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佐藤卓磨(千葉ジェッツふなばし #14)
滋賀レイクスターズから今シーズン千葉ジェッツふなばしに移籍した佐藤卓磨は、新天地でも197cmのスイングマンとして攻防両面で奮闘中。選手層が厚く、チーム内の競争も激しい中で全試合先発で出場している。11月には日本代表候補として合宿に招集されるなど着実にレベルアップしており、20代半ばの選手の中でさらなる飛躍が楽しみな選手の一人。天皇杯の岩手ビッグブルズ戦を前に、佐藤から千葉での現状などについて話を聞いた。
Q 8連勝で東地区首位に立ちました。今のチーム状況をどう思いますか?
「首位ということで本当に勝てているのもあるんですけど、その中で課題がいくつかあるんです。それでも、勝っている中で課題を修正できる今の状況をすごくいいなと思うんです。これから6連戦、力のあるチームとの戦いが続くので、全然油断できないなという感じです」
Q 自分を追い込むためにと言う理由でジェッツに移籍したわけですが、本当によかったと思えることは?何かいいエピソードがあればぜひ。
「僕が本当になんで追い込みたいかと思ったのは、代表合宿に行った時に東地区の選手とマッチアップして、日常からこのレベルじゃないとダメだなと感じたんですけど、原(修太)さんだったり、シャノン・ショーターという2番3番でリーグの中でも力のある選手と普段からマッチアップしていて、フィジカルもスピードもある選手と毎日体をぶつけ合っているというのが自分の中で自信になっている。試合よりも練習のほうがきついということだと思います」
Q ジェッツの中で自分が全うすべき役割、大野コーチからよく言われていることは何ですか?
「ディフェンスだったら相手のポイントゲッターだったりとか、本当に乗せてはいけない選手を卓磨につかせると言われているので、相手のエースを止められるようなディフェンダーになること。オフェンスだったら、他に点数取れる選手がいるので、もちろん点数も狙いに行きますけど、自分がトランジションで走ってレイアップに行けたら行く、無理でも自分が走ることによってスペースを広げて、富樫(勇樹)さんだったりセバス(セバスチャン・サイズ)に快適なオフェンスの状況を作るのが僕の役割だと思います。ボールを持っている時間が少ない試合もあるんですけど、それでもオフボールの動きが僕は得意なので、そこで仕事ができればと思っていますし、かと言って消極的になる必要はないと思っています」
佐藤卓磨(千葉ジェッツふなばし #14)
Q 11月の川崎ブレイブサンダース戦ではシーズン最多の13点を記録しましたが、土壇場で決まれば逆転勝利の3Pシュートを決められませんでした。その時にすごく悔しいと思ったでしょうが、あの局面でボールを回してもらいショットを打てる機会があったことは、チーム内の信頼が上がっていると感じたのでは?
「あの時はジョシュ・ダンカンが逆サイドからパスをしてくれたんですけど、近くにいた富樫さんがディナイされ、それでJDと僕の目が合ってパスをしてくれました。それまでスリーポイントが結構成功率がよく決められていたので(川崎戦は6本中3本成功)、だからこそというのもあります。しばらくあのラストシュートを外してショックだったんですけど、前に進むきっかけになりましたし、それが理由で前よりもシューティングの質だったりを考えられるようになったので、プラスに働いていると思います、今は」
Q 日本代表の合宿に参加しました。途中で切り上げになりましたが、練習に参加して得たもの、日本代表メンバーに選ばれて定着するために必要なものはどんなことだと感じましたか?
「まず滋賀(レイクスターズ)に在籍していた時代表に呼ばれ、千葉では今回初めて呼ばれたんですけど、前回は技術どうこうよりも気持で負けちゃっていて、攻めのオフェンスも攻めのディフェンスもできずによくわからない感じで終わってしまったのですが、今回はボールをもらったら積極的に行くというのと、自分が貢献できるなと思ったのが、今からハンドラー的な役割を代表で求められていないので、八村(塁)選手だったり馬場(雄大)選手だったり、田中大貴選手の周りを囲む選手たちの役割がすごく重要になっていて、その中で僕は1番から4番まで(ディフェンスで)つける自信があるのと、オープンショットを決めきるのとペイントアタック、この3つをしっかり極めることができれば貢献できるなということを手応えとして感じました」
Q 母校の東海大学がインカレで優勝しました。自身が過ごした4年間は準優勝3回と悔しい思いをしましたが、陸川イズムと呼ばれる陸川章コーチから学んだことで一番印象に残っていることはなんですか?
「たくさんあって、いろいろな人が言っていると思うんですけど、本当に何ていうんですかね、陸さんは宗教かなって思えるくらい、すべてを受け入れる人なんですよ。一喜一憂しないというか、『勝っても負けても絶対やるべきことをやる、自分でコントロールできることに集中する』というを大学の4年間ずっと言われてきた。まだまだできていないこともあるんですけど、よく陸さんが『やってやれないことはない、やらずにできることはない」と言うのがあるんですけど、まとまっていないかもしれないですが、あげるとしたら一喜一憂しないということですかね」
Q 以前苦い経験を味わった時、陸川コーチの存在や教えが助けになりましたか?
「そうですね。陸さんとも電話で話をして、『本当に終わってしまったことは仕方ないから、お前のやるべきことをやるしかないんだぞ』と言われて、大学4年間で正直、東海で学んだにもかかわらず、自分がああいうことをしてしまったと自分を責める時期もあったんですけど、陸さん的には多分そういう考えだとダメだぞと言われると思いました。それから陸さんだったり、東海の先輩、同期、後輩たちの支えもあって今があるので、本当に東海ファミリーには感謝しかないです」
Q 最後に、自身が今シーズン成し遂げたいことと、ファンへのメッセージをお願いします。
「このリーグ戦を突っ走って、リーグ(最高成績)と天皇杯、悲願のリーグ制覇、この3つを達成できればいいなと思います。個人的なことは、チームの目標に沿ってやっていけば自ずとついてくると思っているので、さっき言ったアグレッシブにディフェンスをして相手のエースを抑え、コートを駆け巡りたいと思います。ファンの皆さんには、ホーム・アウェイにかかわらずいつも応援していただいて、僕はまだ2チーム目なんですけど、以前からリーグトップのブースターの熱さがあると、ジェッツについては知っていたんです。本当に体感したらすごくて、これでコロナが収まったらさらにどんなことになるんだろうなと、今からワクワクが止まらないので、それまで頑張りたいと思います」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
千葉ジェッツふなばし 14番/SG/SF 佐藤卓磨(取材日:2020年12月16日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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