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昨年、ツール・ド・フランスのグランデパール(開幕)を成功裏に終えたドイツ自転車界。かつてはトップ選手たちのドーピング禍に揺れ、チームスポンサーやテレビ局のレース放映からの撤退など、同国では多くの人がこのスポーツから離れた時期があったが、この数年でマルセル・キッテルやアンドレ・グライペルなど、アンチ・ドーピングを地で行く選手たちが次々と誕生。彼らがレースで結果を残すことで、人々の関心をロードレースへと引き戻してみせた。
苦難の時期を乗り越えつつあるこの国の自転車界にあって、どんなことがあろうとも揺らがず、歴史を築き続けてきたレースが存在する。エシュボルン=フランクフルト。かつては「ルント・ウム・デン・フィナンプラッツ・エシュボルン=フランクフルト」、日本ではフランクフルト一周といった呼び名で知られてきた。1962年に初めて行われ、1968年からはメーデーによるドイツの休日にあたる5月1日に開催日が固定されている。
UCIワールドツアーの拡大に伴い、2017年にレースカテゴリーが昇格。これに合わせて、ツール・ド・フランスを主催するA.S.O.が大会の運営に名を連ねるようになった。
いわばドイツ自転車界を守り続け、復活の象徴の1つともいえる伝統の“5月1日”。春のクラシックシーズンがひと段落し、ツールやその先のシーズン後半戦にターゲットを定める選手たちのステップレースとしても重要度が高まっている。
レースはフランクフルト郊外のエシュボルンを出発し、すぐにフランクフルトを通過したのち針路を西へ。しばらくはワンウェイルートだが、中盤以降は複数の周回コースをめぐる。西側の大周回をおおむね3周し、その後小周回を1周。この間に4回通る登坂区間・マモルシャインは最大勾配にして26%に達する。
数時間前にスタートしたエシュボルンを通り、フランクフルトへと戻るといよいよフィナーレ。1周3kmの市街地サーキットを3周回してフィニッシュを迎える。
西側の周回コースを中心にハードな上りが集中するが、4回目のマモルシャインからフィニッシュまで約40km残されていることもあり、一度後退したスプリンターでもメインプロトンに復帰する猶予は大いに残されている。現に、スプリンターが勝利することが多い点でも、それを表しているといえるだろう。
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