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牧隼利(琉球ゴールデンキングス #88)
筑波大出身のルーキーだが、琉球ゴールデンキングスのB1西地区優勝に貢献した牧隼利。シーズン終盤からは先発で出場し、アグレッシブなディフェンスなど数字に出ない部分でいい仕事をしている。新しい本拠地となった沖縄アリーナやチャンピオンシップ(CS)のことなど、4月26日の練習後に聞いた話を紹介しよう。
Q 自身のこれまでのパフォーマンスについてどう評価しますか?
「(シーズン)後半にかけて出場機会をどんどん増やしていけているという点においては、前半戦に比べて自分でちょっとボールを長く持ってみたり、点を取りに行くタイプではないのでコントロールしてみたりと、自分らしさをチームメイトよりもヘッドコーチにもアピールできてきていると思っています」
Q プロ1年目で成長したと思える部分、キングスを選んでよかったと思うことはどんなことですか?
「その2つで結構共通している点として、キングスはディフェンスのチーム。ファンの方もディフェンスで頑張ったり、ファイトしたりすると沸くっていうのが、すごく今の自分がディフェンスを頑張らなきゃというエナジーの源になります。元々そこまでディフェンスにフォーカスできるようなタイプのプレーヤーじゃなかったんですけど、まずはしっかりとしたディフェンスのメンタリティというのがキングスにあったし、キングスのスタイルでそれをやらなければ試合に出られない。皆さまもそこに期待してくださっているので、ディフェンスの面が一番成長できたかなと思っています」
Q 2月27日の富山グラウジーズ戦から先発しています。特別指定選手だった昨シーズンも終盤で先発していましたけど、ベンチから出てくる時と役割に何か違いがあると感じていますか?
「基本的にはベンチにいる時でもスタメンでもプレータイムをシェアするチームだと思っています。スタートになると少し特別な気持ちが入るもので、ゲームの始めによく(藤田弘輝)コーチがおっしゃっているセットトーン。なんと言うんですかね…、セットをトーン(方向付け、雰囲気作り)する役割という面で自分が出ていると思っています。最初からこの試合のキングスの基準値を上げていける役割を果たして、次につなごうという気持ちで臨んでいます」
牧隼利(琉球ゴールデンキングス #88)
Q 元々シュート力が持ち味だったはずだけど、今シーズンは2Pがここまで成功率48%。ディフェンス最優先だと思いますが、やはり3Pの精度を上げることがチームにとってプラスになるだけでなく、相手に脅威を与える意味でも重要という意識はありますか?
「もちろんです。練習していますが、ちょっとそこは課題です」
Q 試合は2点差の惜敗になりましたが、沖縄アリーナで最初のゲームを戦ってみての印象は?
「シンプルにめちゃくちゃ悔しかったというのがある一方で、負けたのにこんなことを言うのは恐縮なんですけど、シンプルに楽しかった。バスケットが違う感覚であのコートでやることで楽しめた、お互いに楽しんでいるなというのを感じました」
Q 沖縄アリーナでCSのセミファイナルまで戦えることの意味をどう捉えていますか?
「そこを取るため、リーグ優勝を目指すためにやってきたので、そこは大きなアドバンテージになると思います。あのアリーナを沸かせられるような、一番上の席の人まで届くようなバスケットができたらなという風に思っています」
Q これまでのチームの戦いぶりを振り返って、CSに向けてのカギはなんだと思います?
「客観的にキングスを見た時に、どこにでも勝てる力がある一方で、どこにでも負けてしまう試合がどうしてもあって、そこの波というか、悪い時間帯を引き続かせてしまうといつも負けるというパターンが多い。そういった意味で安定してやるべきは、ディフェンスのほうにフォーカスすることだと思う。オフェンス力を持った選手が僕以外にもたくさん先輩たちにおられますし、そういった面でディフェンスでチームを少しでも安定させられるように貢献できていければと思っています」
Q 牧隼利が感じる琉球ゴールデンキングスのカルチャーとは?
「目標はチャンピオンシップ優勝である一方で、目的は沖縄をもっと元気にという掲げられているモットーが、本当に目的になっているなと感じていて、この目標以上にここを僕たちは大事にやっているし、それを球団全体として浸透しているというのが、キングスのカルチャーとして僕は1年半くらいですかね、やっていてそう思います」
Q NOTEなど自分からいろいろ発信しようと思った理由と、反応がどんな感じか話してもらえますか?
「単純にSNSの市場価値が高いなと感じていたのと、アスリートという職業をやっている中で、今の自分だからこそできることを考えた時に、自分自身を知ってもらうことだったり、自分自身の価値を高める一つの手段として、SNS発信は必要だなと思って取り組んでいます。一方で、考えていることだったり思っていることを、文でも言葉でも言語化するのが難しいスキルだと思うんですけど、それは今後自分のバスケット以外のキャリアや考え方が来ると僕は信じてやっていこうという背景もあります。実際に思ったよりも見てくれている人が多く、一番予想外というか自分にとってプラスになっているのは、バスケット以外の人からも“こういうおもしろいことを考えているバスケット選手がいるんだ”ということで連絡を取れたりつながれたりというのは、今の自分にとって一番でかいことかなと思っています」
Q CSへの意気込みをお願いします。
「先ほども言ったんですけど、チャンピオンシップ優勝ですが、目的は沖縄を元気にというのがあります。今このような状況ですし、試合がなかなかできるかできないかわからない中ですけど、そこを体現して結果というものを勝ち取ることへとつながるように、僕はディフェンスの面だったり、3Pシュートもこういう勝負所で決め切れる自信は持っているので、印象に残るような1本を決められたらと思っています」
Q 最後に、今日ちょこっとだけ幸せだったこと、何かありましたか?
「作ったカレーがちょっと思ったよりも美味しかったから、2杯食べちゃたということですかね」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
琉球ゴールデンキングス 88番/SG 牧隼利(取材日:2021年4月26日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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