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水戸健史(富山グラウジーズ #9)
富山グラウジーズ一筋のキャリアを過ごす水戸健史は、近畿大学在学中から卒業後に故郷で働くつもりでいた。しかし、大学卒業と同じ時期にチームが創設されたというタイミングと、富山が大好きということがうまく重なり、プロバスケットボール選手としてのキャリアを構築することに成功。13年目の今シーズン、24勝13敗で東地区5位という快進撃を続ける富山をタフなディフェンスと堅実さで支えている水戸に、2月18日の練習前に話を聞くことができた。
Q 23日間で10試合という厳しい日程をこなした後に約2週間試合がないことで、疲労回復ということでは必要だった感じですか?
「僕自身はプレータイムがめちゃくちゃ長いわけではないので、体の疲労はそんなに感じていないんですけど、精神的には疲れました。タフな試合も多かったので、ちょっと疲れたのはありますね」
Q グラウジーズ一筋で13年目を戦っています。10年以上チーム一筋の選手は池田雄一(新潟アルビレックスBB)の15年、太田敦也(三遠ネオフェニックス)が14年に次ぐのですが、長いプロキャリアを生まれ育った故郷で続けられている理由などありますか?
「僕自身、大学在学中に就職で富山に戻ってこようという思いがありました。富山というか、地元が好きなので、大学卒業したら富山に帰ってこようという風に最初からずっと思っていましたけど、そのタイミングで富山グラウジーズというチームができて、“せっかく富山にできたのならちょっと挑戦してみようかな”というので、きっかけはそれですね。富山に地元の選手が僕以外にあまりいなかったというのもありますし、チームに一人は地元の選手が必要だと思うので、そういうので気付いたら13年という感じですかね」
Q キャリアを通じて大きな故障をすることなく、出場時間を確保してチームに貢献するプレーをし続けています。コンディショニングや日々の生活で気を付けていることはありますか?
「僕はそういうことにあまり気を付けていないというか、気を遣っていることがあまりなくて、食事もそんなに制限していないし、体のケアという部分でも人に(体を)触られるのがあまり好きではなく、自分でできる範囲でしかやっていない。なので、気を付けていることはあまりないかもしれないですね」
水戸健史(富山グラウジーズ #9)
Q ディフェンスを頑張ることと堅実さが水戸選手の特徴と思っていますが、Bリーグになってから自分の中でその質がより高くなったというイメージはありますか?
「bjリーグの時はディフェンスでそこまで意識を置いていなかったんですけど、Bリーグになってオフェンス、ディフェンスともにすごくレベルが上がって、点数が取れる選手がたくさんいるんですけども、ディフェンスの部分で、自分が試合に出るためにはまずディフェンスで目立つ、ハードワークしているというのを見せるのが、一番プレータイムを勝ち取る近道なのかなというのがあって、それでちょっとディフェンスに意識を置いてやってはいます」
Q 30歳を超えてからすごくいいパフォーマンスができているということに関しては、どう思っていますか?
「年々若くなっていると言われるんですけど、僕自身は年々必死でみんなについていくみたいに頑張っています」
Q Bリーグ史上に残るベストゲームと言ってもいい12月20日の千葉ジェッツ戦、シーズン最長となる34分間プレーしていました。勝てなかったのはすごく残念だったでしょうが、これまでのキャリアの中でもすごく印象に残る試合でしたか?
「そうですね。あんな試合はなかなか経験できるものじゃないですし、僕自身に貢献できたかと言えば、富樫(勇樹)選手に結構やられましたし、もうちょっと頑張れた部分はあったのかなというのがありますね」
Q 富山のいい時も悪い時もすべて知っている水戸選手にとって、激戦の東地区でチャンピオンシップ進出のビッグチャンスを迎えている今のチームは、bjリーグのファイナルに行った時よりも大きな可能性を感じることができますか?
「bjの時と比べるのはちょっとあれと思うんですけど、バスケットの日本のトップリーグで戦えているというのは、富山グラウジーズにとって初めてのことというか、本当に素晴らしいことだと思うので、ここで終わるのではなく、より上を目指してチームのスローガンでもあります“喰らいつけ”という基でやっていますし、必死に戦ってもっともっと上を目指していきたいですね」
Q オフェンス力が最大の魅力で今のチームの中で、自分の役割で最も重要だと思えるのはどんなことでしょうか?
「僕はディフェンスの面でしっかり相手の日本人のエースだったり、ポイントガードだったりにしっかりプレッシャーをかけて、気持よく仕事をさせないということが自分の役割だと思います。あとは、ディフェンスからオフェンスへの切り替えで瞬間的に前を走って簡単なレイアップを取りにいくというのが、僕の役割だと思います」
Q 今シーズンから浜口炎コーチに変わりましたけど、すごく貢献できているなとはっきり言える部分はそういったところですか?
「炎さんとは直接そういった話をしていないので、本当はもっと要求したいことがあるのかもしれないです。応えられているかわからないですけど、試合には使ってもらっていますし、今自分ができることを精一杯、チームのためにやりたいなと思っています」
Q 大阪エヴェッサに今季初となるホーム2連敗を喫しました。好成績を残しているとはいえ、より危機感を持つ必要性を感じたと思います。オフ明けの練習はかなり時間をかけてやっているようですが、その反省を生かしたうえで何か重視して取り組んでいることはありますか?
「基本的にコーチが求めているディフェンスの面でやられたくない部分というのは、チームとしてしっかり共通理解を持ってやれているとは思っているので…。大阪戦の反省もそうですけど、しっかり次の琉球(ゴールデンキングス)戦に向けてどういう戦い方をして、どういう入りをして試合をしていくのかというところが大事だと思うので、今は炎さんが“これはやられたくない”という部分というところではちゃんとできていると思う。それ以外の部分でもうちょっと…、どこまで言っていいのかわからないですけど、そういったところまでフォローできて行けたらいいのかなという風に思います」
Q 最後に、Bリーグファンにグラウジーズの魅力を伝えていただけますか?
「チームは個性豊かな、個の強い選手が集まっていますし、それが一つの魅力だと思います。あとは富山のホームコート、ホームゲームでブースターさんがすごく盛り上がっています。ぜひ一度富山に遊びに来て、富山でこう一緒に盛り上がって試合を見ていただきたいなと思います」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
富山グラウジーズ 9番/SG 水戸健史(取材日:2021年2月18日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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