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ザック・バランスキー(アルバルク東京 #10)
故障者が多いチームの中で、ザック・バランスキーはフォワードのポジションで奮闘し続けている。平均得点は昨季よりも少し減っているが、アシストやスクリーンなどでチームの得点機会を生み出すといった貢献をしている。もちろん、タフなディフェンスやリバウンドでのハードワークは今までと変わっていない。チャンピオンシップ進出をかけた激しい競争の真っ只中にいるチームの現状や自身のことについて、3月18日のインタビューで答えた全容をここで紹介する。
Q シーズンは残り3分の1、自身のパフォーマンスをどう評価していますか?
「納得いくパフォーマンスはまだできていないなと思います。最近ディフェンスの強度が上げられているのかなと思うんですけど、もうちょっとオフェンスでも貢献していかなければいけないなと思います」
Q シーズン途中で出られない時期がありました。その時はケガをしていたというわけではなく、ローテーションから外れていたということですか?
「いろいろ重なった結果ローテーションから外れて、出られないほどのケガではないですけど、いろいろ個人的に重なったりしました。ルカ(パヴィチェヴィッチコーチ)の場合はローテーションから外れると、また戻っていくのが大変です。みんなといつも切磋琢磨している中でまたチャンスが来るだろうなと思ったので、そこに備えてずっと準備をしていました。別に試合に出られないから落ち込んだとか、マイナスに捉えたわけじゃなくて、逆にチームが今何を必要としているのかを見るのは、いい機会だったと思います」
Q 戻った時(12月20日の宇都宮ブレックスとの2戦目)はいきなり先発でしたが、準備万端でやれるぞという雰囲気でしたか?
「それはもちろん。いつでも名前を呼ばれたらやってやるという気持ちはありました。実はあの試合、自分がスタートで出るって知ったのは試合開始5分前くらいで、本当にいきなり言われたので“わっ、ここでいきなりスタートなんだ”と思いつつ、久々にバスケを楽しもうと思ってやりました」
ザック・バランスキー(アルバルク東京 #10)
Q 故障者が多い中での戦いを強いられる中、チームにおける役割はどんなことで、試合ごとに変化はありますか?
「特に試合ごとに変化とか、ケガ人がいたから変化があるとかはないです。フォワードのローテーションで(田中)大貴が抜けた分、自分のプレータイムが増えたりしていますけど、そこは誰かが一人というのではなく、みんなで埋めていくスタイルです。大貴とアレックス(カーク)が2人同時に抜けたのは初めてですけど、今のところみんなでしっかりカバーし合っています。負けも多いかもしれませんけど、全部いいところまで競って競ってやっていたので、ここからもう一歩の詰めはこの期間で準備できたと思うので、残り18試合でそれをしっかり勝ちにつなげたら大丈夫かなと思います」
Q 自身の役割については?
「僕は本当にディフェンスの強度だったり、リバウンドをメインにルカから求められています。あとオフェンスはミスのない安定したプレーとか、自分も今よりも得点を取らなければと思っていますが、点を取るだけじゃなくて、だれを生かすとか、オフェンスの流れがどこにあるかとかを読むのが役目だと思うので、安定剤なのか仕事人なのかわからないですけど、そういう自分の役割は前からずっと変わっていないと思います」
Q カーク選手は天皇杯で腰の痛みを抱えながらタフに戦っていました。チーム内にNext man up(誰かがステップアップする)というメンタリティが構築されている感じですか?
「そうですね。アレックスは天皇杯を個人的にすごく獲りたがっていたし、痛そうだったけど個人の意志でやっていたのを見てこちらも勇気と元気をもらったし、もっと頑張らなければというのは僕だけじゃなくて、みんなもすごく感じだと思うので、“俺がやってやる。俺もやってやる”という気持ちは、すごく自然と一人一人に出てきたんじゃないかと思います」
Q 最近のプレーで自分がチームに貢献できていると感じる部分は何ですか?
「最近はディフェンス。あとリバウンドですね。アレックスが抜けた分、リバウンドで厳しくなっているのが正直あるので、そこを僕がヘルプしていかないといけないと強く思っています。オフェンスだったら点は取っていないですけど、点につながるパスだったり、仲間を生かせているのかなと思います」
Q (スタッツには出ない)スクリーン・アシストが多いのでは?
「日本ってアシストが付きづらいじゃないですか。個人的にあまりスタッツを気にするタイプじゃないですけど、そういう意味ではもうちょっとあるのかなと思ったりしますね」
Q ハイスコアの点取り合戦が今季は多いと思います。ディフェンスに波があると思いますが、言える範囲で今後どうしたらいいと思っていますか?
「難しい質問ですね。僕らも感じている部分は正直ありますし、例年どおり連続ストップがなかなかできなかったりするのは、自分たちのディフェンスがちょっと崩れているというのもありますけど、リーグ全体のレベルもすごく上がっていると思います。そこにアジャストしきれていないじゃないですけど、今までのディフェンスで止められたのを相手がそれを上回って決めるようになっていますし、僕らがそれをさらに上回るディフェンスをしていかなきゃと思います。本当に小さい、細かいところの積み重ねだと思っていますし、20秒いいディフェンスをしているけど、最後の4秒でちょっとズレを作られて簡単にやられてしまう部分は結構あります。自分たちのボールにするまで守り切る、リバウンドを取り切るという小さなことへの意識が、これからすごく大事になってくると思います」
Q 宇都宮ブレックスのL・J・ピークのように、ウイングの外国籍選手が今季は増えたと思います。彼らとのマッチアップで手応えなど、何か感じることはありますか?
「特別いつもと違った考え方はないですし、相手のエースにつくことが確かに増えたのは事実です。そこを抑えることによって、リズムを崩せたり、こっちに流れを持ってこられたりするので、僕と(菊地)祥平さんでいつもピーク選手だったりにフラストレーションを溜めさせて、思うようなプレーをさせないことを、いつも2人で…、話し合うまでもないですけど、理解し合ってやっています。そういう意味でいつも10点以上、2ケタ取っている選手を1ケタに抑えたりとか、リズムを狂わせてフラストレーションを溜めるのはうれしくなりますね」
Q 田中が欠場を強いられている中で、小酒部泰暉の飛躍をどう感じますか?
「うれしいですね、普通に。まだ大学生か、卒業は今週なのかな…。そんなことに関係なく泰暉らしく。泰暉と大貴でいじられるんですけど、この間も(小酒部が)ルカに“お前が新しい田中だ”って言われていて、そういう意味ではみんなの信頼を勝ち取っています。若い世代と言うと自分が歳をとったように聞こえるのであれですけど、そういうチームメイトとか下の子たち、仲間が活躍するのは個人的にはすごくうれしいですね。その分、ポジション争いは激しくなるんですけど、それもチームにとっていいことだと思うので、みんなで切磋琢磨し合ってどんどんレベルを上げていいなと思っています」
Q カーク選手が離脱する中で、アルバルクがチャンピオンシップ争いで生き残るためのカギはなんだと思いますか?
「さっき言っていた小さなことの積み重ねで、特別この試合スリーを10本入れなきゃとか、ここビッグプレー必要とかじゃなくて、みんながやるべきことを徹底してやって、ディフェンス・リバウンドをソリッド(堅実)に徹底してやれば、結果はついてきます。小さいところをどれだけレベルの高いバスケでできるかが大事だと思います」
Q 最後にファンに向けて一言お願いします。
「本当今シーズンは辛い戦いというか、いろいろな意味で大変なシーズンになっていますけど、皆さんの“WE”の力がすごく届いています。それがなければチャンピオンシップに出られないと思うので、残り18試合もみんなでチャンピオンシップを勝ち取って、またあの最高の景色を見に行きたいと思うので、これからもよろしくお願いします」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
アルバルク東京 10番/SF/PF ザック・バランスキー(取材日:2021年3月18日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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