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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第9ステージ】チームにツール区間20勝目をプレゼント!真夏の凍える戦いを制したベン・オコーナー「ひたすら信じ続けた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか……不安は的中し、ポガチャルは間違いなくアタックを打つのだが、幸いにもオコーナーの独走態勢には影響を与えなかった。約9カ月前のジロでマドンナ・ディ・カンピリオ山頂への単独逃げ切り勝利を手にした25歳は、初めてのツール挑戦で、標高2107mのティーニュ山頂で両手を高く突き上げた。昨秋NTTの解散危機で移籍先を探していたオコーナーに、そのジロ勝利の翌日に手を差し伸べてくれたAG2Rシトロエンに、嬉しいツール区間20勝目を献上した。
区間上位に入ったのは、長い間先頭を突っ走っていたコロンビア2人組でも、山岳賞を追い求めるウッズやプールスでもない。少し後方で決して折れずに逃げを続けてきた集団から、マッティア・カッタネオが5分07秒遅れで2位に食い込んだ。
3位には驚くことに……コルブレッリが飛び込んだ!おかげで中間1位=20ptに区間3位=15ptを加え、ポイント賞6位から一気に3位へとジャンプアップ。ここ2日間激しく競り合ってきた2位マシューズとの差を、11ptに詰めた。一方でこの2日間タイムアウトとの戦いに明け暮れる1位カヴェンディッシュとの差は、いまだ47ptと大きい。ただし2021年大会から採用された「タイムアウト救済の場合マイヨ・ヴェール用ポイント全剥奪」という厳しいルールのせいで、サスペンスは最後まで続くのだ。
スタート地に並んだ各賞ジャージを纏った選手たち
前日の30kmもの大アタックで、マイヨ・ジョーヌ争いに関してはサスペンスをほぼ殺してしまったポガチャルは、この日はリチャル・カラパスの加速にカウンターを打ち込んだ。残り4kmで軽々とすべてを振り払うと、そのままひどく楽しそうにフィニッシュまで走り抜けた。カラパスを筆頭とする(元)総合ライバルたちに32秒以上のタイム差を新たに押し付け、一時は失いかけたマイヨ・ジョーヌも、終わってみれば総合2位浮上オコーナーとの差をしっかり2分01秒も確保していた。
「オコーナーは本当に強かったから、僕は少し怖かった。ジャージを失ったからといって決して最悪の事態ではないけれど、でも僕は黄色が好きだからね。とにかく出来るだけ長く守りたかった。だから小さなアタックを打って、差を埋めに走った。おかげで僕はこうして好位置につけている」(ポガチャル)
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