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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】2位ポガチャルを突き放したマイヨ・ジョーヌ「この差で足りるとは思わないよ。まだ厳しいステージが残っている」 / 第17ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかミゲルアンヘル・ロペス
ログリッチさえこの坂道を「暴力的。どの場所で崩れ落ちてもおかしくなかった」と振り返る。ポガチャルもまた「なんて残忍な山だったろう!」と表現した。こんな規格外の山で、たった1人だけ正反対の意見を述べた者がいる。それこそ残り3.5kmで真っ先にアタックを仕掛けたロペスだ!
「これは僕の日になるかもしれない、って思っていた。だって最終峠の地形は僕向きだし、標高は2000mを超えてるし。なんだか地元で走っているような気分になった」(ロペス)
コロンビアの、標高2800mを超える小さな町で生まれ育った「スーパーマン・ロペス」は、つまり水を得た魚のように15%ゾーンで軽々と加速を切った。8位エンリク・マスはもはやひとたまりもなかった。
ただ総合トップ2はしっかり衝撃に耐え、総合6位リッチー・ポートはヨーヨーのように行ったり来たりを繰り返し、なによりマイヨ・ジョーヌの右腕セップ・クスはーーロペスには負けるが、それでも標高1988m生まれだーーすいすいと不規則な山を駆け上がった。5人にまで小さくなった集団の先頭にすぐさま立つと、ログラのために仕事を続けた。
「クスは信じられないほど素晴らしかった。だから彼に、もしも可能なら、ちょっと前に飛び出してみてくれ、って指示したんだ。ライバルたちは穴を埋めに行くだろう。そうすれば彼らがどんな状態なのか見極められるに違いないと考えた」(ログリッチ)
残り2.8kmでクスが見せた飛び出しは、つまり軽いテストのようなものだった。ロペスはすかさず後輪に飛び乗った。ポートは積極的に追走を始めた。しかしポガチャルは動かない。果たして40秒差のログリッチを牽制するためか、それとも自らより1分05秒遅れのロペスの動きに反応できなかったのか。
おそらくログラの出した答えは2番目だ。さらにロペスが2.4kmでとてつもない一撃を振り下ろし、大急ぎで先へ遠ざかっていくと、続けてマイヨ・ジョーヌ自らが加速した。ポートは脱落し、ポガチャルは一瞬遅れて追いかける。しかし、その一瞬で出来た隙間は、埋まるどころかただどんどんと広がっていくだけだった。
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