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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】2位ポガチャルを突き放したマイヨ・ジョーヌ「この差で足りるとは思わないよ。まだ厳しいステージが残っている」 / 第17ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかもちろん山頂ではアラフィリップとカラパスがちょっとしたスプリントを繰り広げ、山岳ポイントの収集も忘れなかった(カラパス首位通過20pt)。ただ残念ながら、1日の終わりに、逃げ選手が山岳ジャージに袖を通すことはなかった。そもそもマドレーヌ山頂手前で、メイン集団からタデイ・ポガチャルがちょっとだけ飛び出し、赤玉への興味を示した。つまり15日間山岳賞首位を守り続けてきたブノワ・コヌフロワから、ジャージを剥ぎ取っていたのだ。
「マドレーヌでポイントを獲ろうと試みたし、ぎりぎりまで粘った。でも不可能だったよ。予想通りさ。僕の胸には幸せな記憶が、箪笥にはたくさんのジャージがいつまでも残ることだろう」(コヌフロワ)
21.5kmの最終峠で、再びタイム差は急速に縮まっていく。ツール閉幕1週間後の世界選手権に向けて、この朝フランス代表エースに指名されたアラフィリップが、最後のチャンスを求めてアタックを試みるも、その後にカラパスの加速に振り落とされた。イザギレもまた、「カルチの機関車」の毅然たる突進に、残り9kmでもはやついていけなくなった。
2日連続で逃げたカラパスは、チャンピオンの意地と脚を最後まで見せつけた。一旦は18秒差にまで迫ったメイン集団を、再び力任せに45秒差にまで押し戻しもした。しかし2日連続で目標には届かなかった。フィニッシュまで残り3km、マイヨ・ジョーヌ集団の争いに最前線を譲り渡した。ただ前日は「でも自由に走る権利を得て、区間勝利にトライできて嬉しい」と打ち明け、この日は「心の底から楽しかった」と言い放った昨イタリア一周総合覇者は、どうやらこんな風に語っているらしい。「明日はもっと良くなるさ!」
マドレーヌ峠で総合10位ナイロ・キンタナを吹き飛ばし、最終ロズ峠の、序盤15.5kmの「伝統的な山道」でメイン集団を13人にまで小さく絞り込んだのが、バーレーンの刻んだ早いテンポだったのだとしたら、最終6kmの「ニュータイプ」で選手たちを苦しめたのは、高い標高と不規則に変わる勾配だった。あちこちに短い壁が立ちはだかり、ほんの少し緩んだと思うと、また突如として難度は跳ね上がる。勾配の変わり目ごとに、1人ずつ脱落していく。山頂まで3.7kmで、ほぼ丸々2つの山でチームメートを働かせてきたランダも先頭との接触を失い、総合3位リゴベルト・ウランや5位アダム・イエーツも力尽きた。
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