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永吉佑也(京都ハンナリーズ #43)
川崎ブレイブサンダースから京都ハンナリーズに移籍してから4年目の今シーズン、永吉佑也の存在はより重要度を増している。その理由は、外国籍にマッチアップを任せられるフィジカルの強さに加え、得点源のガードであるレイヴォンテ・ライスの出場機会を確保するという意味もある。なかなか上昇気流に乗れないシーズンを過ごしている京都だが、永吉は徐々にいい方向に進んでいると認識。チームの現状を中心に、永吉がZoomでのインタビューで答えた内容を紹介する。
Q 川崎でアウェイで連勝した後に4連敗。なかなか波に乗れないシーズン前半についてどんな印象を持っていますか?
「今27ゲームですかね、確か。およそ前半を終えたところで、チームとして今シーズンに至ってはヘッドコーチも変わっていますし、新しいメンバーもたくさんいて、探り探りじゃないですけど、自分たちのいいところや悪いところの共通認識を深める時間がどうしても必要だったというところで、そこを試しながらやってきて、徐々にチームとしてよくなってきているなという感覚は確かにあるんです。よくなってきているが故に、接戦を落としてしまったり、川崎戦は接戦で勝てましたけど、勝てたなという試合を落としてしまったとかという部分で、すごく苦い思いをしています。徐々にですけど、ステップアップしている感覚は掴みながらも、まだまだ成長段階なので…。接戦に持ち込んだ時に勝てるチームになっていきたいと思います」
Q 開幕時から失点が多く、ディフェンスで苦戦してきた理由は?
「個人的な感覚ですけど、まずファストブレイク。速い展開を狙われていて、そこをしっかりチームとして対応できなかったという部分が、ここ最近だと勝っている試合はあまり狙われていないのかなと思ったり、負けている試合だったら狙われているなと感じるところが多くて、しっかりハーフコートに戻ってディフェンスできるような自分たちの展開を作らなければいけないというのは感じています。ディフェンスで言えば、まだコミュニケーションでのミスが多いですし、ヘッドコーチが素晴らしいゲームプランを作ってくれたにも関わらず、選手たちがそれを実行できていなかったりとか、選手たちにもまだ甘さがたくさん残っているなという部分は感じています」
Q 小川伸也コーチになったことで、役割に何らかの変化がありましたか?
「昨シーズンのディフェンスの部分で言えば、手堅く守るという表現をしたらいいのかな…。今年の自分の役割で言えば、もっとアグレッシブさを求めてもらっている。去年というかずっとですけど、外国籍選手とマッチアップする機会は変わらず与えてもらっていて、そこに対しては自分の中で自信を持ちながら、ディフェンスの部分で特に相手のキーになる選手にマッチアップすることが多いので、そういう部分で言ったらあまり変わっていないのかもしれない」
Q 外国籍選手相手のディフェンスで重視しているポイントはありますか?
「言いづらい部分はあるんですけど、まずは相手の選手の癖や特徴をしっかり掴むために、試合前の準備段階でアシスタントコーチが用意してくれたビデオだとかレポートをしっかり見て、かつ自分の頭の中で整理してから試合に入るようにはしています。試合中に関してはあまり意識している部分がうまく思いつかないんです。僕の中では試合の準備がとても大切だと思っているので、そういった部分ですかね」
Q ライスが出ているときにより重要な存在になると感じていますか?
「すごく感じていますね。僕がファウルトラブルになったら、彼も下がらざるをえない状況が何回もありましたし、一緒に出ていてもシーズン序盤に関しては僕もアウトサイドのシュートにすごく苦しんでいて、僕のディフェンスが、例えばレイヴォンテとデイヴィッド・サイモンがピック&ロールを始めた時、思い切りヘルプに寄った状況を作らせてしまった部分があった。でも、最近はすごくスリーポイントも自信を持って打つことができるようになっていますし、その辺の課題というのは自分の中で徐々に克服しているのかなという感覚はあります」
Q アグレッシブさを見せ続けることで、自身の得点に対する意識はどうですか?
「そこに関しては正直、自分の中でもまだ弱いかなと感じています。個人的な考えですけど、あまりタフショットが好きじゃなくて、チーム(で)ショットを作りたい。あとは、なるべく得点効率の高い選手に打たせたい。オフェンスに関して自分がアグレッシブかと言われたら、ちょっと?なところがあって…。ただチームからはもっとシュートを打っていいよと言ってもらえている。自分の中ではどこでシュートを打つべきだろうとか、今打ってよかったのかとか、すごく試合後とかでも考えることがあります。それもシーズン序盤から今は中盤ですけど、そこにかけてすごくステップアップしていると思うので、個人的にはもっとアグレッシブになるべきなのかなと考えていますね」
永吉佑也(京都ハンナリーズ #43)
Q チームとして抱えている課題、解決できているところとできていないところは?
「圧倒的に解決できていない課題のほうが多いです。ハーフコートのディフェンスに関しては課題がいっぱいあるんですけど、割とチームとして、みんなが口を揃えて自信を持つようになってきたということは言っていて、シーズン序盤外国人選手の合流が遅れたこともあって、オフェンスの部分をしっかり構築するために時間がかかったりとかで、ディフェンスの流れ、システムを構築する時間が足りなくて、それをシーズン中に補っていったりとか、バイウィークで補ったりとか、徐々にチーム・ディフェンスが確立できたんじゃないかなと感じています。ただ、そのシステムも難しいことをやっているので、まだ課題はいっぱいあるんですけど、そういったところかな…。オフェンス面では、チームとして最近ボールの流れがスムーズになってきたかなと感じていますし、ハーフコート・オフェンスに関して言えば、みんな自信をつけているのかなと思います。シーズン序盤から中盤にかけて、最近で言えば11番の久保田義章とかすごくチームの戦力になりつつあって、新しい戦力がどんどん力を発揮している部分はあります。チームの考え方ですけど、スムーズにボールが回るようなオフェンスをしたいとずっと小川ヘッドコーチもおっしゃっていたので、最近すごくそれがよくできているのかなと思います」
Q サイモンの負荷を軽減する意味でも、ジャスティン・ハーパーの復帰は巻き返しへの起爆剤になりそうですか?
「そうなってほしいというのが自分の気持です。ジャスティンの持ち味は本当にシュートがうまくて、かつディフェンスでもよくコート内で喋ってくれる。チームの柱になってくれる存在だと思っています。デイヴィッドは喋るというよりも自分のプレーで引っ張っていくタイプの選手で、そういった部分でお互いが違う良さを出せるようになってきたら、すごく良くなるんじゃないかなと思っています」
Q スラムダンクの映画化についてはどう思いますか?
「うれしいですね。うれしいんですけど、ちょっといろいろ不安に思うところもあったりとかしていて、明らかにスラムダンクって20年くらい前の漫画じゃないですか。2〜3か月前にAmazonプライムで全部見直したんですけど、やっぱり名作だなと思いました。これが20年の時を超えてまた僕たちに感動をもたらしてくれるのかなと思うと、すごくワクワクしていますけど、あの時代と明らかに違う、暴力的なシーンがあったりとか、昔のヤンチャな高校生の描写がいっぱいあったりとか、ルールも全然違いますしね…。あの辺とかがよかったりとかしていたんだろうなと思いますけど、井上(雄彦)先生がまた何かおもしろくしてくれるじゃないかと思いますし、またスラムダンクの影響でBリーグがもっと勢いを、もっと人気をついてくれ流じゃないかな、バスケブームがまた到来してくれるんじゃないかなという風には思っています」
Q スラムダンクで好きなキャラクターは?
「ベタですけど、やはり桜木かな。あのおもしろくらいすくすくと伸びていく、本当にドラマの世界ですけど、見ていていいなと思いますね」
Q 最後にリーグ戦再開後の目標とファン、ブースターへに伝えたいことをお願いします。
「目標は、まず本当に1戦1戦しっかり戦って、1つでも多く勝ち星を積み重ねることです。ブースターさん…、いつも本当に応援してくださって、こういう例年と違う状況の中で、僕たちのファンサービスができる機会もすごく少なくなって、交流もないですし、いろいろと制約がある中でもいつも会場に来てくださる方々のためにも、イマイチの勝ち星のチームですけど、しっかり勝てるように僕らは頑張っていくので、応援していただけたらうれしいです」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
京都ハンナリーズ 43番/PF/C 永吉佑也(取材日:2021年1月8日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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