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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第19ステージ】優れた戦術眼と脚で周囲の雑音に訴える区間勝利!モホリッチ「僕らがどれほど大きな犠牲を払っているのか」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか一瞬で穴が開いた。背後のライバルたちは互いに警戒し合うばかりで、すぐに追いかけられなかった。腹をくくってマイク・テウニッセンが追走を始めるも、すでに遅すぎた。重たいギアを回すモホリッチとの距離は、ただ無情にも開いていくだけ。
マテイ・モホリッチ
「ずっと秘密にしてきたのに、ばれちゃったな。実は今ツールではいつも55x42を使ってるんだ。ダウンヒルや微妙な上り基調の道では、アドバンテージになる。タイムトライアルでは58を回している選手もいるのに、なんで普通のステージではいまだに53や54をつける必要があるんだろう?プロトン内で走る時は、TTよりもハイスピードが出る場合も多いのに」(モホリッチ)
後方の喧騒を離れ、まさに翌日のTTの予行練習であるかのように、モホリッチは滑らかにペダルを回し続けた。今大会最長249.1kmの第7ステージでは、18kmの独走を成功させたが、3番目に長い207kmの今区間は、26kmをひとりで突き進んだ。逃げの共たちに58秒先んじて、フィニッシュラインを越えた。口に人差し指を当て、さらには口にチャックを閉めるようなジェスチャーと共に。
第17ステージ終了後の夜に、バーレーン・ヴィクトリアスの宿泊先とチームバスに、フランス憲兵隊の捜索が入った。組織的ドーピングの疑いがあるとして、今回の捜査を基に、マルセイユ裁判所にて予審が行われる予定だ。途端にファンやメディアの間では、あることないこと色々と囁かれるようになった。モホリッチ自身は「僕らはスーパークリーン。ただ警察の捜査には全面的に協力する」と宣言しつつ、同時に我々第三者への理解を求める。
「あのジェスチャーは、僕らのパフォーマンスに疑念を抱く人々に、分かって欲しかったからなんだ。仕事、食事、トレーニング計画やレース計画、自宅から常に遠く離れて過ごすすべての時間……こんなあらゆる物事に関して、僕らがどれほど大きな犠牲を払っているのかということを」(モホリッチ)
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