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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】一瞬たりとも目が離せないペーター・サガンが仕掛けた一流のショー「上手く行くこともあれば、行かないこともある」 / 第7ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかこれぞペーター・サガンの打った一流のショーだ。「僕はピュアスプリンターではない」とステージ後に改めて強調したが、そもそもマイヨ・ヴェールとはキング・オブ・スプリンターを決める賞ではない。大昔から「レギュラリテ(安定性)」を称賛する賞と決まっている。あらゆる地形に適応し、どんな天候にも耐え、3週間通して穴がない。しかもインスピレーション豊かに、起伏で逃げを打ち、風で分断を作り出す。こうしてツール107回の歴史上、サガンは誰よりも多く緑色のジャージを身にまとってきた。そして史上最多の受賞7回を誇る男曰く「2013年の第7ステージのように」、つまり115kmもチーム隊列を走らせすべてを貪りつくした時のように、大鉈を振り下ろした。
「スタート前にチームメートみんなで話し合って決めたんだ。監督たちは実は納得していなかったんだけど、結果的には監督陣も喜んでくれた。チームメートの働きが誇らしい。彼らはものすごい仕事を成し遂げてくれた」(サガン)
中間スプリントでは、マッテオ・トレンティンにぎりぎりで刺され2位に終わるも、ポイント順位は首位に返り咲いた。その後も110km先のフィニッシュラインへ向けて、サガンとその仲間たちは高速で突き進んだ。
トーマス・デヘントが単独で逃げを打ったこともあった。エーススプリンターのユアンはとっくの昔に置き去りにされ、もはや働く必要はない。好きなように走ることを許されたとき、やはりデヘントは逃げを選んだ。ただ「誰か一緒について来てほしかった」けれど、誰もついてきてはくれなかった。決して1分以上のリードを奪うこともできなかった。約60kmに渡って続いた孤独な逃避行は、2つの山岳で計3ptを収集しただけで幕を閉じた。先頭集団がさらにスピードを上げたタイミングだった。
残り35km、風向きが変わる。その瞬間を見逃さなかったのが、イネオス・グレナディアーズだ。ボーラから前を奪い取ると、追い風を利用して、突如としてスプリント隊列並みの威力で牽引を始めた。集団は細く長く伸び、あるところまでいくと、耐えきれずにぷちんっと切れた。すでに100人ほどに小さくなっていた集団が、さらに3つに割れた。
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