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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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ようやくストップウォッチが動き出した2日目に、早くも訪れた山頂フィニッシュをエステバン・チャベスが制した。「超ビッグ」な優勝候補たちは少々控えめに大会最初の試練を終え、代わりにコロンビア産ヒルクライマーが、今大会初の正式なる個人総合首位に躍り出た。しかも、今年5月のジロ・デ・イタリアで、新人賞マリア・ビアンカを1日だけ着用した25歳は、この日はマイヨ・ロホを含む4つの賞ジャージを独占した。巨大な集団落車に巻き込まれたヴィンチェンツォ・ニーバリは、追い上げ中に違反を起こしたとして、レース除外処分を下された。
スタートから20km地点で6選手が飛び出し、最大3分ほどのタイム差をもらって逃げ続けていた。最初に追走に乗り出したのはモヴィスターで、しばらくするとカチューシャも協力を始めた。じわじわと追い上げのスピードは増し、6人との距離も少しずつ縮まっていく。いわゆるグランツール序盤の「定型」に則って、ステージは流れていた。しかし第1週目と言えば、嘆かわしいことに、集団落車も欠かせない要素であり……。この日も例に漏れず、ゴール前30km、とてつもない規模の落車がプロトンを襲い掛かった。
落車による影響を逃れられたのは、集団前方に位置していたほんの一握りだけ。3分の2近くの選手が、なんらかの形で、強制的に走行を一時中断させられた。たとえばパオロ・ティラロンゴは血だらけになりながらも、再び走り出した(最下位で完走)。デーヴィッド・タナーやプリジミスラウ・ニエミエツは、ずいぶんと長い間地面に横たわっていた挙句、救急車でレースから去っていった(タナーは腰骨骨折、ニエミエツは頭部を強く打ちつけ要精密検査)。単にブレーキをかけたとか、地面に足をついた、というだけの選手もいた。新城幸也もまた、転倒した。幸いにもすぐに再スタートし、プロトン復帰を果たした(Teamユキヤ通信より)。
肝心のニーバリは、自転車を交換すると、メイン集団を追いかけ始めた。ここで所属チームのアスタナは、少し不手際をやらかした。まずは自転車交換に時間がかかりすぎたこと。ニーバリが追走を始めた直後に、「風除け」としてのチームカーを走らせなかったこと。アシストたちをすぐに後ろに下がらせなかったこと。もちろんファビオ・アルとミケル・ランダという2人のリーダー格が前方に残っていたから、アシスト全員を待たせるのは不可能だった。アルもまた落車であちこち痛めていたし、ティラロンゴの負傷もあり、2台のチームカーは前に後ろに大忙しだったのかもしれない。
そしてニーバリとアスタナは、ルール違反を犯す。牽引してくれた3人のアシストと別れ、単独で追走を始めたニーバリは、近づいてきたチームカーに手をかけてしまった。そのまま水色の車は加速し……、イタリアチャンピオンジャージは一瞬にして数百メートルも移動した。ヘリコプターからの映像が、決定的瞬間をとらえていた。チームの公式発表によると「ウォーターボトルを渡すため」だった。
猛プッシュの甲斐あって、カチューシャとモヴィスターが猛烈にスピードアップを繰り返したにも関わらず、2014年ツール総合覇者はゴール前10kmでメイン集団へと合流を果たした。ただ体力を大幅に消耗してしまったせいか、最終峠で、結局はライバルたちから1分程度の遅れを喫した。不満顔でフィニッシュラインを越えたニーバリは、チームメートと言い争いをしたり、レースカーから降りてきた人物からなにやら叱責されたり。さらにはツール時に「メカトラのマイヨ・ジョーヌを待たなかった」一件で仲違いしたクリス・フルームから、やさしく声をかけられたり。すべては空騒ぎに終わる。UCIルール第12章「懲戒および手続き」内の「競技者が所属チームの車両につかまった場合=競技者はレース除外」に則って、ステージ終了後、ニーバリのブエルタ除外が決定された。
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