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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第17ステージ】最難関フィニッシュでポガチャル擁するUAEが強さを証明。マイヨ・ジョーヌ「僕はひたすら祈るだけ」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかそして残り8.5km、マイカが最後の力を振り絞った直後だった。ポガチャルが自ら攻撃へと転じた。哀れなぺレスを大急ぎで追い越しつつ、2位リゴベルト・ウラン、3位ヴィンゲゴー、4位カラパス(とアシスト役ジョナタン・カストロビエホ)、5位ベン・オコーナー以外をすべて後方へと葬り去った。最終峠突入直前に落車した6位ウィルコ・ケルデルマンは、慌てて穴を埋めに走ったが、ポガチャルがすかさず打ち込んだ2発目に完全に沈められた。
そもそもこの2発目で、ポガチャルについて行けたのは、ヴィンゲゴーとカラパス、ウランだけ。つまり総合トップ4が肩を並べたことになる。しかし、この状況も、それほど長くは続かない。ほんの数百メートル先で、ウランが脱落して行ったからだ……!
あくまでポガチャルは先頭を突っ走った。区間勝利目指して、全力疾走の姿勢を崩すつもりもなかった。ただ総合ですでに5分18秒も離れているウランから、これ以上タイム差を奪う必要性にはそれほど迫られていなかったはずだ。むしろウランに対して14秒遅れのヴィンゲゴーと、15秒遅れのカラパスに、先を急ぐ理由があった。
だからこそマイヨ・ジョーヌは、自らの後輪に張り付く2人に先頭交代を促した。デンマーク人はすぐに協力体制を受け入れた。一方のエクアドル人は、頑なに前を引こうとはしなかった。
ヴィンゲゴーとカラパスを牽引するポガチャル
「別に秘密でも何でもないし、大したことではないんだ。ヴィンゲゴーは僕に『カラパスははったりをかましてるだけさ』と言ってきたし、僕もそう考えていた。異常事態でもなんでもない。これも自転車レースの戦術のひとつだよ」(ポガチャル)
だったら振り払うまで、とばかりポガチャルは畳みかけるように何度も加速を繰り返した。ヴィンゲゴーも力を尽くした。しかし2019年ジロ総合覇者は、常に苦しそうな顔をしつつ、いつも2人の背後にぴたりと張り付いていた。なんと7kmにも渡って壮大に演じ続けた挙句、残り1.5kmで、カラパスは突如としてアタックに転じた。
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