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サイクル ロードレース コラム 2016年7月10日

ツール・ド・フランス2016 第8ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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トリオの終わりは、3つ目の上りでやってきた。2つ目の2級峠では、またしてもピノが静かに首位で通過するも(5pt)、3つ目の1級峠に突入するころには、すでに猶予は40秒ほどにまで減っていた。そもそもピノはすでに息切れ状態で、マイカが見せた最後のあがきにさえ、一切反応することはできなかった。スカイ&モヴィスターの冷徹な隊列に、勇敢なリベンジは飲み込まれていった。

「また明日、トライするさ。ツールはようやく始まったばかりだし、巨大峠もこれからが本番なんだから」(ピノ、ゴール後TVインタビュー)

そのまま脱落していったピノに対して、マイカは吸収後にも先頭集団に留まり続けた。そのせいでピノは、山岳ジャージさえ手に入れられなかった。マイカとはほんの1pt差。サッカーが大好きなピノの、手元に残ったのは赤ゼッケンだけ。そして総合では19分44秒差と、取り返しがつかないほどの大きな後れを食らった。

そのマイカさえ、3つ目の山頂では、実はトップ通過を許されなかった。なぜなら突然スカイのワウテル・ポエルスとフルームが、なぜか連れ立ってスプリントを切ったから!山頂通過後に、すぐに加速は中断されたのだが……。あれは、4つ目=この日最後の山、1級ペイルスルドの山頂間際でフルームが見せた猛ダッシュの、予行練習だったのだろうか?

フルーム本人は、「すべては即興だったんだよ」と笑った。もちろん確かなチーム戦術と予備知識、そして正しい状況判断に基づいての、即興だった。

「今日は下りフィニッシュではあるけれど、とにかく、チームの選手たちには『まるでペイルスルドの山頂がフィニッシュであるかのように仕事をしろ』と指示をだした」(ニコラ・ポルタル、スカイ監督、ゴール後インタビュー)

だからスカイのアシストたちは、「下りの15km」など考えずに、山頂までに持てる力を全てフルームに捧げた。超ハイスピードな牽引で、メイン集団のライバルたちを大いに苦しめた。特に2回の落車から、いまだ完全復帰できていないアルベルト・コンタドールが、少しずつ遅れ始めていた。山頂まで約1.5km、「まるで山頂がフィニッシュであるかのように」フルームがペダルを高速回転させると、グランツール7冠の大チャンピオンは完全に脱落した。

「あの下りに関しても、昨夜、クリスに話をしていたんだ。去年のルート・ド・シュドでは、あの下りで、コンタドールがキンタナを突き放したことをね。それを聞いたクリスは、何か大きなことを試したがっていた」(ポルタル、スカイ監督、ゴール後インタビュー)

つまりフルームにとって、コンタドールの息の根を完全に止め、キンタナからリードを奪う絶好の機会だった。だからペイルスルドの山頂で勢いよくスピードを上げると、そのままスピードを緩めずに、下りへと突進していった。

「僕がちょうどボトルを求めて手を伸ばしたところだった。フルームはその隙をついてアタックを打つと、高速で坂を駆け下りていった。僕の元から、去って行ってしまった」(キンタナ、ゴール後インタビュー)

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