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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】2位ポガチャルを突き放したマイヨ・ジョーヌ「この差で足りるとは思わないよ。まだ厳しいステージが残っている」 / 第17ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか2位ポガチャルに15秒の差をつけてフィニッシュしたマイヨ・ジョーヌ
まるで山肌に解き放たれたリボンのように、自然な地形に逆らわず、道は滑らかなラインを描いていた。しかし、そのうねりと起伏は、挑む者たちの脚を否応なしに痛めつける。ツール・ド・フランスではいまだかつて見たこともないような風景の中で繰り広げられた、限界ぎりぎりの力勝負。ミゲルアンヘル・ロペスが今大会最高標高地点で力強く天に拳を突き上げ、マイヨ・ジョーヌのプリモシュ・ログリッチは、向こう見ずな後輩をペダルで突き放した。
「本当に幸せだ。こんな日が来ることをずっと夢見てきた。でも、果たしていつ訪れるのかは、あらかじめ予測もつかないもの。僕にとってひどくスペシャルな日となった」(ロペス)
ディフェンディングチャンピオンのいないツール。昨大会覇者のエガン・ベルナルが体の痛みに耐えきれず、この日の朝、帰宅を選んだ。残された152人のプロトン内に、ジロやブエルタの総合優勝経験者はいるが、ツールのマイヨ・ジョーヌを持ち帰った者はこれでひとりもいなくなった。すなわち4日後のパリでは、確実に新しい王者が誕生する。
それでもレースは続く。残されたイネオス・グレナディアーズの選手たちは、昨日にも増して積極果敢に攻め立てた。つかみ損ねた栄光を追い求める者たちだけでなく、さらなる栄光を求める者たちも入り混じって、スタート直後からレースは活気付いた。
なにしろ2020年ツール・ド・フランスの最難関ステージであり、標高2304m地点に達する最も空に近いステージであり、しかも3週間で最後の山頂フィニッシュだった。真っ先にラインを駆け抜けた者には、大会創始者の名を冠したアンリ・デグランジュ賞(と5000ユーロの賞金)も待っている。もちろん行く先には2つの超級峠が聳え立ち、しかも最終コル・ド・ラ・ロズでは山岳ポイントが2倍になるおまけつき!
ただし大量のエスケープは許されない。30人ほどの大きな塊が一旦遠ざかるも、すぐさま回収された。ようやく30kmほど走った後で、ジュリアン・アラフィリップのイニシアチヴにより、レナール・ケムナ、リチャル・カラパス、ダン・マーティン、ゴルカ・イザギレの5人の逃げが出来上がった。
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