースで強風による分断に上手く乗り、さらに激坂フィニッシュでは大胆にもアタックを見せた。4月末のツール・ド・ロマンディは、中集団スプリントで勝利を奪い取り、世界中を唖然とさせた。そして6月上旬のクリテリウム・デュ・ドーフィネは完璧な仕上がりを見せた。いずれの大会でも、初日の「プロローグ的」タイムトライアルこそ落としたものの、大会終盤の総合を左右する重要なタイムトライアルは確実に仕留めた。ドーフィネではツールの第19ステージと同じ53.5kmを、圧倒的な強さで勝ち取った。

そのドーフィネのタイムトライアルで、エヴァンスは1分43秒もの遅れを喫している。3月末のクリテリウム・アンテルナシオナルで6.5kmという短距離タイムトライアルと総合を制したあと、体調不良でしばらく休暇を取っていた時期もあった。それでもドーフィネでは見事な攻撃性を披露。集団から飛び出して区間勝利を奪ったり、難関山岳で下りアタックを試みたり。この実践テストを経て、エヴァンス本人は2年連続のツール優勝へ向けて大いに自信を強めている。

シーズンここまでの動きを見る限り、チーム力は圧倒的にスカイが上だろうか。ただツール本番では、スプリンター マーク・カヴェンディッシュとの共存が、どうチーム内のバランスに影響するのか気になるところ。また難関山岳でリーダーたちにだけによる1対1の対決になった場合、または孤立させられた場合、(悲しいかな)こういった場数を多数踏んできたエヴァンスが有利だ。さらに今ツールは有名峠が少ない代わりに、勾配の厳しい坂が多数用意されている。過去のエヴァンスは、アルデンヌクラシックやジロで十分に激坂への耐性を実証してきた。

ならばエヴァンスvsウィギンスの間に割って入れる選手は、果たして誰だろうか?

残念ながらツール・ド・スイスで健闘を見せたフランク・シュレクは「ツール終盤まで今のピークが続くとは思わない」と、チームの総合リーダー役を辞退。一方で同大会ではチームメートの総合優勝のために素晴らしい好アシストを行ったアレハンドロ・バルベルデが、7月は自らのために力を解き放つだろう。とりわけ激坂は絶対的得意分野だ。またデニス・メンチョフは「タイムトライアルと山に両方強い選手」という条件をクリアするし、今年こそ母国チームのリーダーとしてアシスト勢の献身も期待できる。

クリス・ホーナー40歳、アンドレアス・クレーデン37歳、リーヴァイ・ライプハイマー38歳といった大ベテランたちはあいかわらず老獪な走りを見せてくれるはず(エヴァンス35歳やメンチョフ36歳も同じく)。もちろんロベルト・ヘーシンクやヴィンチェンツォ・ニバリ、ユルヘン・ヴァンデンブロックといった20代の選手たちにもチャンスあり!

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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