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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 レースレポート:第4ステージ】生死の境を彷徨った男が仲間と掴んだ復活勝利!ファビオ・ヤコブセン「長い道のりだった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「僕らチームはずっと最前列で走って、みんなで心から楽しんだ。1日中ジョークを言い合ったりしてね。本当に素敵だった」(タラマエ)
フィニッシュまで残り100kmを切ると、いよいよアルペシン・フェニックスが1人、前線に人員を送り出した。続けてグルパマ・エフデジもコントロールへの協力を開始。急速に前を追い詰めていく。残り75kmでドゥクーニンク・クイックステップも牽引を始めた頃には、早くも逃げとのタイム差は1分半近くにまで縮まっていた。
プロトン
あくまで残り62.9kmの中間ポイントは、小さな競り合いに留まった。たしかに前方は白熱の一騎打ちが繰り広げられ、ボウがマドラソを下した。一方の後方メインプロトンは、むしろぎりぎりまで睨み合いが続いた。しかも膠着状態を破ったのはドゥクーニンクのヤコブセン……ではなく、フロリアン・セネシャル。ポーランドでの落車事故の直後、地面に横たわる同僚のもとに真っ先に駆けつけ、喉から血を吐かせ窒息を防いだ「命の恩人」が、この日は道の上で好アシストを魅せた。おかげで大会2日目に自ら中間を取りに行ったウルフパックのスプリントエースは、来たるべき上りフィニッシュに備え動かずにすんだ。緑ジャージ姿のヤスパー・フィリプセンは、隙を突かれ5位通過で甘んじた。
そこから先は総合系チームが制御に務める番だった。前夜マイヨ・ロホを手放したユンボ・ヴィスマを筆頭に、EFエデュケーション・NIPPOやバーレーン・ヴィクトリアスが、危険回避のため場所取りに励んだ。幅の広い直線道路に、一時は10チームもの隊列がぎゅうぎゅうに並んだことも。
全力で粘り続けた3人が、13.5kmで吸収されると、いよいよスプリンターチームと総合系が激しく入り交ざった。平坦ステージ終盤ではよくある場面ながら、この日はいつにも増してカオスだった。フィニッシュ2kmからの下りを、多くのチームが恐れていたせいだ。逆にロードブックを見る限り大した急坂でもなさそうなこの下りには、スピードのでるカーブがいくつも潜んでいた。
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