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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 レースレポート:第14ステージ】ツールの表彰台男が新天地で遂にブエルタ区間勝利!ロマン・バルデ「良いレースをすることだけを考えた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか真っ先に攻撃に移したのはコフィディスの方だった。残り7km前後、やはりバルデが勝利へのアタックを決めた難勾配を利用して、レミ・ロシャスが急加速。総合2位ギヨーム・マルタンを連れ前方へと飛び出した。もちろん目的は58秒差の総合首位、オドクリスティアン・エイキングを振り落とすこと。
「1日の大半はコントロール下に置くことができた。最終峠もきつくなり過ぎなきゃいいけど……と願っていたんだ。常に勾配が高いわけではないから、僕はある種の賭けに出た。他選手の後輪にできる限り張り付いていく作戦を取ったんだ」(エイキング)
ただし総合12位ジュリオ・チッコーネや10位フェリックス・グロスシャートナーと並んで、エイキングの同僚ルイス・メインチェスがコフィディス2人にぴたり張り付いた。おかげでマルタンの試みは、それほど長くは続かなかった。しかもユンボが一定速度で引き連れてきたメイン集団に、マイヨ・ロホは危なげなく踏みとどまっていた。
ユンボはあくまで守備的な姿勢を崩さなかった。その後もチッコーネだけはしばらく単独で粘り続けたが、やはり黙々とリズムを刻みつつ回収した。残り3kmでモビスターのダブルリーダーの片割れ、総合5位ミヘルアンヘル・ロペスがアタックを打っても、決して慌てて潰しに走ることはなかった。まずはステフェン・クライスヴァイクが先頭を引き、残り1.5kmからはセップ・クスが仕事を引き継いだ。徐々に、着実に、スピードを上げていった。
おかげで総合3位プリモシュ・ログリッチは、自ら力を振り絞るのはラスト500mだけで良かった。「スーパーマン」ロペスから遅れることわずか4秒、今大会優勝大本命は4位エンリク・マス、7位エガン・ベルナル、6位ジャック・ヘイグと同タイムで1日を終えた。8位アダム・イエーツはログラから12秒後にラインを越えた。またマルタンはログリッチから16秒遅れで、エイキングは20秒遅れでそれぞれフィニッシュ。
いわゆる賭けを成功させ、5日連続でマイヨ・ロホはエイキングの肩に留まった。総合2位マルタンは56秒遅れと、差をほんの4秒縮めたに過ぎなかった。逆に3位ログリッチには1分36秒差に迫られた。
その総合3位から4位マス2分11秒差、5位ロペス3分04秒差、6位ヘイグ3分35秒差、7位ベルナル4分21秒差までは、ロペスが4秒稼いだことを除いて、関係性はなにも変わらなかった。8位イェーツは4分49秒差にわずかながら後退。ちなみにイネオスのダブルリーダーは、昨大会総合2位リチャル・カラパスの支援を、翌日からもはや受けることは出来ない。東京五輪ロード金メダリストは、今区間半ばに大会を去った。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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