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石井講祐(サンロッカーズ渋谷 #27)
3Pシューターとして相手にとって厄介な存在の石井講祐だが、今季は成功率がここ8年で最も低い。しかし、ディフェンスなど数字に出ない部分ではチームに貢献しており、リズムをつかむのは時間の問題と見たほうがいいだろう。今回のインタビューでは、チームのことを中心に話を聞いた。
Q 3勝6敗のスタートから現在は24勝13敗で東地区4位。この現状をどう捉えていますか?
「おっしゃるように最初少し負けが先行して、変えなければいけないというところで、練習から細かい部分を最初からやり直して、それが11月、12月のいい成績につながってきたんじゃないかなと思います。なので、だんだん成長している実感をチームとして持ちながらできているので、そこはよかったんじゃないかなと思います」
Q 開幕からの3試合や天皇杯も含めて、リードを奪いながら土壇場で競り負ける試合が多いのも今季の特徴だと思います。ただし、そこから這い上がって連勝する力があるというのは、チームの強みになっているという印象がありますか?
「今年は最後の1、2分で10点負けていたのを勝ったりとか、最後まであきらめないじゃないですけど、簡単に負けないというか、やる切るというところはチームの地力みたいなのがついてきていると感じる。あとは、本当にラストの1、2点で勝つにはプレーの精度だったりとか、1個のリバウンドだったりルーズボールをもっとみんながチーム全体で、“本当に大事なんだ”という意識を上げていけばいいんじゃないかなと思います」
Q ライアン・ケリーとジェームズ・マイケル・マカドゥを故障で欠く中で秋田ノーザンハピネッツに逆転勝ちしましたが、三遠ネオフェニックスには連敗。2週間弱試合がなかったことは、彼ら抜きで戦う準備ということで大きな意味がありますか?
「そうですね。もちろん2人とも健康でいてくれたほうがいいんですけど、長いシーズンでそういうことも起こりうる可能性もあるので、起きた時にしっかり大阪(エヴェッサ)戦から三遠戦まで残りのメンバーでできうることはやり切れたんじゃないかなと思っています。もちろん、最後の三遠戦も2つとも勝てればベストだったんですけど、そうはならなかったので、そうならなかったことを受け止めて、この2週間でもう1回準備をして、大事なことは自分たちで自信を失わないこと。この2週間でどれだけいい準備ができるかが一番大事かと思って、みんな取り組んでいます」
石井講祐(サンロッカーズ渋谷 #27)
Q プレッシャーをかけ続けるディフェンスをするためにタイムシェアをしていますが、外国籍選手2人を欠くとガード陣への負荷などで大きな影響が出ると感じていますか?
「ライアンは得点面でチームを助けてくれていたので、そういう得点力だったり、マックのリバウンドやゴール下のプットバック(オフェンスシブ・リバウンドからの得点)というのを誰か一人というよりもみんなで補おうとしている。外回りの日本人の得点がもっと増えてきたりとか、リバウンドが単純に増えてきたりすると、いい展開になってくるのかなと思います」
Q チームのスローガンは「結(ゆい) -FIGHT AS ONE-」。ケリーが故障した後に“結Mentality”とツイートしています。石井選手が考える“結Mentality”とは?
「一人一人が当事者意識を持つというか、プレータイムの大小だったり、シュートを打つ数にかかわらず、全員がチームに欠かせないピースだと思う。それぞれが自分の仕事だったり、役割に責任を持って、それを全うする。それがチーム力につながるし、こういう緊急事態になってもチーム力を落とさずに戦えることには不可欠だと思うので、そういう精神が“結”なのかなとは思っていますね。助け合いはもちろんそうですけど、一人一人のプロ意識じゃないですけど、それがつながってこそだと思います」
Q ターンオーバーから数多くの得点を稼げている一方で、相手のFG成功率が47.4%とB1で5番目に高く、シーズン序盤に比べるとかなり下がってきましたが平均失点が79.8。ハードにディフェンスはできていると思いますが、この現状についてどう捉えていますか?
「ハードに前へ前へとプレッシャーをかけているので、逆にポーンと突破された時にイージーレイアップだったり、ポッとノーマークができちゃったりして、確率の高いシュートを打たれてしまうケースが多い時もあるのかなと感じています。あとは、ちょっとファウルが多くて、結構ボーナス・フリースローを与えている数がリーグの中でも多い。その分の失点もあるんじゃないかと感じているので、プレッシャーはかけつつ、でも一番は得点をさせないということが目的なので、難しいですけど積極的に行くところと、ギャンブルといいプレッシャー・ディフェンスの境目をみんな探りながらこれからやっていければ、もっともっと精度は上がってくるのかなと」
Q 自身のプレーについてですが、今季はなかなか3P(成功率30.6%)が決まっていません。マークがより厳しくなっているのもあると思いますが、他に自身で原因とか感じている部分はあり余すか?
「僕だけじゃなく、チームとしてキャッチ&シュートの数が増えていなくて、ノーマークで確率の高いキャッチ&シュートをもっとチームで増やそうというのは、ずっと課題というか取り組んでいることなので、そこができてくれば自ずと上がってくるのかなと。僕だけじゃなくチーム全体として上がってくるのかなと思っているので…。もちろん入っているほうがいいですけど、そこまで“ダメだ”みたいな感じには捉えていないです。やることはやりつつという感じですかね。シューティングでは入りますし…」
Q やはり、チームとしてよりボールが動けばっていうことですか?
「そうですね。動いてズレを作って、少しでもオープンに近いシュートを増やすのが、チームのリズムもできてくれば、何かのきっかけでシュートが入りだすかなと思っているので、そこは我慢強くやるしかないかなと思っています」
Q 残りのシーズンで自身のプレーで成し遂げたいことはどんなことですか?
「やはり、チームに流れを持ってくるようなプレーをもっと大事な場面でしたいというのがある。今シーズンはシュートももちろんなんですけど、そういうところの手応えがあまりないことが多いので、シュートに限らずディフェンスだったりとか、いろいろなバスケットのゲームの流れを読んで必要なプレーを、もっともっと大事な試合で選択できるようにしていきたいと思っています」
Q 激戦が続く東地区からチャンピオンシップに進出するためのカギは何だと思いますか?
「カギはですね…。カギは我慢強くどれだけできるか。自信を失わずに“自分たちはできるんだ”というのを信じ続けてやってきたことをやり続ける。少しでもちょっと疑ったりとか、強度を落としたりすると、立て続けの連敗もありうる力関係だと思うので、とにかく相手よりもタフにどれだけできるかだと思っています」
Q 最後に、ファンの皆さんにメッセージを。
「世の中的にいろいろ大変な時期ではあるんですけど、制限がある中でも会場に来ていただいたり、ウェブ上や動画で応援してくれている方が力になっていますので、その期待にしっかり結果で応えられるように残り20試合、優勝を目指して頑張りたいと思います」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
サンロッカーズ渋谷 27番/SG 石井講祐(取材日:2021年2月23日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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