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青木龍史(大阪エヴェッサ #1)
父の仕事が理由で7歳でアメリカのシカゴに移住し、NCAAディビジョン3のローズ・ハルマン工科大では、学業とスポーツで優秀なアスリートが対象となるアカデミック・オールアメリカンに選ばれた経歴を持つ青木龍史。わずか3年で生体医工学の学位を取得した後、バスケットボールのプロ選手になる決断をし、日本に戻ってから3年目でB1でプレーするチャンスを得た。B3の岩手ビッグブルズでプレーした昨季、3月21日に1試合12本の3Pを成功させるなど、シュート力が魅力のガードである。(9月28日取材)
Q B2とB3で経験を積み、今季からB1でプレーできることになりました。大阪から誘われた時の心境と、契約しようと思った経緯を話してもらえますか?
「シーズン終わった後に自由(契約)交渉リストに名前を出して、2週間くらい経った後に大阪エヴェッサさんから連絡が来て、“どういう感じですか?”と聞いてくださった。何日かワークアウトをさせていただくことになって、それで契約が成立したという感じです」
Q 3月21日のべルテックス静岡戦で12本の3Pを決めての46点は、強烈なインパクトがあったと思います。もちろん選手生活で最高のパフォーマンスだったと思いますが、改めて振り返ってみるとどんな試合でしたか?
「静岡はお互いにB3で優勝候補のチームでした。前日負けてしまったので、この試合は絶対に勝たなければいけないということだったので、何がなんでも勝つという気持ちで臨んだ結果、積極的に(シュートを)打って貢献したいと思っていたので、それが46点に繋がったのかなと思っています」
Q あの時のシュートタッチは今も覚えていますか?
「覚えていますね。すごく軽い感じで、メンタルは無の感じで、気持ちよく試合に臨めて、シュートタッチも良かったと思いました」
Q 英語のフレーズにある海に石を放り投げるような感じでしたか?
「そうですね。今までやってきたルーティンがあるんですけど、そのシーズンずっとやってきて、積み重ねがあのような形で結果として出てくれたのかなと思います」
Q 名古屋生まれのシカゴ育ち。アメリカでずっとバスケットボールをやってきたわけですが、日本に戻って最初のシーズンは信州ブレイブウォリアーズに所属しました。日本のバスケットボールにアジャスト(順応)するのに苦労したことはありましたか?
「1年目はすごく苦労しました。もちろんバスケの面でも大学よりもレベルが上がっていて、それで苦労したんです。それとともに、文化の違いだったり、先輩後輩の接し方、気遣いの面でも苦労して、どう過ごしていったらいいのかすごく大変でした。ケガ(大学最後のシーズン終盤に足を故障)明けで万全な状態でないしレベルも上がっているということもあって、すべてが同時に重なったシーズンだったので、メンタル的にも苦労したなと思います」
Q アメリカでバスケットボールをやってきてよかったこと、今のキャリアにプラスになっていることはありますか?
「比べることはできないし、日本のバスケを学生時代に経験したことがないので、アメリカのほうがいいとは言えないです。アメリカのほうが身長だったり、身体能力というのが平均的に高いと思います。その中でプレーできて、向こうだと実力だけの世界、アジア人として最初から下に見られている存在の中で、どうやって自分を証明していかなければいけないかというサバイバルな感じの環境が常でした。そういう面で、メンタルの部分では日本であまり経験できなかったことを経験させていただけたのかなと思います」
Q NCAAディビジョン3のローズ・ハルマン工科大を3年で卒業し、学業とスポーツの両方で優秀なアスリートに贈られるアカデミック・オールアメリカンに選ばれました。両立できた理由と、当時の経験がプロになってから役立っていると思いますか?
「本当にそうだと思います。大学時代は勉強がすごく大変だったので、すごく1日を大切に時間を使わなければいけない。今はそんなに勉強をしていないんですけど、リカバリーや睡眠、食事の面だったり、いろいろなことを両立しながらパフォーマンスを上げていくという時間の使い方だったり、メンタルの整理とかは役になっているのかなと思います」
青木龍史(大阪エヴェッサ #1)
Q 練習やプレシーズンゲームを通じて、B1でやっていると実感できることはありますか?
「プレシーズンで数試合B1のチームと対戦して、通用することもあったんですけど、課題もまだあるなと感じています。去年ずっとバスケットLIVEで見ていた選手とかとマッチアップしていることが、一番実感したことかなと思います」
Q 通用していると思える部分は?
「やはり僕が得意としている3ポイントかなと思います。身長や身体能力が高く、ディフェンスも激しいので、B2、B3と比べたら…。もっと成功率を上げたいんですけど、自分の強みは少しずつ出していけているのかなと思います」
Q 自身の役割、チームに何をもたらしたいと思っていますか?
「一番は先ほど言ったように3Pシュートかなと。ディージェイ・ニュービル選手はすごいプレーメイクができるので、ヘルプが寄ったら3Pを正確に決められるというのが大きな役割なのかなと思います」
Q B1でプレーするうえで自身にとって最大のチャレンジは?
「すべてにおいてレベルが上がっているので、それに対応して結果を出せること。ディフェンスだったり、オフェンスの(ボール)キープ力だったり、IQの部分と本当すべてにおいてレベルアップしていかなければいけないと思います。今までのオフシーズンの間でも成長している部分があるんですけど、シーズンを通じて上手くなっていかなければいけないので、それを意識して日々取り組んでいます」
Q チーム内には実績のあるベテランと外国籍選手がいます。彼らからの学んだことや何か刺激になっていることはありますか?
「たくさんあります。一番はニュービル選手から。今年からポイントガードに少し挑戦しているんですけど、ディージェイからスキルだったり、本当に細かいことを試合中とか練習中とかにアドバイスをもらったり、教えてもらっているので、それはすごくためになっていますし、力にもなっているので、少しずつ身につけていきたいなと思います」
Q エヴェッサのここを見てほしい、という点をアピールしてもらえますか?
「一番は速い展開で、ディフェンスからオフェンスで攻めていくところを見てもらいたいです」
Q 今シーズンへの意気込みをお願いします。
「新しいチャレンジのシーズンなんですけど、日々の成長を目標にして、精一杯自分の力を出していきたいなと思います」
Q 最後に、この24時間でちょこっとだけ幸せだったこと、何かありましたか?
「最近睡眠の勉強をしていて、マットレスが2層になっているんです。ひっくり返すと低反発、ひっくり返すと高反発ってなるんですけど、2日前から高反発に変えたんですが、そしたら睡眠がめちゃくちゃ良くなったんです。起きた時に腰とか痛くなかったんで、それが幸せだなと思いました」
Q 睡眠の勉強はまだ続けますか?
「もちろんです。睡眠だったり、食事だったり、身体の使い方というのを日々、本当に自分で勉強しているので、さらにレベルアップするために研究しています」
Q 正に大学時代の勉強する習慣が生きているわけですね。
「そうですね。無意識になんか成長したいという気持ちがあります。大学の時はいい成績を取りたい、今では自分のパフォーマンスを上げたいという目標があるので、無意識に取り組んでいるのかなと思います」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
大阪エヴェッサ 1番/PG 青木 龍史選手(取材日:2021年9月28日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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